布基礎かベタ基礎か|見分け方や特徴、判断のポイントについて解説

2023年9月16日

布基礎とベタ基礎の違いや見分け方をご存じでしょうか?

近年では地震やゲリラ豪雨などの自然災害が頻発しているため、建物を支える基礎に関心が高まっています。

この記事では、基礎の主流である布基礎とベタ基礎の違いや見分け方とともに、構造上の特徴やメリット・デメリットについて解説。

新築やリフォームで災害に強い丈夫な基礎を選びたい人は、ぜひチェックしてみてください。

基礎についての基本的な知識や重要性について知りたい人は、こちらの記事を参照してください。
>>家づくりで大切な「基礎」ってなに?ベタ基礎・布基礎の違いを解説!

 

布基礎とベタ基礎の見分け方


基礎とは、地盤と建物をつなぐコンクリート部分のことで、建物全体を支える重要な役割を担っています。

日本の住宅で主に採用されているのは、布基礎(ぬのきそ)とベタ基礎の2種類です。
まずはこの2種類について、見た目の違いや見分け方を解説します。

基礎部分の見た目による見分け方

建築現場などで基礎部分がむき出しになっている場合は、布基礎とベタ基礎の特徴がよく見えるため、判別しやすいでしょう。

布基礎は、柱や壁の下など部分的にコンクリート基礎が施工されています。

床下全面がコンクリート基礎でおおわれている場合は、ベタ基礎の可能性が高いです。

新築住宅の見分け方

完成した住宅の基礎を外側から見ても、コンクリートが見えるだけで特徴が確認できません。そのため、完成した住宅で布基礎かベタ基礎かを見た目で見分けるのは難しいです。

これからマイホームを建てる場合は、建設業者に確認すると基礎の種類を教えてくれるでしょう。

また工事現場に立てられる「建設計画のお知らせ」看板には、基礎工法が明記されているため、確認することが可能です。

中古住宅の見分け方

中古住宅の場合も完成した住宅と同様で、見た目で基礎の種類を見分けるのは難しいです。

中古住宅で基礎の種類を確認する方法は4つあります。

・床下点検口から確認する
床下点検口から見て、床下が土で柱のようなコンクリートで支えられている場合は、布基礎です。ただし、布基礎でも柱の間にコンクリートを打設することが多いため、その場合は別の方法で確認します。

・ホームインスペクションを依頼する
ホームインスペクション(住宅診断)を依頼する際、事前に「基礎の種類を知りたい」と住宅診断士に伝えておくと、結果を教えてもらえます。

・構造計算書を確認する
構造計算を実施した家の場合は、構造計算書に基礎の種類が記載されているため、確認可能です。

・基礎に沿って土を掘ってみる
家の基礎となるコンクリートに沿って土を掘り、コンクリートの形を確認します。
25㎝ほど掘ってみて、コンクリートがL字型になっている場合は布基礎です。

 

点と線で支える|布基礎の特徴とメリット・デメリット

布基礎とベタ基礎を見た目で判断するのは難しいですが、それぞれの構造上の特徴を押さえることで、家づくりやリフォームでどちらを選ぶか判断しやすくなります。

まず、布基礎の構造上の特徴とメリット・デメリットを解説します。

布基礎の特徴

布基礎とは、昭和初期から採用されている壁に沿ってコンクリートを打つ基礎工法のことです。具体的には、鉄筋コンクリート入りの基礎を、柱や壁などの下に打ち込んで施工します。

