注文住宅の打ち合わせで気を付けることは?着工までのスケジュールとともに解説!

2022年6月6日

注文住宅を建てるうえで大切になるのは、住宅会社との打ち合わせ。着工までのスケジュールを把握しながら打ち合わせをすることで、円滑に家づくりを進めることができます。

今回は住宅コンシェルジュの井上さんにインタビュー!数100棟もの家づくりをサポートしてきたプロならではの目線で知見を語っていただきました。

 

お話しを伺った方 

住宅コンシェルジュ 井上 加奈子(いのうえ かなこ)さん

【資格】

一般社団法人 日本ライフスタイル協会 リフォームスタイリスト3級

一般財団法人 日本相続カウンセル協会 相続カウンセル(相続管理士)

一般社団法人 ライフクリーエション協会 セルフコーチング・ノート 認定トレーナー

 

注文住宅の着工までのスケジュールは?5つのステップを解説

注文住宅を建てる際、わからないことだらけで不安ですよね。着工までどのような行程を踏むのか、スケジュール感を把握することで、円滑に家づくりを進められます。

着工までのスケジュールは以下の通り!注意点やポイントをお聞きしました。

①建物の大きさをイメージしながら土地を探す

②住宅ローンの手続きと並行して間取りや資金計画の打ち合わせを進める

③住宅設備や内装の打ち合わせを行う

④資金計画のめどが立ったら請負工事契約を締結する

⑤地鎮祭や地盤調査を行ったのち、着工

 

①建物の大きさをイメージしながら土地を探す

ー建物の大きさをイメージするとは、どういうことですか?

平屋を建てたい場合は広い土地を探したり、来客が多く車の出入りが多い場合は駐車場を広く取れるようにするなど、暮らしに合わせた土地を探すということです。都市部に行くほど広い土地はなくなるため、土地を探すエリアも重要。暮らしをイメージして必要な土地の広さを確認し、土地探しを始めましょう。

 

ー土地探しの際に注意すべきポイントを教えてください

家づくりにかける総予算をざっとイメージしておきましょう。土地はエリアによって相場がまちまち。どの場所に、どのような住宅を建てるか考え、総予算を決めておくのがおすすめです。

 

②住宅ローンの手続きと並行して間取りや資金計画の打ち合わせを進める

ー土地探しが終わってから資金計画を行うのですか?

そうですね。土地が決まると住宅ローンの事前審査を受けられるため、本格的な資金計画は土地が決まってからになります。

 

③住宅設備や内装の打ち合わせを行う

ー間取りが決まったら住宅設備や内装の打ち合わせですね!

はい。住宅会社の方と何度も打ち合わせを重ねて決めていきます。

 

④資金計画のめどが立ったら請負工事契約を締結する

ー契約までに多くの行程がありますね

そうですね。夏休み中の引っ越しや3月までに引っ越したいなどの期限がある方は、逆算して余裕をもって家づくりをしましょう。ただ、あまりに早すぎると住宅会社の方が困ってしまったり、建てようと思っていた土地が売れてしまうことも。

よい土地はすぐに売れてしまうため、「間取りや内装が決まる半年後に購入する」といったことはできません。土地はなかなか自分のタイミングで購入できないため、注意が必要です。

 

⑤地鎮祭や地盤調査をしたのち、着工

ー着工まで大体どれくらいの期間がかかるのですか?

およそ3か月~半年ほどになります。内装などがさくっと決まり、着工まであまり時間がかからない方や、半年ほどの長い期間を要する方など人によってさまざまです。

 

ー土地を契約してから着工まで数か月かかる場合もあるのですか?

お客さまによっては間取りや住宅設備がなかなか決まらず、着工が延びてしまうこともあります。

注意すべきはローンの支払いです。土地代と建物と2回に分けて住宅ローンを借りる場合、土地を購入した翌月から、家賃とは別に土地代の支払いが月に数万円かかることもあります

家賃にプラスされて土地代のローンを支払えない方は「つなぎ融資」という別のローンを組みます。つなぎ融資は利息が2%以上かかるため、土地を購入してから着工が延びるほど利息がたまってしまうのです。

 

ー土地を契約したらすぐに間取りや内装を決める必要がありますね!

