窓にも断熱が必要な理由とは?断熱性を高めるポイントや実例をご紹介

2024年2月11日

常に快適な室温を維持できる家にするには、断熱性や気密性が重要です。建物の断熱性は、構造や使用する断熱材・断熱工法だけではなく、窓も左右すると言われています。なぜ窓にも断熱が必要なのか、その理由を知りたい方もいるでしょう。

今回は、窓に断熱が必要な理由をご紹介します。断熱性を高めるポイントや個人でできる断熱対策、実例なども解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

窓は外気の影響を受けやすいので断熱が必要!

窓にも断熱が必要な理由は、建物の中で特に外気の影響を受けやすい部分であるためです。壁は断熱材を挟んで何層にもなるので、その厚みによって外気の影響を受けにくくなっています。しかし、窓は基本的にガラス1枚となるので壁よりも薄く、さらに外と接する部分なので室温にも影響しやすい部分です。

具体的には暖かい室内の空気が窓から外に流出する、または強い日差しによる熱が窓から侵入することで、室温に影響を与えます。冬場に暖気が窓から流出する割合は50%、夏場に熱が窓から流入する割合は73%というデータもあり、窓が室温に影響を与える要素であることがわかるでしょう。

窓も断熱を重視することで、熱の流出や流入を低減し、快適な室温を保ちやすくなります。冷暖房効率もよくなるため、頻繁に設定温度を上げ下げする必要がなく、光熱費を削減できるのもメリットです。

 

窓の断熱性・気密性を高めるポイント

家づくりでは壁・屋根・床だけではなく、窓の断熱性を意識してプランを練る必要があります。ここで、窓の断熱性・気密性を高めるためのポイントを見ていきましょう。

 

複層ガラスの窓にする

断熱性や気密性の高い窓を選ぶなら、複層ガラスを選びましょう。外気の影響を受けやすいのは窓の薄さにあります。複層ガラスはガラス部分が2層や3層となっているので、1層の窓よりも厚みがあり、断熱効果が高いのです。寒冷地では3層のトリプルガラス、そのほかの地域ではペアガラスがよく採用されています。

また、複層ガラス以外に二重窓を採用するのもよいでしょう。二重窓は窓の内側にもう一つサッシと窓を設けることです。窓を二重にすることで、断熱性と気密性を高められます。

ただし、窓の開け閉めに手間がかかる、掃除がしにくいなどのデメリットがあるので注意してください。

 

サッシは木製か樹脂にする

ガラスだけではなく、サッシも断熱性・気密性を左右する部分です。サッシの素材には、アルミや樹脂、木製などさまざまな種類があります。

中でも断熱性が高いとされる素材は、木製と樹脂です。木製や樹脂は熱が伝わりにくい素材であるため、一般的なアルミサッシよりも断熱性に優れています。

木製サッシなら木の風合いがおしゃれで、防火認定を受けているものであれば防火性にも不安がありません。ただし、アルミや樹脂と比べてコストが高く、腐食や塗装剥がれが起きやすい点はデメリットです。

樹脂サッシは複層ガラスと組み合わせられることが多く、そのような窓を一般的に断熱窓と呼びます。形状やカラーのバリエーションが豊富で、家や窓のデザインに合わせて選ぶことが可能です。強度はアルミよりも劣りますが、そのデメリットをカバーするためにアルミを組み合わせたアルミ樹脂複合窓が主流になってきています。

 

窓を多く設置しすぎない

一つの部屋に対して窓の数が多いと、採光がよいというメリットがあります。しかし、断熱性を低下させる原因にもなるので注意しましょう。

窓が多いと、設置した窓から暖気が逃げたり、熱が入り込んだりしてしまいます。反対に設置する窓が少なければ、外気の影響を減らすことが可能です。窓の数や配置は防犯性・プライバシー・家のデザインにも関わるので、その点も考慮して必要な数を見極めましょう。

 

個人的にできる窓の断熱対策とは?

