住宅ローン減税制度が縮小?改正のポイントを紹介

2022年2月10日

住宅ローンを借りる際に利用できる減税制度があるのをご存知でしょうか。ニュースや雑誌の連載で情報を得ている方もいると思いますが、制度についてきちんと理解している人は少ないでしょう。

控除率は0.7%で、一般住宅の場合は1年間で最大21万円控除できます。しかし、2022年の税制改正により、今後一般住宅は税制優遇が厳しくなります。

これから住宅取得を考えている方は、住宅ローン減税制度についてきちんと理解しておくことが大切。この記事では、住宅ローン減税制度についてくわしく解説します!

 

住宅ローン減税制度の概要

住宅ローン減税制度は、住宅ローンを組む際にきちんと知っておきたい制度のひとつ。ここでは住宅ローン減税制度についてくわしく解説します。

 

住宅ローン減税制度とは?

住宅ローン減税制度とは、住宅購入のためにローンを組んだ場合、ローンの残高から0.7%を所得税から控除する減税措置のことです。減税率はそこまで大きくありませんが、住宅ローンを組む際には利用しておきたい制度といえます。

また、所得税から控除しきれない金額も住民税の一部から控除されます。住宅ローン減税は、所得税を算出した後に税額から差し引く控除である点に注意が必要です。

 

対象住宅

住宅ローン減税の対象となる住宅は、戸建てや形式、築年数に関わらずほぼ全ての住宅が対象です。リフォームや土地取得のためのローンも住宅ローン減税の対象になります。

 

住宅ローン減税制度を受けるための条件

住宅ローン減税制度を受けるためには、居住用の住宅の取得・リフォームなどの一定期間以上のローンを利用する必要があります。制度の対象にならないのは、別荘やセカンドハウス、貸家などです。

 

住宅ローン減税制度は縮小?対象者は変わる?

2022年税制改正大綱により、2021年の末に現行の住宅ローン減税制度が終了しました。新たな住宅ローン控除制度では、控除率の引き下げや控除対象の変更など、旧制度からさまざまな点が変更されている点に注意が必要です。また期間は4年間延長され、2025年まで適用されます。

新しくなった住宅ローン減税制度について賛否両論ありますが、ここではどのように変更があったのか解説します。

 

控除率の引き下げはいつから?対象者は変わる?

住宅ローン減税制度は、2021年末に現行制度が終了し、2022年から新制度になります。つまり、2022年から控除率が引き下げになります。すでに住宅ローン減税制度を受けている場合は、控除率は変わりません。

旧住宅ローン制度では控除率が1%でしたが、新制度では0.7%になります。仮に年末に5,000万円の住宅ローンが残っていたとすると、旧制度では控除率1%の50万円が控除額であるのに対し、新制度では控除率0.7%で控除額が35万円。このように旧制度と新制度では、税負担が大きく異なります。

また住宅ローン減税制度の対象者も変化している点に注意が必要です。年間の所得が3,000万円以下の方から2,000万円以下の方までが対象となっています。

 

控除期間の変更

控除期間は10年から13年へと変更されました。しかし、もともと旧制度の特例措置で控除期間が13年に延長されていたため、大きな変化はありません。

なお省エネ物件や認定住宅を除く一般住宅の場合は、2024年以降の入居から10年間の控除期間となる点に注意が必要です。

 

40㎡以上の住宅を控除対象へ

旧住宅ローン減税制度では、控除適用対象となる新築住宅の床面積は50㎡以上。改正後は40㎡以上へと緩和されました。

しかし、40㎡以上50㎡未満の住宅で、所得金額が1,000万円を超える場合は、減税制度の対象外になります。

 

住宅ローンの借入限度額は3,000万円まで

一般住宅は、住宅ローンの借入限度額が4,000万円から3,000万円へと引き下げになりました。また2024年以降の入居は0円となります。2023年までに新築の建築確認ができれば、2,000万円までが上限になっています。

つまり、一般住宅は2024年以降の住宅ローン減税を受けられなくなります。なお、省エネ住宅は借入限度額が一部引き下げられますが、住宅ローン減税制度は受けることができます。

 

既存住宅の築年数要件緩和

既存住宅の築年数要件が緩和されました。以前の住宅ローン減税制度では、耐火住宅25年以内・非耐火住宅20年以内の住宅に関して、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書や耐震基準適合証明書の提出が必要でした。

新制度では、2022年からは昭和57年(1982年)以降に建築された住宅は「新耐震基準適合住宅」へと認められ、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書や耐震基準適合証明書の提出が不要になります。

 

住宅取得資金の贈与税非課税措置を2年延長

住宅取得等資金の贈与税非課税措置が2年間延長され、2023年まで適用となりました。住宅取得等資金の贈与税非課税措置とは、両親や祖父母から住宅取得やリフォームなどで資金を贈与する際に、一定額まで非課税になる制度のこと。

非課税限度額は、環境に配慮した住宅は1,000万円、その他一般住宅は500万円と定められています。

 

【新制度】住宅の種類や性能による違い

新たな住宅ローン減税制度は、住宅の性能で優遇が大きく異なります。

 

新築住宅・買取再販 既存住宅
 住宅の種類 長期優良住宅・
低炭素住宅
ZEH水準
省エネ住宅
省エネ基準
適合住宅
その他の住宅 省エネ住宅等 その他の住宅
 控除期間 13年 10年
 控除借入限度額 5,000万円 4,500万円 4,000万円 3,000万円 3,000万円 2,000万円
 控除率 0.7%


上記の表からわかるとおり、住宅の性能によって控除期間や借入限度額に差があります。また2024年以降の入居の場合、既存の一般住宅は住宅ローン減税制度が利用できない点にも注意が必要です。

2024年以降に住宅ローン減税を受けたい場合、環境に配慮した物件選びが重要になるでしょう。

 

住宅ローン減税制度の手続き方法

最初の1回目は確定申告、会社で年末調整をしている方は、2回目以降は毎年年末調整での手続きになります。住宅ローン減税制度は、所得税と住民税から税額控除されます。確定申告は翌年3月15日までに、税務署で直接行うか、電子申告での手続きが必要です。

一般住宅の場合は、以下の必要書類を用意します。

  1. 1. 明細書
  2. 2. 残高証明書
  3. 3. 登記事項証明書、請負契約書の写し、売買契約書の写し等
  4. 4. 給与等の源泉徴収票
  5. 5. 耐震基準適合証明書、住宅性能評価書の写し、既存住宅売買瑕疵保険付保証明書

 

まとめ:住宅ローン減税制度は縮小!省エネ基準の住宅選びが重要

住宅ローン減税制度は、住宅取得でローンを組む際には利用しておきたい制度。0.7%が所得税から控除され、控除しきれない分は住民税から控除されます。注意すべきポイントは、2024年以降の場合に一般住宅では控除の対象外となることです。

一方、ZEH住宅や省エネ住宅など、環境に配慮した住宅は住宅ローン減税が受けられます。住宅ローン減税を利用したい方は環境に配慮したじゅうたくを選ぶことをおすすめします。

住宅ローン減税制度は、住宅ローンを組む場合に利用しておきたい制度のひとつ。正しく理解し、かしこく家づくりをしていきましょう!