注文住宅の外壁にはどんな種類がある?特徴は?プロが徹底解説!
注文住宅の印象を決める外壁は家族の好みに合うことはもちろん、周囲の雰囲気にも調和できる素敵なデザインにしたいもの。今回は注文住宅の外壁の種類や特徴について、外壁塗装を中心に取り扱う株式会社プロタイムズ総合研究所の鈴木さんにインタビュー!プロの目線から、外壁それぞれの特徴や外壁選びの注意点などをお話しいただきました。
お話を伺った方
株式会社プロタイムズ総合研究所 鈴木裕一さん
注文住宅の外壁工法は2種類!特徴は?
注文住宅の外壁をつくるには乾式工法と湿式工法という2種類の工法があり、それぞれに特徴があります。乾式工法とは仕上げ材や下地材で水を使わない工法のこと。対して湿式工法とは、いわゆるモルタルなどを用いて外壁のタイルを下地に張り付けていく工法のことを指します。
今回は、「乾式工法」と「湿式工法」それぞれの特色やポイントをお聞きしました。
乾式工法とは
ー乾式工法の特徴は何ですか?
乾式工法は水を使わない工法のため養生期間を必要とせず、工期が短縮されるという特徴があります。湿式工法と比べて乾燥待ちの期間がないため、施工中は天候に左右されることもありません。
ー乾式工法を用いた外壁材は、具体的にどのようなものが挙げられますか?
サイディングやALC外壁などが挙げられます。一言でサイディングといっても1種類だけではなく、窯業(ようぎょう)系や金属系などの数種類に分けられます。
ALC外壁とは、軽量気泡コンクリートを使用した外壁材のこと。通常のコンクリートより軽く、火に強い点が特徴です。
湿式工法とは
ー湿式工法の特徴は何ですか?
湿式工法とは、モルタルや漆喰などの塗り材を水と混ぜて練り、職人の方がコテなどを使って塗っていく工法のことです。水を使うため乾くまでに時間がかかる一方、乾式工法には出せない塗り壁ならではの外壁にできる点が特徴です。
外壁材の種類とは
乾式工法は水を使わないため施工期間が短い一方、湿式工法は水を含む材料で塗装をするため施工期間が長くなるとわかりました。
続いて乾式工法のサイディングやタイル、湿式工法の塗り壁についてご紹介します。
窯業系サイディングのメリット・デメリット
窯業系サイディングとは、セメント質と繊維質を混ぜ合わせて板状に形成したものです。窯業系サイディングの特徴をお聞きしました。
ー窯業系サイディングにはどのようなメリットがありますか?
窯業系サイディングは塗り壁よりも雨漏りしにくいほか、デザインのバリエーションに富んでいることがメリットとして挙げられます。比較的安価に購入できるため、初期費用を押さえたい方にもおすすめです。
ー窯業系サイディングのデメリットは何ですか?
デメリットは、どうしても雨に弱いため数年経過すると劣化してしまい、サイディング板が反るように変形してしまうことです。板自体が反り返った状態ではサイディング板を取り替えるしかない一方、交換時は使用していたサイディングが廃版になっているというケースも珍しくありません。
デザイン性を維持するために、サイディングの表面をコーティングする「クリア加工」を7~9年をめどに行うとよいでしょう。
金属系サイディングのメリット・デメリット
金属系サイディングとは、ガルバリウム鋼板などの金額を用いてつくられたサイディングのこと。金属系サイディングの特徴を見ていきましょう。
ー金属系サイディングのメリットは何ですか?
窯業系サイディングと同じく施工期間が早いことに加えて、雨の影響を受けにくく窯業系サイディングのように板が反りにくい点です。
金属系サイディングは窯業系サイディングよりも衝撃に強く、メンテナンスの負担が少ないといわれています。材質も軽いため、住宅に負荷をかけにくい点がメリットといえるでしょう。
ー金属と聞くと重いイメージがありました。軽い素材なのですね!
そうですね。金属系サイディングは、ほかのサイディングや塗り壁よりも軽いため住宅への影響はあまり大きくない一方、金属の板でつくられるため選ぶものによっては安っぽくみえてしまうこともあります。
ーなるほど。そのほか金属系サイディングのデメリットはありますか?
金属の板であるため、どうしても熱を持ちやすいという側面があります。外壁内にはポリウレタンフォームという薄い断熱材を貼っていますが、やはり夏場は表面に熱がこもってしまう傾向です。
ー錆びやすいといったことはありますか?
最近の金属系サイディングであれば特別錆びやすいといったことはありませんが、沿岸地域や海岸沿いなど塩害が懸念される地域の方は、選ばないほうが無難とは思います。
一般的な地域で用いる分には、特に問題ないでしょう。
タイルのメリット・デメリット
住宅だけでなく、ビルや公共の施設などでも度々目にするタイル張りの外壁。どのような特徴があるのでしょうか。
ータイル張りのメリットは何ですか?