そうなんです。土地を契約してから着工までは決めることがたくさんあるため、かなりあわただしい期間となります。

 

着工までの期間や打ち合わせの回数

土地の契約から着工まで決めることがたくさんあり、タイトなスケジュールとなる家づくり。具体的な着工までの期間や打ち合わせの回数はどれくらいなのでしょうか。

 

着工までの期間は3か月~半年ほど

ー土地探しから着工までの期間を教えてください

目安は3か月~半年ほどです。間取りが決まるのにどれくらいの期間を要するかは人によってさまざまなので、一概にはいえません。

 

着工までの打ち合わせ回数は約10回

ー着工まで何回ほど打ち合わせをしますか?

弊社の場合は間取り・資金計画・住宅設備・内装・電気配線の打合せなど、着工までに10回以上は打ち合わせが必要になります。

 

ー打ち合わせは対面でされることが多いのですか?

はい。やはり図面を見ながら話さなければいけない事項が多いため、LINEやメールではなく対面で打ち合わせをすることが多いと思います。

 

住宅会社を選ぶコツは?資金計画の注意点もご紹介

家づくりで大切な会社選び。ブランド力やデザインだけで決めるのではなく、自分がどのような家づくりをしたいかという基準で選ぶことが大切です。住宅会社を選ぶコツや、打ち合わせと並行して行う資金計画のコツをお聞きしました。

 

住宅会社との相性はとても大切

ー依頼する住宅会社を選ぶコツはなんですか?

私がよくお客さまに提案しているのは「どういう会社と長くお付き合いをしていきたいか」を書き出すこと。専門的な提案力でさくっと間取りを決めたい、じっくり話を聞いてもらいながら内装を決めたいなど、希望する家づくりのスタイルは人それぞれ。家が建った後も長くお付き合いすることを考え、相性のよい住宅会社を選びましょう。

 

資金計画で気を付けるポイント

ー資金計画で気を付けるべきポイントはなんですか?

家を建てるのにかかる費用は、土地代・建築費・外構費・諸経費に分けられます。諸経費に意外と費用が掛かるため、見落とさないように注意しましょう。

 

ー諸経費は、住宅会社によっては建築費に含まれることもあるのでしょうか?

そうですね。確認申請や地盤調査の費用、水道の申請などさまざまな諸経費があり、すべて建築費に入っていることもあれば、別項目で諸経費と示されていることもあります。建物を建てる費用と住むための費用というのは別にしている会社が多いため、内訳を確認することが大切です。

 

ー諸経費とはどれくらいかかるものなのでしょうか?

たとえば住宅ローンで4千万円を借りて融資手数料が2.2%の場合、手数料は88万円かかります。88万円と聞くと、諸経費といってもかなり大きな金額ですよね。ほかにも印紙代や登記費用、土地を購入する際にかかる仲介手数料などを合算すると諸経費だけで100万円以上かかることも。どの住宅会社にも資金計画書というものがあるので、諸経費や建築費の内訳を確認して資金計画を行いましょう。

 

ーほかに気を付けるべきポイントはありますか?

意外と忘れがちな外構費も考えておきましょう。庭の工事費が思ったより高く、資金計画に組み込めないことがあるためです。

通常、駐車場をコンクリートにするだけでも100万円以上の工事費がかかることも。計画せずに外構費は100万円くらいでよいと認識していると、思っていた以上に費用がかさみ、庭が手つかずになってしまう可能性もあります。土地や建物の大きさが決まった際は、庭に割けるスペースを把握し、外構費も加味して資金計画を進めましょう。

 

家づくりで重要な打ち合わせの注意点

初めての家づくりはわからないことだらけで不安ですよね。住宅会社や相談窓口の方と円滑にコミュニケーションをとることで、過度に不安になることなく家づくりを進められます。打ち合わせのコツをお聞きしました。

家づくりにおける悩みをヒアリングする井上さん

 

打ち合わせまでにあらかじめ家族で決めておくこと

ー打ち合わせまでに家族で決めておくことはありますか?

