プロ直伝!外壁劣化のサインって?写真とともに徹底解説。

2024年9月4日

住宅の外壁に用いられるサイディングは、定期的な塗装が大切。メンテナンスを怠ると、外観の美しさだけでなく家の中の雨漏りなど、内部にまで影響を及ぼします。

今回は、屋根・外壁塗装の事業を展開する株式会社プロタイムズ総合研究所の池上さんにインタビュー!サイディングが必要な理由や劣化のサイン、サイディング塗装のスケジュールなどをくわしくお聞きしました。

 

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お話しを伺った方

株式会社プロタイムズ総合研究所 池上政之(いけがみ まさゆき)さん

【資格】

1級塗装技能士、有機溶剤作業主任者、職業訓練指導員、技術実習指導員、足場の組み立て等作業主任者

 

サイディングとは

家づくりでしばしば耳にするサイディングとは、どのようなものなのでしょうか。サイディングの概要についてご紹介します。

 

サイディングとは外壁に張る建材のこと

ー外壁塗装というとサイディングという言葉をよく耳にします。サイディングとは何なのでしょうか?

サイディングとは外壁に張る建材のことで、セメントを圧縮した板のようなものを指します。

 

ー外壁に用いられる建材は、おもにサイディングが使用されるのですか?

そうですね。さまざまな種類のものはありますが、現在はサイディングが主流だと考えてよいでしょう。

 

サイディングに塗装が必要な理由

ーなぜサイディングに塗装が必要なのでしょうか?

劣化して雨水を弾かなくなり、壁の内側に水分が含まれて膨張するのを防ぐためです。塗装を行わないと紫外線や雨水にさらされ、サイディングの寿命は縮まります。

サイディングの劣化で雨水を含んだり、表面が退色したりすると塗り替えをされる方が多い印象です。

 

サイディングの再塗装はいつすべき?劣化のサインをチェック

サイディングに塗装をすることである程度の劣化は防げる一方、やはり経年劣化で塗装の効果が薄れて塗り直しが必要になることもあります。サイディングの塗り直しをするタイミングはいつがよいのでしょうか。新築の家からサイディングが傷みはじめるまでの期間や劣化のサインをお聞きしました。

 

サイディングは7~8年後に傷みが進行する傾向

ーサイディングの劣化はいつごろ現れますか?

一般的なサイディングでは、家を建てて7~8年後ごろから傷むスピードが早まります。お手入れの仕方を変えたり、簡単なリフォームをしたりするなどなんらかの対応を考える段階が建築後7~8年と考えましょう。

 

サイディング劣化のサイン①退色、雨染み

ー再塗装の目安となる劣化症状を教えてください

サイディングを再塗装する目安として、大きく3つ挙げられます。1つは、退色や雨染みです。新築時と比べて色が薄い、雨水で濡れた跡の汚れが付着したままになっているなど、自分でも気づける劣化が見られたら早めに塗り直しをするのがよいでしょう。

 

サイディング劣化のサイン②チョーキング現象

ー2つ目の症状はなんでしょうか?

サイディングを触ると白い粉が手に付着するチョーキング現象とよばれる症状です。サイディングの表面が粉っぽくなっていると雨を弾きにくくなります。

 

サイディング劣化のサイン③シーリング材の劣化

ー3つ目の症状はなんでしょうか?

シーリング材の劣化が挙げられます。

 

ーシーリング材とはなんですか?

サイディングの隙間をつなぎ、雨水の侵入を防ぐ建材のことです。窓の周りやサイディング板の継ぎ目などに必ず設置されるものです。

 

ーシーリング材が傷むことで雨水が入るのですか?

そうですね。サイディングの継ぎ目を守るシーリングが傷むことで、サイディングの断面から水を吸って膨らみます。

外壁の表面よりシーリング材のほうが傷みやすい印象です。

 

ーシーリング材の劣化症状を教えてください

サイディングとシーリング材の間に隙間ができたり、シーリング材に裂け目が入っていたり、シーリング材自体が取れていたりします。

 

サイディングの再塗装にかかる期間はどのくらい?

サイディングの塗装にかかる期間はどのくらいなのでしょうか。サイディングの塗装について、ポイントとともにご紹介します。

 

サイディングの塗装が完了するまで1~2週間ほどかかる

ーサイディングの塗装にかかる期間を教えてください

およそ1~2週間ほどかかります。外壁に使われる建材はサイディングだけではないため、ほかの建材だともう少し手間がかかる場合もあります。

 

ー結構長いのですね!

そうですね。1週間を切るような塗装作業はあまりないように感じます。

 

サイディング塗装の期間は窓を開けられないため注意

ーサイディング塗装の期間、家はどのような状態になるのですか?

一般的に外壁工事の際は、家全体を囲うように足場が組まれています。足場を組んだ後、窓を汚さないようにするため家全体にビニール養生シートを張ります。

 

ー窓もビニール養生シートで囲ってしまうのですか?

はい。サイディング塗装の期間は窓を開けられないため、注意が必要です。

 

再塗装後のほうが新築時より長持ちする

ー再塗装後も7~8年ほどで塗り直すのでしょうか?

いえ、再塗装後はもう少し長くもつと考えてよいでしょう。現在は塗装に用いる材料の質が上がっているため、再塗装したもののほうが長持ちするといわれています。

 

再塗装の繁忙期はいつ?

サイディング塗装の目安は7~8年といわれていますが、再塗装をするのにおすすめな時期はいつなのでしょうか。繁忙期をお聞きしました。

 

梅雨前が最も多い

ーサイディング塗装の繁忙期はいつですか?

