住宅ローン控除とは?確定申告の手順や必要書類について解説
住宅ローン控除は、住宅ローン返済の負担を減らすために役立つ制度です。しかし手続きや書類関係が複雑で、面倒に感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、住宅ローン控除を受けるために必要な確定申告について手続きや書類をくわしく解説します。必要な書類の入手方法も解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除でどのくらいの期間、どのくらいの額の控除を受けられるのかは、条件によって異なります。
まずは住宅ローン控除の制度について、ポイントを押さえておきましょう。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除は正式名称を「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローン減税とも呼ばれる国の制度です。
住宅ローンを組んで家を取得したり省エネやバリアフリーの改修を行ったりする際に、一定条件を満たすことで適用され、税金が控除されます。
2022年の税制改正で内容が一部変更され、2025年まで延長されました。
要件を満たしている場合、確定申告をすれば最長13年間、年度末の住宅ローン残高の0.7%にあたる税金が還付されます。
住宅ローン控除で控除される額
住宅ローン控除の適用を受けると、控除期間中は毎年、以下のいずれか低いほうの金額が所得税や住民税から控除されます。
- ・年末時点の住宅ローン残高×0.7%
- ・1年間の最大控除額
最大控除額は対象となる住宅の性能や適用される年数によって異なるため、以下の表を参考にしてみてください。
2025年末までに入居した場合の控除額(目安)
なお、2022年以前に住宅ローン控除の適用を受けた場合は、改正前の控除率や控除期間、条件で計算する必要があります。
住宅ローン控除が適用される要件
住宅ローン控除の適用を受けるには、一定の要件を満たす必要があります。どのケースにも共通する主な要件は以下の通りです。
- 1.居住について
- ・控除を受ける人が、住宅の引渡し日または工事完了から6ヶ月以内に入居する
- ・控除を受ける年分の12月31日まで引き続き住居として居住している
- 2.所得について
- 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 3.床面積について
- 床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上が自身の居住用であること
- 4.住宅ローンの期間について
- 住宅ローンの借り入れ期間が10年以上にわたること
- 5.そのほか
- ・居住用にした年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に、居住用財産を譲渡した場合の譲渡所得の課税の特例を受けていないこと
- ・贈与による取得ではないこと
中古住宅や買取再販住宅、リフォーム・増改築の場合はそれぞれ別の要件が加わります。控除の適用を受けたい場合は必ず確認しましょう。くわしくはこちらの記事も参考にしてください。
>>住宅ローン減税とは?制度や手続き、改正のポイントをわかりやすく解説
住宅ローン控除を受けるための手続き
住宅ローン控除は、確定申告や年末調整の際に手続きを行います。手続きの流れや注意点を具体的に押さえておきましょう。
初年度は確定申告
住宅ローン控除を受ける初年度は、確定申告が必要です。一般的に会社員や公務員などの給与所得者は確定申告は不要ですが、住宅ローン控除の適用を受ける場合は初年度のみ確定申告を行います。
手続きの流れは以下の通りです。
- 1.必要書類を集める
- 2.確定申告書に必要事項を記入、必要書類を添付する
- 3.納税地の所轄税務署に提出または郵送する。国税庁のサイト上で電子申告(e-tax)も可能
還付金は申告後、約1ヶ月で指定した金融機関の口座に振り込まれます。
2年目以降は年末調整または確定申告
2年目以降は、給与所得者は年末調整で住宅ローン控除の適用を受けられます。
手続きの流れは以下の通りです。
- 1.必要書類を集める
- 2.必要事項を記入し、必要書類を添付する
- 3.会社に提出し申告する。
個人事業主などの場合は、2年目以降も確定申告が必要です。手続きの流れは初年度と同じですが、集める書類の数は少なくなるため、負担は減るでしょう。
確定申告の期間
確定申告の期間は毎年2月16日~3月15日あたりです。万が一、この期間内に手続きを忘れてしまった場合は、5年以内であれば還付申告ができます。
住宅ローン控除の確定申告に必要な書類
住宅ローン控除の確定申告に必要な書類は自分で入手するものと、関係機関から郵送などで届くものとがあります。
手続きの際に慌てないよう、必要書類の入手方法やどこからいつ届くかなどを押さえておきましょう。
