フェーズフリーとは?5つの原則や住宅におすすめの設備7つを解説

2023年9月1日

フェーズフリーとは、日常時と非常時という2つのフェーズの境界を無くす考え方です。フェーズフリーの商品やサービスは、非常時だけでなく日常生活でも便利に使えます。この点が、非常用の商品やサービスとの大きな違いです。

この記事ではフェーズフリーの概要やフェーズフリー住宅におすすめの設備7つをご紹介します。

読んでいただくことで、フェーズフリーの考え方を上手く取り入れた住宅が建てられるでしょう。

ぜひ最後まで読んでみてください。

 

フェーズフリーについて

まずはフェーズフリーの考え方や、提唱しているフェーズフリー協会について解説します。

フェーズフリーとは

フェーズフリーとは、「日常時」と「非常時」の2つのフェーズに境界を設けずに、適切な生活の質を確保するための考え方です。地震や台風などの多い日本において、災害への備えを強化し被害者を減らすことを目的に提唱されています。

非常用施設や非常用の備品は一般的に災害が起こったときのみ使用しますが、フェーズフリーの考え方を取り入れた施設や備品は、日常的にも使用できる点が特徴です。

フェーズフリー協会が提唱している

フェーズフリーは、その普及や啓発に取り組む「一般社団法人フェーズフリー協会」によって提唱されている考え方です。

フェーズフリー協会は2018年の設立以降、以下の事業内容に取り組んでいます。

  • ・1. フェーズフリーに関する普及・広報事業
  • ・2. フェーズフリーに関する調査・研究事業
  • ・3. フェーズフリーに関する企画・開発事業
  • ・4. フェーズフリーに関する基準・認定事業
  • ・5. フェーズフリーに関する商品提案・提供事業
  • ・6. フェーズフリーに関するサービス提案・提供事業
  • ・7. その他当法人の目的を達成するために必要な事業

特徴的な取り組みの1つに「フェーズフリー認証」が挙げられます。フェーズフリー認証は、日常時・非常時ともに価値を持つ商品やサービスについて、フェーズフリー協会が認証する制度です。フェーズフリー認証を受けることで、商品やサービスはその価値を広く周知できます。

フェーズフリーの5原則

フェーズフリーの考え方は、以下の5原則に基づいています。

  • ・常活性
  • ・日常性
  • ・直感性
  • ・触発性
  • ・普及性

5つの原則をそれぞれ見ていきましょう。

① 常活性

5原則の1つ目は常活性です。常活性とは、どのような状況でも使用できることを指します。

たとえば、ヘルメットは日常的には仕事や作業に使用できますが、非常時には防災グッズとして使用が可能です。

このように、フェーズフリーの商品やサービスには常活性が求められます。

② 日常性

5原則の2つ目は日常性です。日常性とは、日頃から心地よく使えることを指します。

たとえば災害時用の防災リュックは、基本的には災害が発生したときにしか使用できません。これに対しフェーズフリーの商品やサービスでは、非常性だけでなく日常的にも使用できることが求められます。

日常的に使えれば、非常時の使い方も普段から把握できます。日常性は、フェーズフリーの災害被害者を減らすという目的のためにも欠かせない原則といえるでしょう。

③ 直感性

直感性もフェーズフリー5原則の1つです。直感性とは、使い方や使用限界が誰にでもわかることを指します。

日常時・非常時ともに使用できたとしても、使用できる人が限定されるような商品・サービスは、フェーズフリーとはいえません。また、使い方やどこまで使えるのかがわかりにくい物は、特に非常時には役に立たないでしょう。

直感的に使用方法や使用限界がわかることも、フェーズフリーに欠かせない原則です。

④ 触発性

4つ目は触発性です。触発性とは商品やサービスを使用することで、使用者が災害に対する意識を持てることを指します。

災害はいつ起こるかわかりません。そのため、日頃からの意識や備えが重要です。フェーズフリーの商品やサービスに触れることが災害への意識につながれば、万が一の際の被害も最小限に留められるでしょう。