すでに家が完成している場合、窓の断熱性を高めるためにはリフォームをしなければなりません。しかし、リフォームでなくても、個人でできる断熱対策があります。あくまでも効果は限定的なものとなりますが、少し断熱性が足りないと感じたときに試してみてください。

 

断熱シート・フィルムを窓に貼る

市販の断熱シートやフィルムを窓に貼りつけることで、断熱性を高めることが可能です。断熱シート・フィルムには、赤外線や紫外線をカットする加工が施されています。暖房器具から発せられる赤外線や外からの紫外線が反射され、室内外に熱が伝わるのを防いでくれるのです。

透明のシートであれば、部屋の雰囲気や視界を損ねることがありません。また、マジックミラータイプだと外から家の中が見にくくなり、プライバシー保護の観点ではメリットが大きいでしょう。

緩衝材として使われる「プチプチ」を窓に貼るのも一定の断熱効果がありますが、見た目がよくないデメリットがあります。目立ちやすい窓は多少お金をかけても、断熱シート・フィルムの使用がおすすめです。

 

断熱カーテンを取りつける

断熱カーテンは熱を通しにくい生地を使ったり、特殊な加工が施されたりしたカーテンです。熱や冷気を遮断する効果があるので、普通のカーテンと比べて快適な室温を保てます。二重窓やシャッターをリフォームで取りつけるよりもお手軽に断熱対策ができるでしょう。

断熱カーテンは遮光カーテンと混同されるケースがありますが、遮光カーテンの効果はあくまでも外からの光を遮ることです。強い日差しが入り込みやすい夏場はともかく、冬場の断熱効果にはあまり期待できないので注意してください。

 

【実例】断熱性の高い家にするための工夫

断熱性の高い家にするためにどんな工夫が求められるのか、ここで参考に実例をご紹介します。

 

すべり出し窓で部屋の気密性を向上

窓にはさまざまな種類がありますが、断熱性を重視する際はすべり出し窓をおすすめします。すべり出し窓とは、外側にすべり出す形で開くことができる窓です。

回転軸が縦方向に動いて開く窓は縦すべり出し窓、反対に横方向に動いて開く窓は横すべり出し窓と呼ばれています。すべり出し窓は、一般的な引き違い窓と比べて、窓を閉めたときに隙間ができにくいため気密性が高く、室内外を一定の温度に保ちやすいといわれています。

 

トリプルガラス(サッシ)で断熱性と遮音性をアップ

複層ガラスの一種であるトリプルガラスは、ペアガラスよりも層が厚いため高い断熱性能を持ちます。そのため、寒冷地や断熱性を高めたいときはトリプルガラスを採用しましょう。

トリプルガラスは遮音性も高いので、大通りに近い立地や道路に面した部屋にもおすすめです。強度も高いので防犯性にも優れています。

ただし、単板ガラスやペアガラスよりも重いため、開け閉めに負担が生じやすい点がデメリットです。また、導入コストも高くなりやすいので、その点も考慮して導入を検討しましょう。

 

北側に窓をつけて夏の強い日差しを防ぐ

あえて窓を北側に設置するのも一つの工夫です。北側に窓を設置した場合、直射日光が当たりにくいというメリットがあります。特に日差しが強い夏場は、直射日光の侵入を防ぐことで室内の温度上昇を防げる可能性が高いといえます。

北側の窓は冬になると冷気の影響を受けやすくなります。そのため、気密性の高い窓や高性能な断熱材を使用する工夫が必要です。

 

断熱性向上を目的にした窓リフォームには補助金が使える!

断熱性を高めるために窓のリフォームを検討する場合、「先進的窓リノベ事業」という国の補助金制度が利用できます。先進的窓リノベ事業では、既存窓のガラスを複層ガラスの交換・内窓の設置・外窓の交換といったリフォーム工事を行う場合、最大50%のリフォーム費用が還元されます。

なお、先進的窓リノベ事業に登録する事業者と契約して、リフォームを行うことが対象要件です。また、実施期間が定められているので、補助金を利用した場合は施工会社に確認してください。

 

まとめ:断熱性の高い窓を選んで高断熱の家づくりを目指そう!

今回は、窓の断熱の必要性から断熱を高めるポイントなどをご紹介しました。窓は換気や採光、デザインなどあらゆる要素に関わります。そして、建物の断熱性にも大きな影響を与えるので、ご紹介したポイントや実例を参考に、窓選びや配置は慎重に行ってください。

すでに家が完成している場合も個人的にできる対策や窓リフォームで断熱性の向上が可能です。窓リフォームでは補助金が使える可能性があるので、ぜひ活用してお得にリフォームしましょう。