確定申告書第一表・第二表
確定申告書の第一表と第二表は税務署で取得するか、または国税庁のホームページからダウンロードできます。
源泉徴収票
源泉徴収票は確定申告書の給与所得欄を記入する際に必要ですが、税務署への提出は不要です。
源泉徴収票は勤務先から交付されます。紛失した場合は再発行してもらわなければならないので、注意が必要です。
本人確認書類の写し
本人確認のための書類は、以下のaまたはbを準備します。
- a:マイナンバーカードのコピー
- b:マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票のコピー
- +運転免許証やパスポートなどの本人確認書類のコピー
マイナンバーが記載されている住民票は、市町村役場などで入手可能です。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
対象となる住宅の価格・広さ・年末残高を記入する書類です。売買契約書や登記事項証明書、年末残高証明書を参考にして記入します。
住宅ローンを連帯債務にしている場合は「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も必要です。
どちらも地域の税務署で取得、または国税庁のホームページからダウンロードできます。
見本は以下の通りです。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r05/14.pdf
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/005.pdf
こちらの記入例も参考にしてみてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2021/pdf/013.pdf
住宅ローンの年末残高等証明書
年末時点の住宅ローン残高が記載された書類で、借り入れを行っている金融機関から送付されます。複数の借り入れ先がある場合は、すべての金融機関の証明書が必要です。
初年度は確定申告に間に合うように1月以降、2年目以降は年末調整に間に合うように10月中旬ごろ郵送で届きます。12月末までに届かない場合は、早めに金融機関に問い合わせましょう。
建物・土地の登記事項証明書
住宅を取得した年月日や面積などが記載された書類です。確定申告の際に提出は必要ですが「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に不動産番号を記載すれば提出を省略できます。初年度のみ添付が必要で、2年目以降は不要です。
管轄の法務局に出向いて取得するか、オンラインでも申請ができます。
建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
建物や土地を取得した年月日や取得金額などが記載された書類のことで、具体的には以下の2つです。
- ・建物の工事請負契約書のコピー
- ・土地の売買契約書のコピー(※土地購入にも住宅ローン控除を受ける場合)
それぞれ土地や家の購入、建設を依頼した不動産業者や建設業者から入手します。初年度のみ添付が必要で、2年目以降は不要です。
住宅ローン控除の年末調整に必要な書類
年末調整で住宅ローン控除を申告する際に必要な書類について解説します。
手続き前に慌てないために、必要書類の入手方法やどこからいつ届くかなどを押さえておきましょう。
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
会社に住宅ローン控除を申告するための書類です。申告書の下部には初年度の確定申告で提出した内容があらかじめ印字されています。
初年度の確定申告をした年の10月ごろ、税務署から住宅ローン控除の対象年数分がまとめて郵送で届きます。最長12年分あるため、紛失しないよう、大切に保管しましょう。万一紛失した場合は、税務署に申告して再交付してもらう必要があります。
こちらの記入例も参考にしてみてください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2023/pdf/39.pdf
住宅ローンの年末残高等証明書
年末時点の住宅ローン残高が記載された書類です。2年目以降は年末調整に間に合うよう10月中旬ごろ、借り入れを行っている金融機関から郵送で届きます。
まとめ:住宅ローン控除に必要な確定申告の手続きや書類を押さえておこう
この記事では、住宅ローン控除の適用を受けるために必要な確定申告や年末調整の手続きについて解説しました。
特に初年度はどの職業でも確定申告は必要ですが、必要な書類やポイントを押さえておけば、手続きは難しくありません。2年目以降は会社員であれば年末調整、個人事業主などであれば引き続き確定申告を行いますが、初年度より書類も少なく手続きも簡便になります。
手続きの流れや注意点を押さえて、住宅ローン控除を活用しましょう。