タイル自体は無機物であるため劣化せず、長持ちすることです。重厚感のあるタイルを選ぶことで高級感を演出できるため、タイルならではの雰囲気を出したい方はタイルを選ぶとよいでしょう。
ータイル張りのデメリットは何ですか?
タイルのみで考えれば長持ちするのですが、セメントの劣化で外壁にひび割れが起こってしまうケースもあるため、定期的なメンテナンスが必要です。
またタイル張りは比較的重く、緩衝材を入れていないと地震に耐えられないという側面もあります。
塗り壁のメリット・デメリット
最後に塗り壁のメリット・デメリットをご紹介します。
ー塗り壁のメリットは何ですか?
塗り壁にしか出せないデザインや手触りにできる点です。塗り壁は職人の方の手作業になるため繊細なデザインの要望を反映させやすく、唯一無二の住宅を実現できます。
ーなるほど。オリジナルの外壁を実現できるのですね!塗り壁のデメリットは何ですか?
塗り壁はサイディングよりも重いため、住宅にあまり良いとは言えないほか、雨漏りになりやすい点も注意が必要です。
定期的なメンテナンスが求められる一方、塗り壁を専門とする職人の方が減っているため、点検の依頼先などを見つけるのが大変というデメリットもあります。
外壁材を選ぶ際に注意したいこと
住宅の外壁材を選ぶ際は、どのような点に注意すべきなのでしょうか。プロならではの目線からお話しいただきました。
濃い色、薄い色どちらにもメリット・デメリットがある
ー外壁材はバリエーションが豊富で、どのような色を選ぶべきかわかりません。外壁材の色を選ぶ際に押さえておきたいことはありますか?
汚れが目立たないのは黒などの濃い色ですが、色の濃いものは基本的に赤外線に弱く、劣化が早いといわれています。黒い外壁材は夏場に熱を吸収するため、室内が暑くなってしまうケースもあります。
白など薄い色の外壁材であれば濃い色のものより劣化スピードは遅いものの、汚れは目立ちやすいでしょう。
雨漏り防止を優先するなら窯業系サイディングがおすすめ
ー外壁材を選ぶ際、注意したいことはありますか?
外壁は印象を決めるだけでなく、家を外的要因から守るという機能もあります。家のトラブルでありがちな雨漏りは、窯業系サイディングにすることでかなり軽減されるといわれています。
「家を長持ちさせたい」「定期的にメンテナンスを行ってデザイン性を優先したい」など、家に求める要望は人それぞれですよね。各外壁材の違いや特徴を押さえながら、希望に合う外壁材を選ぶのがよいでしょう。
サイディングは厚みのあるものを
ーサイディングはどのようなものを選ぶとよいのでしょうか?
サイディングは厚みのある、堀が深いものを選ぶのがおすすめです。厚みがある分加工しやすくなり、重厚感のあるサイディングに仕上がります。
サイディングは金具で引っ掛けるものに
ーそのほか外壁材施工の際に気を付けたいことはありますか?
外壁材は釘を打つことで設置するのではなく、金具で引っ掛けるように設置する施工方法を行ってもらうようにしましょう。釘打ちの場合は年月が経つと釘が浮いてしまい、金具での施工より劣化が早まることもあります。
シーリング材も長持ちするものに
ー施工方法にも注意する必要があるのですね!
そうですね。外壁材のみを重視する方も多いのですが、シーリング材も長持ちするものを使うことが大切です。
ーシーリング材とは何ですか?
シーリング材とは、気密性や防水性を保つために外壁材と外壁材の隙間を埋める材料のことです。シーリングはゴムでできており、ランクの低いものを選ぶと外壁材よりも先に劣化してしまうことも考えられます。
外壁材だけでなくシーリング材にもこだわり、長持ちするものを選ぶとよいでしょう。
まとめ
今回は、外壁工法の違いや特徴、外壁を選ぶうえで知っておいたほうがよいことをプロにお聞きしました!外壁はただ家の印象を決めるだけでなく、家を天候などの外的要因から守る働きも担っています。
デザイン性だけでなくメンテナンスのしやすさや耐久度なども意識しながら、納得のいく家づくりをしていきましょう!
会社名 | 株式会社プロタイムズ総合研究所 |
代表取締役社長 | 大友 健右 |
所在地 | 東京都府中市緑町3-10-1 TSKビル |
電話番号 | フリーダイヤル:0120-971-475 |
設立 | 1996年7月18日 |
事業内容 | 外装塗装/屋根塗装/屋根リフォーム
板金工事/防水工事/増改築・総合リフォーム 大規模改修(アパート、マンション、ビル) 不動産コンサルティング業務 |
公式サイト | https://yanekabe.pro/ |