長期優良住宅の補助金3つ | 活用する際のポイントや優遇制度も解説

2023年6月10日

「長期優良住宅を建てた場合の補助金がいくらもらえるか知りたい」
「長期優良住宅には、どのような優遇制度があるの?」

このようなお悩みはないでしょうか?

長期優良住宅は、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいた、長期にわたり良好な状態で使用できる住宅のことです。一般の住宅に比べて高い性能を有している点が魅力ですが、その分費用負担も大きくなります。

そこで気になるのが、活用できる補助金や優遇制度です。

この記事では、長期優良住宅の基礎知識や活用できる補助金、優遇制度などについて解説します。

長期優良住宅を建てるか悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください

 

長期優良住宅の基礎知識

まず、長期優良住宅の基礎知識を押さえましょう。

 

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、長期間にわたって良好な状態で使用できるよう、必要な措置が講じられている住宅のことです。つまり、すぐに劣化や破損が生じることなく、快適な生活を長く続けられるための設備が整備された住宅のことを指します。

長期優良住宅の認定は「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて行われています。新築住宅の場合、具体的には住宅建築の着工前に「長期優良住宅の建築及び維持保全に関する計画」を作成し、都道府県や市町村などの所管行政庁へ申請を行わなければなりません。

また必須ではありませんが、所管行政庁への申請前に国が登録した住宅性能評価機関に「長期使用構造等確認」の申請が行えます。住宅性能評価機関とは、省エネ性能や耐震性など、住宅に関する性能について評価を行う機関です。

「長期使用構造等確認」を行うことで、交付される確認書等で長期優良住宅の認定基準に適合しているかどうかを確認できます。このため、所管行政庁への申請前に行っておくことが、申請方法として一般的です。

「長期使用構造等確認」及び所管行政庁への申請を行い、適合審査で認定されると、長期優良住宅の認定通知書が交付されます。

 

長期優良住宅の要件

長期優良住宅の認定を受けるためには、所管行政庁への申請時に提出する「長期優良住宅の建築及び維持保全に関する計画」が、以下の要件を満たす必要があります。

・住宅の構造および設備について長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられていること
・住宅の面積が良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
・地域の居住環境の維持・向上に配慮されたものであること
・維持保全計画が適切なものであること
・自然災害による被害の発生の防止、軽減に配慮がされたものであること

具体的には、以下10の性能項目を満たしているか審査が行われます。

1.劣化対策
2.耐震性
3.省エネルギー性
4.維持管理・更新の容易性
5.可変性
6.バリアフリー性
7.居住環境
8.住戸面積
9.維持保全計画
10.災害配慮

それぞれに条件や性能の高さを表す等級基準が設けられており、長期的に良好な状態で使用できるか総合的な判断が可能です。

 

長期優良住宅の補助金3つ

長期優良住宅の補助金について、以下3つが挙げられます。

① こどもエコすまい支援事業
② 地域型住宅グリーン化事業
③ 各市町村の補助金制度

それぞれ見ていきましょう。

 

① こどもエコすまい支援事業

こどもエコすまい支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯による住宅の新築などを支援する事業です。

建築主の代わりに手続きを行い、交付された補助金を建築主に還元する「こどもエコすまい支援事業者」と工事請負契約を交わして住宅を新築する場合が対象になります。

以下7つの住宅要件を満たすことで、1戸あたり100万円の補助金を受給可能です。

1.所有者(建築主)自らが居住する
2.住戸の面積が50平米以上である
3.土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
4.都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていないもの
5.未完成または完成から1年以内であり、人の居住の用に供したことのないもの
6.証明書等により、高い省エネ性能(ZEHレベル)を有することが確認できる
7.交付申請時、一定以上の出来高の工事完了が確認できる

 

なお、高い省エネ性能(ZEHレベル)については、長期優良住宅の認定を受けることで対象となります。

 

② 地域型住宅グリーン化事業

地域型住宅グリーン化事業とは、地域の工務店やハウスメーカーによる高性能な木造住宅の新築やリフォームなどを支援する事業です。

地域の木材生産業者や工務店などで構成されたグループが国の採択を受け、そのグループに住宅の新築などを依頼する場合が対象になります。

また、認定長期優良住宅であれば住宅の性能要件を満たし、地域材の使用やバリアフリー対応などによる加算額を含めると、1戸あたり最大で150万円の補助金を受給可能です。

ただし、受けられる補助の上限戸数が施工事業者ごとに定められていることや、令和4年度から大きな変更があったことなどには注意しなければなりません。

 

③ 各市町村の補助金制度

各市町村において、独自の補助金制度を設けている場合があるため、自分が住んでいる自治体の制度について調べてみることをおすすめします。

なお、制度によっては交付要件として「長期優良住宅の認定を受けていること」と明記されていない場合もあります。そのような場合でも、要件を満たしている場合があるため、申請漏れのないよう注意しましょう。

