住宅ローンの金利は今後どうなる!?見通しを解説

2023年3月23日

住宅購入の際、多くの人が組むことになる住宅ローン。変動金利や固定金利といった金利タイプがあり、それぞれに適用される金利は異なります。

住宅ローンを組む際は、現在の市場・金利動向を見極めながら金利タイプを決めることが大切です。今回は、住宅ローンの金利動向や今後の見通しについて解説します。

 

住宅ローン金利の推移

「金利は生き物」といわれており、金利を決める要因はいくつもあります。過去の変動幅も大きく、数10年先の金利を見通すのはプロでも難しいといわれています。

では、住宅ローンの金利は過去どのように推移してきたのでしょうか。バブル崩壊前と崩壊後の金利の違いにも着目して考えてみましょう。

 

バブル崩壊後は金融緩和政策が取られ、低金利に

上の図は、住宅金融支援機構が発表する民間金融機関の住宅ローン金利推移を表したもの。1990年代ごろは金利8%越えなど、現在の2.475%とはかなり乖離があるとわかります。バブル期と現在で金利水準が異なる要因は、景気の違いです。

 

景気によって金利は変化

バブル期などの景気がよい時期、政府は金融引き締め政策を行います。金融引き締めとは、物価上昇や消費の増加など景気が過熱気味の時期に実施される政策のこと。市場に出回る資金量を減らし、経済の安定化を図ることが目的です。

対してバブル期が終わった1995年以降、金利は急激に低下しています。バブルがはじけると同時に景気が悪くなり、政府が金融緩和政策を行ったためです。金融緩和政策とは、金利を引き下げて消費者の購買行動を促し、市場に出回る資金量を増やすものです。

 

現在の変動金利は2.475%?

上図を見ると2023年3月現在の変動金利は2.475%と書かれていますが、1年で借入金額の2.475%の金利がかかるわけではありません。上記の金利は「基準金利」といわれ、基準金利から各金融機関が設定する「優遇金利」を差し引きます。

 

変動金利の金利相場

住宅ローンの金利は変動金利と固定金利の2種類があり、それぞれの金利相場や特色をつかむことが大切です。

変動金利とは、金利変動があった際に住宅ローンを借りている側も影響を受ける金利のこと。金利変動リスクがある分、固定金利よりも金利は低く設定されている点がポイントです。

変動金利の金利相場について解説します。

 

最低金利は0.289%

2023年3月現在の金利相場は、0.289%~5.000%といわれています(一般社団法人 住宅金融普及協会より)。最低金利は0.289%と、かなり低いことがわかります。

上記のように変動金利は低く設定されていますが、金利変動のリスクがあることを忘れてはいけません。

 

変動金利にはルールが設けられている

金利変動のリスクはある一方で、借入直後に金利が急激に上昇してすぐに影響を受けてしまう…というわけではありません。変動金利にはある2つのルールが設けられています。

 

変動金利のルール①5年ルール

遍度金利の5年ルールとは、返済額が決まって5年間は返済額が変動しないルールのこと。借入時0.3%の金利であれば、借り入れから5年間は金利変動があったとしても0.3%の据え置きでよいということです。急激な金利変動でも影響を受けにくいよう配慮したルールですね。

なお、金利の見直しは4月と10月の年2回行われます。

 

変動金利のルール②125%ルール

変動金利の125%ルールとは、金利が上昇して返済額が増えたとしても、元の返済額の125%は超えないというルールのこと。変動金利は金利が低下すると返済額も減る一方、金利が上がってしまうと返済額も増えてしまいます。125%ルールを適用することで、大幅な金利上昇があったとしても債務者がある程度対応できるようにしています。

 

固定金利の金利相場

続いて固定金利の金利相場を見ていきましょう。固定金利とは返済期間中に金利が一切変わらないものを指します。金利変動のリスクはない分、変動金利よりも金利は上がります。

固定金利の商品として代表的なものが、フラット35です。フラット35の金利相場を見ていきましょう。

 

フラット35の金利相場

フラット35の金利は2023年3月現在で約1.96%。変動金利よりも1%以上差があるとわかります。

フラット35の金利推移を見てみると、2022年3月あたりからじわりと金利が上昇しています。変動金利と比べて固定金利はじわりと上昇傾向にあるようです。

固定金利が上昇した要因は、日本銀行の金融政策によるものです。日本銀行が長期金利の金利上限を引き上げたため、固定金利も上昇しました。

 

住宅ローンの金利はじわりと上昇?今後はどうなる?

住宅ローンの固定金利がじわりと上昇している現在。今後は変動金利も上昇するのでしょうか。住宅ローンの今後について解説します。

 

固定金利と変動金利で影響する金利は異なる

なぜ固定金利のみ上昇しており、変動金利は上昇しないのでしょうか。その要因は、固定金利は日本銀行の長期金利に、変動金利は日本銀行の短期金利の変動に影響されるためです。現在、日本銀行の長期金利は若干上がっています。長期金利が実質引き上げられた状態となったため固定金利も上がっている一方、変動金利は短期金利に紐づいているため長期金利の影響は受けていません。

 

日本銀行が見ているのは物価高と賃金

上述したように、変動金利は日本銀行が短期金利を引き上げ/引き下げたときに変動するものです。短期金利は基本的に日本銀行の政策によって決まるため、日本銀行が政策金利を変動させない限り、変動金利も急激に変動はしないでしょう。

日本銀行が見ているのは、主に物価高と賃金といわれています。物価も賃金も上がっている状況であれば経済が活性化しているため、金融引き締め政策として金利を引き上げます。

 

現在は物価高?

2022年から現在にかけて、ウクライナ戦争の影響でさまざまなものが値上がりしています。物価は上がっているので変動金利も上がるのでは?と考える方もいるかもしれませんが、そうではありません。物価だけが上がり、賃金はそのままもしくは下がっているのであれば、経済が発達したとはいえないためです。

 

まとめ

今回は、住宅ローン金利の今後について解説しました!今後の金利がどうなるか、見通しを立てながら住宅ローンを組んでいきましょう!