間取りや内装のイメージについては事前に家族で話し合い、要望をまとめておくとよいでしょう。最近はインスタグラムなどのSNSから好みのイメージを探すお客さまが多い傾向です。打ち合わせ回数が減り、住宅会社の方とのコミュニケーションも取りやすくなるため事前に調べておきましょう。

 

家づくりに正解はない!情報を鵜呑みにしないことがポイント

ー間取りや内装のイメージを調べておくことが大切ですね!

ポイントは、ネットで調べた情報を鵜呑みにしないことです。たとえばオープンキッチンが流行っている一方、調理器具をたくさん手元に置いて料理をしたい方であれば壁付けのキッチンのほうが向いています。

インターネットで簡単に情報を仕入れられるため、「流行りだから」「ネットに書いてあるから」という理由だけで間取りや内装を決めてしまうと、自分のライフスタイルに合わないことがあります。

 

ー流行り=住みやすいわけではないのですか?

そうですね。流行っているものが必ずしも自分の生活スタイルに合っているわけではありません。失敗事例も同様で、SNSやYouTubeなどで失敗した間取りなどを取り上げて紹介している方もよく見かけますが、失敗事例はあくまでその人個人の失敗であり、全員に当てはまるわけではありません。

 

ーでは、自分に合っている間取りはどのように見つければよいのでしょうか?

情報を鵜呑みにせず住宅会社の方と相談しながら決めたり、家づくりのアドバイザーなどプロの方に相談するのもよいと思います。プロは数100棟の家を見てきているため、お客さまの生活スタイルを聞くことで暮らしに合った間取りを提案できる点が強みです。

ネットにある情報の多くは、家を一度建てたときの経験談に基づくもの。あくまで事例として捉え、決めつけないことが大切です。家づくりは100人いれば100通りの正解があります。正しく情報を集めながら、自分の暮らしに合った間取りを考えていきましょう。

 

知っておいた方がよい建築用語とは

ー打ち合わせの際、知っておいた方がよい建築用語はありますか?

建築用語というよりは、寸法の感覚を身に付けることをおすすめします。家づくりの際に使う図面に書かれている数字の単位はすべて「㎜」。日常的には「㎝」や「m」で表すことが多いため、最初はなかなか慣れないと思います。単位も省略して話すことが多く、1mでも1mといわず、1000と表現する方が多いのです。設計士などプロの方はどうしても専門用語で話してしまうため、わからないことは質問しましょう。

 

ーほかに図面を見る際に気を付けるポイントはありますか?

有効寸法を理解しておきましょう。通常の図面では「壁の中心から向かいの壁の中心まで2000」という表記になっているため、2000㎜の幅がある家具は入りません。家具を購入する際は壁の厚みを引いた有効寸法を調べましょう。

 

打ち合わせで決まったことは記録に残す

ー打ち合わせで気を付けるべき点を教えてください

後々トラブルにならないよう、決まったことは記録に残すことが大切です。ドアや窓の開け方、エアコンのリモコンを付ける位置など、家づくりは決めることがたくさん。もちろん住宅会社の方は記録を残していますが、お客さま自身も管理しておくのがよいでしょう。

図面の打ち合わせは着工よりかなり前なので、ちょっとした住宅設備・照明の配置などは忘れてしまうことも。議事録や図面を共有したり、もらった資料を整理しておくことで、疑問が生まれてもすぐに確認できる状況をつくっておきましょう。

 

ーほかに気を付けるポイントはありますか?

専門用語でわからない言葉は聞き流さずに確認し、住宅会社の方との信頼関係を築いていきましょう。長い期間を要する家づくりにおいて、相手を疑ってしまうとキリがありません。疑問点はなるべくその場で解決し、お互いが気持ちよく家づくりを進められるようにしましょう。

 

住宅のプロが考えるいま人気の住宅設備とは

人気の住宅設備を取り入れることで暮らしがさらに豊かになることも。最近のトレンドをお聞きしました。

 

ルンバ基地を設置

ールンバ基地とはなんですか?