日常時・非常時のどちらでも使用できるフェーズフリーの商品やサービスだからこそ担える役割といえます。

⑤ 普及性

5つ目の原則は、普及性です。普及性とは、誰でも参加できたり、普及できたりすることを指します。

フェーズフリーの考え方は、まだ社会に十分浸透しているわけではありません。これから安心・快適な社会を実現するために、フェーズフリーの普及・啓発は続けていく必要があります。

このことから、フェーズフリーの商品やサービスは誰でも参加や普及に関わる必要があるのです。

 

フェーズフリー住宅のおすすめ設備7選

フェーズフリーの考え方を住宅に取り入れる場合、おすすめの設備はパントリーやアイランドキッチンなど以下の7つです。

  • ・パントリー
  • ・アイランドキッチン
  • ・造作家具
  • ・横幅に余裕のある廊下
  • ・配置場所を考慮した勝手口
  • ・ソーラーパネルや蓄電器
  • ・土間

それぞれ解説します。

 

① パントリー

1つ目はパントリーです。パントリーは日用品のストックだけでなく、長期保存できる食品や災害時にも使える備品などを保管できます。

自宅にストックがあれば、地震だけでなく台風やロックダウンの際にも安心です。

このような特徴から、パントリーはフェーズフリー住宅におすすめの設備といえるでしょう。

② アイランドキッチン

アイランドキッチンもおすすめです。アイランドキッチンは周遊できるため、日常的に使いやすいだけでなく、災害時にも避難がしやすい動線といえます。

このように、日常時・非常時ともに高い利便性があるため、フェーズフリー住宅を求める場合には取り入れたい設備です。

③ 造作家具

造作家具もフェーズフリー住宅にはおすすめ。造作家具とは部屋のサイズや間取りに合わせて壁などに設置する備え付け家具のことです。

後から設置する一般的な家具に比べて、造作家具は部屋のスペースを確保できます。また壁などに取り付けるため、地震などの際に倒れることがなく安心です。

建築費用が増えることは懸念点ですが、デザイン面でもすっきりしたおしゃれなフェーズフリー住宅を目指している方にはおすすめ。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

④ 横幅に余裕のある廊下

廊下は横幅に余裕を持って設けることで、フェーズフリーな設備に仕上がります。

特に家族が多い場合には、普段から廊下ですれ違う際のストレスを減らせるでしょう。また、地震や火災など非常時には避難しやすくなります。

横幅に余裕のある廊下を設けることで、日常時にも非常時にも便利なゆとりある動線が確保できるためおすすめです。

⑤ 配置場所などを考慮した勝手口

勝手口は、配置場所などによってフェーズフリーの役割を果たせます。

具体的には、家の外の道路とアクセスしやすい場所に設けたり、勝手口ドアの幅を広くとったりするとよいでしょう。こうすることで、日常のゴミ出しに便利なだけでなく、非常時に避難がしやすい勝手口になります。

キッチンとのアクセスに目が行きがちな勝手口ですが、宅外とのつながりまで考えるとより利便性の高い物になるでしょう。

⑥ ソーラーパネルや蓄電器

ソーラーパネルや蓄電器もおすすめです。

ソーラーパネルや蓄電器を使うことで日々の光熱費を抑えるだけでなく、非常時にもライフラインを確保できます。

フェーズフリーだけでなく、環境配慮も兼ね備えた設備です。

⑦ 土間

フェーズフリー住宅には、土間もおすすめします。

宅内に土間スペースを設けることで、日常的には室内で趣味などを楽しめる便利な場所になります。また非常時には子どもが室内でも遊べるスペースにでき、ペットが過ごせる場所にすることも可能です。

日常から、台風時や自宅避難・外出自粛などまで有効活用できる設備といえます。

フェーズフリーの特徴を理解して住宅に上手く取り入れよう

この記事では、フェーズフリーの概要やフェーズフリー住宅におすすめの設備7つについて解説しました。

フェーズフリーは新しい考え方ですが、災害の多い日本においてその被害を減らすためには非常に重要です。

住宅に上手く取り入れることで、日常時にも非常時にも便利に使用できる設備になるでしょう。

これから住宅を建てる方は、どのような設備を取り入れられるか考えながら建築を計画することをおすすめします。