 

長期優良住宅の補助金で確認したいポイント3つ

長期優良住宅の補助金を活用する際に確認したいポイントは以下の3つです。

① 要件に該当するか
② 枠に余りがあるか
③ 交付までどれくらいかかるか

それぞれ解説します。

 

① 要件に該当するか

まず、要件に該当するかを確認しましょう。長期優良住宅の要件は、定期的に改正が行われています。このため、申請時には最新の要件について押さえることが重要です。

こどもエコすまい支援事業など、ハウスメーカーなどが手続きを代行する場合もありますが、そのような場合でも自分で認定要件を確認しましょう。

 

② 枠に余りがあるか

補助金の枠に余りがあるかについても確認しましょう。補助金によっては、上限額や上限件数が定められている場合があるためです。

また、補助対象の期間が定められている場合もあります。
枠に余りがない場合や補助対象期間を過ぎてしまうと、要件を満たしていても補助金をもらえなくなります。

補助金申請を考えている場合には、枠が埋まる前に早めに申請を行うとよいでしょう。

 

③ 交付までどれくらいかかるか

補助金がいつもらえるのか、確認しておくことも重要です。

長期優良住宅は、通常の住宅に比べて設計や建築に時間がかかるのが一般的です。そのため、補助金の交付にも時間がかかる場合があります。

設計・建築期間と合わせて、補助金の交付時期についても確認しておき、支払いなどに支障がないようにしましょう。

 

長期優良住宅の優遇制度7つ

長期優良住宅に関する優遇制度は、以下の7つです。

① 住宅ローンの金利優遇
② 保険料の割引
③ 住宅ローン減税(所得税減税)
④ 投資型減税(所得税減税)
⑤ 登録免許税に関する税率軽減
⑥ 不動産取得税の軽減
⑦ 固定資産税の軽減

それぞれ解説します。

 

① 住宅ローンの金利優遇

長期優良住宅は、住宅ローンの金利優遇が受けられます。具体的には、最長35年の固定金利住宅ローンである【フラット35】を利用する場合、金利が一定期間引き下げられる【フラット35】Sというプランが利用可能です。

そのほか、民間の金融機関においても、長期優良住宅について独自の金利引下げを行っているところがあります。

 

② 保険料の割引

長期優良住宅は、保険料の割引も受けられます。住宅性能が一般の住宅に比べて高いからです。具体的には、耐震性が高いため、地震保険料について割引されます。

保険会社によって割引内容が異なるため、比較検討するとよいでしょう。

 

③ 住宅ローン減税(所得税減税)

長期優良住宅では、住宅ローンを活用した場合の所得税について、減税措置を受けられます。具体的には、控除対象借入限度額について、一般住宅が3,000万円であるのに対し、長期優良住宅は2023年12月末までに入居する場合5,000万円に引き上げられます。

そして、所得税の最大控除額は一般住宅273万円に対し、長期優良住宅は455万円です。

このように、長期優良住宅は一般住宅と比べて所得税が減額されます。

 

④ 投資型減税(所得税減税)

住宅ローンを活用せず、現金で住宅を購入する場合には、投資型減税が受けられます。

具体的には、標準的な性能強化費用相当額の10%について、所得税から控除します。性能強化費用とは、長期優良住宅の要件を満たすために必要な建築費用や設備の整備にかかる費用のことです。

投資型減税では、最大で65万円が所得税から控除されます。

 

⑤ 登録免許税に関する税率軽減

登録免許税に関する税率の軽減もあります。軽減率は、所有権保存登記は0.1%、所有権移転登記は0.2%(マンションは0.1%)です。

登録免許税は、その税率を住宅ローンの借入額に乗じるため、0.1〜0.2%の軽減率でも金額は大きく変わります。

 

⑥ 不動産取得税の軽減

不動産取得税も軽減されます。具体的には、課税標準額からの控除額について一般住宅では1,200万円であるのに対し、長期優良住宅は1,300万円になります。

その結果、長期優良住宅では最大39万円の減額が受けられるのです。

 

⑦ 固定資産税の軽減

固定資産税についても軽減措置を受けることが可能です。具体的には、一般住宅では3年間の固定資産税軽減措置について、長期優良住宅では5年間に延長されます。

軽減措置期間が2年間延びるため、それだけ固定資産税の負担額が減るのです。

 

まとめ:長期優良住宅に関する補助金や優遇制度は漏れなく活用しよう

この記事では、長期優良住宅の基礎知識や活用できる補助金、優遇制度などについて解説しました。

長期優良住宅は、一般の住宅に比べて性能の高さが魅力ですが、負担する費用は増えてしまいます。

一方で、補助金や優遇制度を上手く活用すると、その負担を減らすことが可能です。

長期優良住宅の認定を受ける場合には、活用できる補助金や制度について十分理解して、漏れなく手続きを行いましょう。