梅雨前後といわれています。梅雨を超えるとカビが進行しやすいため、梅雨前に再塗装をして綺麗にした状態で梅雨を迎えたい方多い傾向です。

また窓を閉め切っての作業となるため、夏の終わりや秋口など暑さが抜けた時期を希望する方も多い印象です。

 

サイディングの再塗装を怠るとどうなる?

サイディングの再塗装をしないままでいると、家はどうなってしまうのでしょうか。

 

元のサイディングのデザインを生かせない

ーサイディングの再塗装を怠るとどうなりますか?

サイディング板に施された模様を剥がさないと塗り直せない可能性があります。早い段階でメンテナンスが行われると、サイディング板の表面に透明の保護膜のようなものを塗装することで元のデザインを生かすことができます。

 

ーメンテナンスが遅れるとせっかくのデザインが生かせないのですね…

そうですね。メンテナンスを行うタイミングによって、できる工事とできない工事があります。ご自宅のサイディング板に適した期間でメンテナンスをすることが大切です。

 

内装が傷んだり、健康被害に遭うことも

ーそのほか何か影響はありますか?

ひどい場合は外壁だけでなく内部にまで雨水が侵入し、内装を傷めてしまう可能性があります。壁の内部でカビやコケが繁殖し、病気の一因になることも。外壁から家の内部にまで傷みが進行してしまうのです。

 

サイディング塗装の流れをご紹介!

家の外観だけでなく私たちの健康にまで影響を及ぼすため、定期的なメンテナンスが大切だとわかりました。

では実際にサイディングの塗装をお願いした場合、どのような流れになるのでしょうか。

 

サイディングの塗装は以下の流れ

ーサイディング塗装の流れを教えてください

サイディング塗装の流れは、以下のようになります。

①塗装工事に用いる足場をつくる

②傷んでいる部分を洗い流す

③劣化している部分の除去、補強、ひびわれを埋める

④窓など、汚してはいけない部分をビニール養生シートで囲む

⑤塗装作業に入る

1つずつ説明していきましょう。

 

①塗装工事に用いる足場をつくる

ー足場というのはどういったものですか?

家全体を囲うために、鉄製のパイプを組み上げたものです。よく工事現場で高いところに作業員の方が上るために組み上げられているものがありますよね。塗装工事も同じように足場をつくり、2階部分など高いところも塗装ができるようにしています。

 

②傷んでいる部分を洗い流す

ー洗浄作業というのは?

周り近所に塗料が飛んだりゴミが落ちたりするのを防ぐためにメッシュシートで家を囲み、洗浄作業を行います。その際に外壁についた苔などの汚れも洗い流します。

 

③劣化している部分の除去、補強、ひび割れを埋める

ー外壁の表面をきれいにするのですね!

そうですね。ひび割れなどが残ったままだと仕上がりがきれいにならないため、重要な工程です。

 

④汚してはいけない部分をビニール養生シートで囲む

ー汚してはいけない部分とは、窓やドアなどになりますか?

そうですね、窓ガラスやお庭の植栽、玄関周りなどを囲みます。どうしても換気をしたい場合は、塗装業者の方に事前に伝えておきましょう。

 

⑤塗装作業に入る

ー塗装までの工程が多く、かなり大がかりですね!

はい。1、2日で終わる作業ではないため、音やにおいには私たちだけでなくお客さま自身も気を遣います。

 

サイディングの劣化症状は位置によっても変わる

ー壁の一部分のみを塗り直すより、家全体を塗り直す方が多いのでしょうか?

もちろん壁の一部分のみを塗り直す方も多いと思います。

経年劣化の場合は一部分が劣化していると他の部分も劣化が進んでいる傾向にあります。ポイントなのは、外壁の部分によって劣化の仕方が違うことです。

 

ー外壁の部分によって劣化の仕方が違うとは?

南面は日が当たって退色が進行しているのに対し、北面だと苔が生えているなど、方角によって劣化症状が違います。一度の工事で終わらせたい方は、まとめて家全体の塗装工事をされる方が多い印象です。

 

外壁塗装の業者選びで大切なこと

定期的なメンテナンスが必要な外壁塗装は、業者選びも大切です。外壁塗装の業者選びで大切なことをお聞きしました。

 

値段で決めないことが大切

ー外壁塗装をお願いする業者選びで大切なポイントを教えてください

塗装の資格を持っている方にお願いすることと、補償が整っているかどうかを確認することです。安価でできる外壁工事もたくさんあるのですが、値段だけで決めないようにしましょう。

 

ー塗装の資格というものがあるのですね!

塗装に関しては技能士の試験があり、1~3級の位があります。そのほかシーリング材に関する資格や屋上の防水工事の資格などがあります。

建設業はそれぞれの工程に専門性を求められるため、資格を保有する作業者がいる会社に施工をお願いするのがよいでしょう。

 

塗装をするうえで気を付けていることは?

ー同社が塗装をされるうえで気を付けていることはなんですか?

施主様になるべくストレスを与えないように気を付けています。たとえば、ビニール養生シートで窓を囲う工程は私たちからすれば当たり前である一方、お客さまからすると想定外だったという声も。事前に細かく説明し、お客さまの思う「当たり前」を考えながら作業を進めています。

また、どうしても音やにおいが発生するため、音の出る作業は昼間に行うなどの対策も大切です。近隣の方への影響を気にするお客さまが多いため、私たちも配慮しながら工事を行っています。

 

まとめ

いかがでしたか?サイディングの劣化症状やメンテナンスの期間、塗装の流れなどをプロの目線から学べましたね。

サイディングの塗装を怠ると、家の内部にまで問題が発生してしまうことも。定期的にメンテナンスを実施し、住み心地がよく長持ちする家にしていきましょう!