柱と柱の間にコンクリートを入れるケースもありますが、鉄筋が入っているのは柱や壁部分のみです。イメージとしては、建物の重点箇所を点で支えている感じでしょう。

布基礎は鉄骨部分に荷重が集中しやすい鉄骨造の住宅や、地面が凍結しやすい寒冷地の住宅に適しています。

布基礎のメリット

布基礎にするメリットは以下の通りです。

コストを抑えやすい

布基礎は壁や柱部分にのみ基礎を打つため、鉄筋やコンクリートの量はベタ基礎よりも少なくて済みます。そのため、ベタ基礎よりも建築コストを抑えることが可能です。

また、人件費や残土の運搬費用も比較的安く済みます。

部分的に強度を調整できる

布基礎は、ベタ基礎の倍以上の深さから基礎を立ち上げます。

基礎は深く埋めた(根入れした)部分ほど揺れに対する抵抗力が上がり、強度を高めることが可能です。

布基礎は柱の深さのほか、コンクリートの厚さや鉄筋の太さなどによっても強度を調整できます。

布基礎のデメリット

布基礎にするデメリットは以下の通りです。

耐震性がやや劣る

布基礎は上述のように柱部分の強度を高められますが、面で支えるベタ基礎と比べると、基礎の安定性が地盤の強さに左右されやすいです。

そのため、耐震性はベタ基礎よりやや劣るといえるでしょう。

湿気が建物に伝わりやすい

布基礎の床下は地面がむき出しになっている部分が多く、コンクリートで地面を覆うベタ基礎よりも地面の湿気が建物に伝わりやすくなります。

そのため、木材が腐食したりシロアリ被害にあったりするリスクがベタ基礎よりも高く、こまめな点検が必要です。点検の頻度は、目安として2~3年に1回程度行うとよいでしょう。

面で支える|ベタ基礎の特徴とメリット・デメリット


ベタ基礎について、構造上の特徴とメリット・デメリットを解説します。

ベタ基礎の特徴

ベタ基礎とは、阪神淡路大震災以降に普及しはじめ、日本では現在最も多く採用されている基礎工法です。具体的には、床下全体に鉄筋を入れたコンクリートを打設します。

布基礎が点や線で支えるのに対し、ベタ基礎は面で建物を支えるイメージです。

荷重が基礎全体に分散されるため、重量のある家や、地盤が比較的弱い場所に家を建てる場合に適しています。

ベタ基礎のメリット

ベタ基礎にするメリットは以下の通りです。

耐震性に優れている

ベタ基礎は、鉄筋コンクリートの面で家を支える構造のため、地震の揺れを効率よく地盤に分散させられます。そのため、ベタ基礎は耐震性に優れているといわれます。

また、基礎が建物や地盤としっかり密着しているため、揺れによって建物が傾きにくい点もメリットです。

湿気が建物に伝わりにくい

ベタ基礎は、建物が地面と直接接することがなく、湿気が建物に伝わりにくい構造です。そのため、木部が腐食したりシロアリが侵入したりしにくいメリットがあります。

ただし、100%防げるとはいえないため、10年を目安として定期的な点検が必要です。

布基礎かベタ基礎か|判断のポイント


新築やリフォームの際、基礎は布基礎とベタ基礎のどちらが適しているか迷ったときに押さえておきたいポイントを解説します。

ただし、基礎の選定は専門的や調査や計算が必要になる場合があるため、ポイントを押さえたうえで、建設業者と相談しながら総合的に判断しましょう。

気候や立地条件

北海道のように地面が凍る可能性がある寒冷な気候では、基礎を地盤深くに埋め込める布基礎が選ばれます。

湿気が溜まりやすい立地や蟻道があるなどの場合は、湿気やシロアリを防ぎやすいベタ基礎が多いです。

なお、近年ではゲリラ豪雨や土砂災害も頻発しているため、ハザードマップなどで河川の氾濫による浸水の可能性がないか確認しておきましょう。

地盤の状態

家を建てる際は、その土地の地盤を調査し、必要に応じて地盤改良が行われます。調査や改良の結果を踏まえ、適した基礎を選ぶことが大切です。

なお、地盤調査の結果によって地盤が弱いことがわかった場合は、布基礎やベタ基礎ではなく、硬い地盤まで届くよう杭基礎(くいきそ)という工法が採用されることもあります。

家の工法や素材

家は工法や建材によって重量が大きく変わります。

たとえば鉄骨造の住宅の場合は、鉄骨部分を強化できる布基礎が選ばれることが多いです。

また、屋根瓦や金属製の外壁を採用する場合は家全体が重くなるため、面で支えるベタ基礎が採用されます。

ただし、建物の強さや耐震性は基礎以外の構造を強化することでも高められるため、総合的に考えることが大切です。

 

布基礎とベタ基礎の見分け方や選び方を押さえて、強い家を建てよう

地震や水害、シロアリ被害などに強い家を建てるためには、建物を支える基礎選びが重要です。

この記事では、布基礎とベタ基礎の見分け方にはじまり、構造上の特徴やどのような土地や建物に適しているか判断のポイントまで解説しました。

布基礎かベタ基礎かは気候や立地条件、地盤なども踏まえて総合的に判断する必要があります。

判断のポイントを参考に建設業者ともよく相談を重ね、納得のいく基礎を選びましょう。