家を買うタイミングはいつ?資金計画の大切さもプロが徹底解説!

2022年7月6日

「なんとなく30歳以降?」「結婚したら買う?」など、家を買うタイミングに迷う方も多いのではないでしょうか。

今回は、家を買うタイミングについて独立系ファイナンシャルアドバイザーの千葉さんにインタビュー!家を買うタイミングや注意点、ライフプランの大切さなどをお聞きしました。

 

お話しを伺った方

独立系ファイナンシャルアドバイザー 千葉 登(ちば のぼる)さん

【資格】

AFP(日本FP協会認定)、証券外務員一種、相続診断士、ライフコンサルタント

【経歴】

1972年青森生まれ。青森の住宅会社で10年間勤務し、トップ営業を2年連続で取得。その後は保険代理店に所属しながらファイナンシャルアドバイザーとして活動しており、MDRTを5年連続獲得。現在9年目を迎える。

 

家を買うタイミングはどう決める?

家を買うタイミングは、「いくら貯まったら家を買う」という資金面から考える場合と、結婚や出産などのライフイベントから考える場合に分けられます。家を買うタイミングは、どちらの考え方で決めるのがよいのでしょうか。

 

家を買うにはいくら必要?頭金の目安

ー家を買うには頭金をいくら用意すればよいのでしょうか?

一般的には土地と建物を足した金額の2割ほどといわれています。私としては2割より低くてもよいと考えています。手元の資金をすべて頭金にするよりは、多少頭金を減らしてでも資金を持っておくほうがよいと思うためです。

 

ー手元に残る資金は、家を買うこと以外に充てるのでしょうか?

はい。家を買うこと以外にも、教育費や老後の資金など、まとまったお金が必要になるときは多々ありますよね。家を買うことのみ考えるのではなく、バランスよく資金を使うことが大切です。

 

お金が貯まるのを待つより、老後を見越して早めに行動!

ー家を買うには、金額面から考えるかライフイベントから考えるかどちらがよいと思いますか?

ライフイベントから考えるほうがよいと思います。「頭金がいくら貯まったら家を買う!」と決めて貯金するのもよいのですが、住宅ローンを組むのが遅れると、老後にローンが残ってしまうかもしれません。

35年で住宅ローンを組む場合、頭金を少なめにして30歳からローンを組んで家を買うのであれば、ちょうど65歳で返済が終わります。一方で、頭金が貯まるまで5年間我慢した場合、同じく35年ローンを組むのであれば返済は70歳まで続いてしまいます。

老後に住宅ローンの返済を残さないほうが安心ですし、老後の見通しが立てやすいのです。

 

月々の返済+貯蓄で老後も安心できる資金計画を

ーなるほど。65歳で返済が終われるように住宅ローンを組むことが大切なのですね!

現役時代に返済を終えられるのがベストである一方、無理やり65歳で終わるローンを組むことはおすすめしません。現役時代に返済が終わらない場合は無理やり老後に残さないローンの組み方をするのでなく、できるだけ返済期間を長く設定しましょう。

月々の支払いを圧迫しないためにできるだけローンの返済期間を長く設定し、老後に返すような仕組みを同時につくっていくことが大切です。

 

ー老後に返すような仕組みとはなんですか?

端的にいうと貯蓄です。住宅ローンの返済にいっぱいいっぱいで貯蓄ができないと、教育資金や老後資金などほかの資金に充てられる余裕がなくなることもあります。住宅ローンは多めに借りても、しっかり貯蓄できるような資金計画を立てましょう。

 

ー月々の支払いを抑えながら貯蓄をするのですね!

そうですね。いちばんよくないのは、月々の返済額を低くして貯蓄をしないことです。貯蓄するという前提でローンの返済期間を長く設けているため、老後に600万円返済が残るのであれば、貯蓄して600万円返せるような仕組みをつくる必要があります。

老後にいくら貯めると目標を決めて、そこから逆算するように毎月の返済額を決めていきます。

 

ライフイベントから考える家を買うタイミングとは?

結婚、出産などのライフイベントから家を買う方も多いのではないでしょうか。ライフイベントから考える家を買うタイミングについて、くわしくお聞きしました。

 

ケース①結婚を機に家を買う場合

ー結婚を機に家を買う際のポイントは?

子どもは何人つくるかなど読めない部分があるため、仕切りで何部屋もつくるのではなく将来的に部屋数やスペースを調節できるような家にするとよいでしょう。

人気の部屋タイプとして、小さい子ども部屋と夫婦の寝室が一体となったものが挙げられます。子どもが小さい時は近くにいるため安心ですし、大きくなったら仕切りを設置して部屋を独立させることもできます。

結婚を機に家を買うとお互いの家賃を節約できるため経済的である一方、家族構成が読めないので家づくりに困ることも。事前に子どもは何人欲しいか計画を立て、柔軟に対応できる家をつくることが大切です。

 

ケース②出産を機に家を買う場合

ー出産を機に家を買う際のポイントは?

家を買う際は住宅資金だけに注力するのではなく、教育資金や老後資金なども含めて資金計画をすることがポイントです。

親は、子どもがやりたいことに思い切り挑戦できる環境をつくりたいと思うもの。住宅資金とのバランスを見ながら資金計画を立てましょう。

 

ケース③子どもの入学を機に家を買う場合

ー子どもの入学を機に家を買う際のポイントは?

