木造の家って何年もつの?寿命は何年?徹底解説!

2022年11月25日

注文住宅を建てようと思っている方の中には、「木造住宅の耐用年数について知りたい」と思う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、耐用年数の本当の意味と、実際の木造住宅の寿命について解説します。また、耐用年数の利用価値として、住宅ローン時の評価・国税庁の定めた減価償却費・中古住宅売却時の査定額に影響することもご紹介しています。

この記事を読んで木造住宅の耐用年数を正しく理解し、注文住宅を建てる準備に役立ててみてください。

 

住宅の耐用年数とは?

住宅の耐用年数とは住宅を使用できる年数のことです。一般的には法定耐用年数のことを意味しますが、判断基準の違いによって、ほかにも物理的耐用年数・経済的耐用年数・期待耐用年数というものがあります。以下において各々の耐用年数について解説していきます。なお、住宅の耐用年数は実際の寿命とは異なるものです。

 

国土交通省の定めた法定耐用年数

法定耐用年数は国税庁が減価償却の計算に用いる耐用年数です。住宅の建築材別に法定耐用年数が決められています。

たとえば木造住宅なら22年、鉄骨鉄筋コンクリート造住宅なら47年、レンガ造住宅なら38年といった具合です。住宅を建てた場合は毎年減価償却が必要ですが、償却期間は法的耐用年数に従って決定され、毎年の減価償却額は計算方法が定額法か定率法かによって異なります。

 

物理的耐用年数

物理的耐用年数は工学的な判断をもとに決定される耐用年数です。住宅が物理的に何年もつかで計算され、経年劣化や自然消耗によって住宅が使用できなくなるまでに何年がかかるのかを示します。

同一の住宅でも、建築材・機械・電気設備などによって物理的耐用年数は異なり、同じ材料でも気候などの条件によって耐用年数が変わるため、正確な判断が難しいこともあります。

 

経済的耐用年数

経済的耐用年数とは市場価値を含めた耐用年数のことです。市場で売れるかどうかで評価され、市場で需要が高ければ耐用年数は長くなり、需要が低ければ耐用年数は短くなります。

理論的にはリフォームして見た目をよくすれば耐用年数が増えますが、リフォーム費用が建て替え費用をこえるようになると意味がありません。

したがって、リフォーム費用が建て替え費用をこえる期限が経済的耐用年数です。

 

期待耐用年数

期待耐用年数とは通常どおりにメンテナンスしながら使うときの耐用年数のことです。中古住宅をリフォームしながら使用する場合、あとどのくらいもちそうかを推定して算出されます。

同じ建物でも、建築材・機械・電気設備によって期待耐用年数は違う点に注意してください。期待耐用年数は住宅の正当な評価をあらわすとされ、住宅を使用できる目安を定めることにより、買い手の購買意欲を高める狙いがあります。

 

木造住宅の耐用年数と実際の寿命は違う

どのような建築材でもそうですが、木造住宅の耐用年数と実際の寿命は違います。たいてい木造住宅の寿命は22年以上です。それでは実際の寿命はどのくらいなのか解説していきましょう。

 

新築木造住宅の法定耐用年数は22年

国土交通省の法令によると新築木造住宅の法定耐久年数は22年です。したがって22年間で減価償却されることになり、定額法あるいは定率法で毎年の減価償却費が決まります。前述しましたとおり、これはあくまでも税制上の耐用年数であり、22年を過ぎたら住宅を使えなくなるわけではありません。

 

中古の木造住宅の法的耐用年数はどうやって求める?

住宅は経過年数とともに耐用年数が減ってきますが、税制上は1年ごとに1年ずつ減るわけではなく、下記の計算式で耐用年数を求めます。

(22年-経過年数)+ 経過年数 × 20%

たとえば10年経過している中古住宅の場合は
(22 – 10)+ 10 × 0.2 = 14
で、法的耐用年数は14年です。

 

メンテナンスしなければ寿命は20~30年くらい

木造住宅の場合に建築材はけっこう長持ちするのですが、キッチン・バスルーム・トイレなど住宅設備が20年くらいでリフォームが必要になります。リフォームせずに我慢して使い続けたとしても、30年もすればまったく使えなくなるでしょう。キッチン・バスルーム・トイレが使えなくなれば、住宅に住むことはできません。こういった理由からメンテナンスしない住宅の寿命は20~30年くらいです。

 

リフォームなどでメンテナンスすれば寿命は80~100年

「国土交通省|期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について(13ページ参照)」によれば、「フラット35基準程度で50~60年、劣化対策等級3で75~90年、長期優良住宅認定であれば100年超」と記載されています。つまり、きちんとリフォームなどでメンテナンスすれば80〜100年住めるということです。実際にも、築50年くらいの中古住宅が販売されていますし、築100年の住宅に住んでいる人も多くいます。

 

木造住宅の耐用年数は3つの要素に影響

木造住宅の耐用年数は下記の3つの要素に影響します。

  • ・住宅ローン時の評価
  • ・国税庁の定めた減価償却費
  • ・中古住宅売却時の査定額

 

住宅ローン時の評価

中古住宅を購入して住宅ローンを申し込む場合、築年数20年以内の中古住宅、もしくはリフォーム後で「安心R住宅」に認定されていれば、原則的に認可されます。つまり、耐用年数が2年以上残っていれば、住宅ローンの利用が可能ということです。

ただし、住宅ローンの返済期間は耐用年数によって決まります。たとえば築10年なら返済期間は12年といった具合です。特にメガバンクは、こういった評価基準で厳しい傾向があります。

 

国税庁の定めた減価償却費

前述したとおり、法定耐用年数で減価償却期間が決まります。たとえば耐用年数が22年なら、22年間にわたり毎年減価償却費を計上できるわけです。住宅所得にかかった費用の全額を減価償却期間に配分し、その期に相当する金額を減価償却費として費用に計上します。1年間の減価償却費は定額法と定率法で違ってきますが、耐用年数が減価償却費に大きく影響することは間違いありません。耐用年数が長いほど、減価償却期間が長くなり、節税に役立つ期間も長くなります。

 

中古住宅売却時の査定額

中古住宅を売却する場合には、経年とともに販売価格がなだらかに低下していき、耐久年数が短くなるほど査定額が低くなる傾向があります。そして、中古住宅が法定耐久年数をこえると、たちまち売りにくくなりますが、見栄えが良く競合物件がない場合は売れる可能性があります。

 

固定資産税には関係しない

耐用年数は固定資産税にも影響するのでしょうか?固定資産税は下記の計算式で決められます。

固定資産税=固定資産評価額×税率

この式の要素である固定資産評価額は、3年に1度自治体が決めるもので、耐用年数とは無関係です。住宅が古くなっても固定資産評価額は新築時の50〜70%くらいが計上されます。したがって、耐用年数は固定資産税に関係しません。

 

まとめ:耐用年数を理解し、評価・減価償却・査定を有利に進めましょう!

一般的に「木造住宅の耐用年数は22年」といわれますが、これは国土交通省の定めた法定耐用年数をさし、減価償却率を計算するために法的に決めた耐用年数にすぎません。実際の木造住宅は、リフォームなどでメンテナンスすれば80〜100年住めます。

また、木造住宅の耐用年数は、住宅ローン時の評価・減価償却費・中古住宅売却時の査定額に影響する重要な指標です。耐用年数について正しく理解し、評価・減価償却・査定を有利に進めましょう。