お掃除ロボットのルンバを充電する場所のことです。賃貸と違って戸建ては面積が広くなるため、自動で掃除するルンバを取り入れる方が多いのです。

階段下など人目に付きにくい場所にコンセントを設置してルンバ基地をつくり、部屋をすっきりと見せるひと工夫が流行っています。

 

マグネットの活用

ーマグネットの活用というのは?

以前のようにお風呂に固定する造作棚をつくるのではなく、家電量販店などで販売されているマグネットの棚を使うお客さまが多い印象です。固定する造作棚をつくると、予想以上に棚の位置が高かったり低かったり、掃除が大変だったりといったデメリットも。マグネットで取り外せる棚にすることで好きな場所に移動でき、掃除も簡単にできます。

収納は後付けにするので棚は設けなくてよいという方も最近増えており、自分でカスタマイズできる住宅が流行っています。

 

家づくりのトレンド5選をご紹介

新型コロナウイルスの影響で生活様式が大きく変化した現在、間取りや家づくりのトレンドも日々変化しています。いったいどのような間取りや建材が流行っているのでしょうか。

 

①帰宅してすぐに手洗いができる間取り

ー新型コロナウイルスの影響でどのような間取りが流行っていますか?

新型コロナウイルス感染症の影響で手洗い・うがいが励行され、玄関付近に造作の洗面台を設置する方が増えました。

トイレの手洗い場を外に出してトイレ用兼帰宅時の手洗い場にするなど、通常の洗面所にプラスしてもう1台手洗い器などをを設置するのがトレンドとなっています。

 

②スタディコーナーやテレワークスペース

ースタディコーナーやテレワークスペースはお家時間の増加が影響しているのでしょうか?

そうですね。在宅ワークやお家時間の増加で、子どもの勉強部屋も兼用して一緒に勉強できるスタディスペースが増えています。

 

③平屋住宅

ーいま平屋住宅が流行っているのですか?

はい。以前のように建て替えを希望される年配の方からの需要だけでなく、若い方も平屋住宅にする傾向にあります。マンション暮らしに慣れているため2階に上がるのがおっくうという方が多いのでしょう。

ベランダやバルコニーが不要という方も増えており、洗濯が終わり次第そのまま庭に干せる動線がトレンドとなっています。

 

④モルタルを取り入れた住宅

ーモルタルとはなんですか?

モルタルとはセメントに水と砂を混ぜてつくった灰色の建築材料のことです。コンクリートより強度は弱く、柔軟性が高い点が特徴です。

 

ーどのような場所にモルタルを取り入れるのですか?

玄関へ入る前のアプローチと呼ばれる部分や、玄関の靴を置くところ、手洗いのカウンターなどが挙げられます。壁紙もモルタルを塗ったような無機質なものにするなど、シンプルなデザインが人気になっています。

 

⑤原点回帰

ー原点回帰とはなんですか?

縁側や薪ストーブ、家庭菜園など、一昔前の生活様式を取り入れた間取りや住宅設備が流行っています。家にいる時間が増え、昔ながらの丁寧な暮らしが見直されているのだと考えられます。

 

まとめ

今回は家づくりに関する打ち合わせのコツやスケジュール感などを専門家の方にお聞きしました!数100棟もの事例を取り扱ってきた「プロ」ならではの視点から家づくりのコツを学べましたね。

初めての家づくり、資金計画やスケジュール感がつかめないのは当たり前のこと。正しく情報収集をしながら、家族や住宅会社の方と楽しく円滑に家づくりを進めていきましょう!

 

会社名 住宅コンシェルジュ
代表 井上加奈子
所在地 福岡市博多区榎田2丁目9-38 SKビル5F
電話番号 092-980-5008
事業内容 家づくりに関するトータルサポート窓口。
資金計画や物件探しのアドバイス、建築会社とのマッチング、打合せの立ち合い、住宅設備のコーディネートなど、はじめの一歩から完成まで、女性コンシェルジュがトータルでサポート。
公式サイト https://jutaku-concierge.com/
Instagram https://www.instagram.com/jutaku_concierge/