小学校の近くに新築するのは必ずしもベストではないことです。住宅ローンの返済期間が35年ある中、小学校に通う期間はたった6年。その6年のみを見て購入する家や土地を決めるのは、あまりおすすめしません。

子どもが中学・高校・社会人となった時に利便性のよい場所はどこか、また自分の通勤や買い物のしやすさなど、家族全体にとって最適な場所を考えながら家を探しましょう。

 

家を買うタイミングはいつがいい?見定めるポイント

ー家を買うタイミングはどのように決めるとよいですか?

老後の見通しがはっきりしたタイミングで家を買うとよいでしょう。

人生100年時代といわれている現在、定年退職した65歳以降も住宅ローンが1本まるっと借りられる期間(35年)が襲ってきます。老後は切っても切れないため、50~60代でローンがいくら残るか、修繕はどのタイミングでするか考え、逆算していくら必要か計画することが重要です。

 

家を買う前に考えて!老後の生活資金

家を買う際は、定年後の生活も考えて資金計画をすることが大切だとわかりました。しかし、老後について具体的にどう考えればよいかわからない方も多いのではないでしょうか。

家を買う前に考えたい老後の生活資金について、くわしくお聞きしました。

 

老後に必要な資金は2000万円

ー定年後100歳まで生きるとすると、大体いくら必要になるのでしょうか?

ざっくりいうと2000万円必要だといわれており、3000万円ほどあると安心して老後を迎えられるでしょう。お客さまから住宅購入について相談をされた際は、必ず老後のことも見越して資金計画を立てています。

 

老後の生活を補填するローンはない!

ーたしかに、老後も住宅ローンの返済が残っていると不安ですよね…

現役時代であれば住宅ローンも教育ローンもすぐに借りられる一方、老後に借りられるローンはそう多くありません。老後の生活が苦しいからといって、「老後の生活ローン」なるものは存在しないのです。

そのため、手元に資金を残したり負債をなくしたりしながら住宅ローンを組むことが大切です。

 

性能のよい家を選ぶのもポイント

ーそのほか老後の支出を抑えるポイントは何かありますか?

メンテナンス費用のかからない家を買うとよいでしょう。多少値段が高くても性能がよいのであれば、高い家を選ぶほうが後のメンテナンス費用を安く抑えられるでしょう。

メンテナンスの時期は50年後など、現役を引退して必要になることもありますよね。定年退職後にリフォームローンを組もうとしても、年齢的に組めないという事態が考えられます。できるだけ性能にもこだわって家を買うことで、将来的に必要になるリフォーム資金を節約できるのです。

 

ーリフォームは大体いくらほどかかるのですか?

外壁や屋根の修理には200~300万円かかることがあります。リフォーム資金が苦しいため息子名義でリフォームローンを借りると、息子の新築に影響を及ぼすこともあります。

自立していくためには老後のメンテナンス費用も加味して資金計画を立てることが大切です。

 

人生の見通しを立てるためにライフプランを

家を買う時だけでなく、人生の見通しを立てるためにライフプランが必要だと語る千葉さん。ライフプランの大切さについてお聞きしました。

 

家を買う時だけじゃない!ライフプランは人生のカーナビ

ーライフプランを立てることは大切なのですね!

そうですね。家を買う時だけでなく、独身時代から人生の見通しをもってライフプランを立てることが大切です。

どこか旅行に行く際は目的地までのカーナビを設定しますよね。人生も同じで、ゴールに向かって走れるような見通しを立てておかないと、自分の好きなことややりたいことができなかったり、将来が不安なまま毎日を過ごさないといけません。

家を買う買わないにかかわらず、全員に老後はやってきます。生きていくうえでどのような暮らしをしたいか考えながらライフプランを立てることで、より豊かな人生を過ごせるのです。

 

教育資金・住宅資金・老後資金の3つがポイント

ーライフプランを立てるうえで何か大切なことはありますか?

教育資金・住宅資金・老後資金の3点には困らないようなライフプランを立てましょう。老後は誰にでもやってくるものですし、子どもがいれば教育資金は避けられません。

人生にかかわる可能性が高い3つの資金について、しっかり見通しを持って計画を立てましょう。

 

ーたしかに、とくに老後資金は必ず必要になりますよね…

そうですね。まるで氷山の一角のように、家を買ってから2~3年後の見通ししか見えていないという方は多いと感じます。老後については先のことであるため、具体的なビジョンが見えないとわからないんですよね。

迷いや不安なく人生を進められるよう、具体的なビジョンを示して資金計画をするのが私たちファイナンシャルプランナーの仕事だと思っています。

 

ライフプランは都度メンテナンスを

ーライフプランはどのタイミングで考えるとよいですか?

独身時代からプランニングすることをおすすめしています。プランニングした計画は、結婚、出産、家を買うタイミングで見直すとよいでしょう。

要は健康診断のようなもので、資金に関してもライフイベントごとにメンテナンスをすることが必要です。

 

ーライフプランを立てるにはプロに相談するのがよいのでしょうか?

プロに相談するのがいちばんよいと思います。数100世帯ものケースを見たプランナーと、自分のケースしか見ていない自分自身で立てるのとでは、大きな違いがあります。

最近はYouTubeやSNSなどで多くの情報を取り入れられますが、すべてが正しい情報とは限りません。信頼できるプランナーから新たな情報を得ることで、新たな行動につながります。行動が変われば結果が変わるため、主体的に確かな情報を手に入れるように動くことが大切なのです。

 

まとめ

今回は、家を買うタイミングや資金計画の大切さ、ライフプランを立てる際に気を付けることなどをお聞きしました!家を買うことは人生のビッグイベントである一方、老後や教育資金などもしっかり見通しを立てていく必要があります。

人生の見通しを立てながら、安心して家づくりを進めていきましょう!

 

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