店舗兼住宅の間取り3選|法令や住宅ローンに関する注意点も解説
近年、自宅と店舗を一体化した「店舗兼住宅」が注目を集めています。ビジネスと生活を両立しやすいため、個人経営者やフリーランスにとって魅力のある選択肢といえるでしょう。
ただし、店舗兼住宅は一般的な住宅と法的な条件などさまざまな点で異なります。また、仕事とプライベートの混同を防ぐために間取りの工夫も必要です。
この記事では、機能的でおしゃれな店舗兼住宅の間取りを事例でご紹介。また、計画にあたって押さえておくべき法令上の決まりや住宅ローンを利用する際の注意点なども解説します。
店舗兼住宅を視野に入れている人は、ぜひ参考にしてみてください。
店舗兼住宅とは?
「店舗兼住宅」とは、自宅と同じ建物内に店舗や不特定多数の人が出入りする事務所を設け、行き来できるようにした家屋です。一方、「店舗併用住宅」は店舗と住居が完全に分かれており、建物内で行き来はできません。
店舗兼住宅はさまざまな業種に活用できますが、主にカフェや食堂、小売店舗、美容室やネイルサロンといった用途が多く見られます。
店舗兼住宅の主なメリットは以下の通りです。
- ・ 通勤時間がかからない
- ・ 仕事と家事・育児、介護などの両立がしやすい
- ・ テナントを借りずに済む
- ・ 店舗部分の建築費や維持費・保険料などを経費として計上できる
なお、店舗兼住宅の火災保険は職種によって割増率が異なり、特に火を使う業種では割高に設定されています。
店舗兼住宅の間取りは、一般的な住宅と異なり以下のポイントを押さえることが大事です。
- ・ 店舗は1階につくるのが基本
- ・ 住宅と店舗の入り口や動線を分ける
- ・ 来客用に必要な設備を確保する(駐車場・トイレなど)
ここでは、ポイントを押さえたおしゃれな店舗兼住宅の間取りの事例を3つご紹介します。

延床面積 43.32坪
間取り 4LDK
階数 2階建て
主要道路沿いという好条件の立地に建つ、静かで快適なトリミングサロンです。道路沿いのデメリットである騒音は、防音効果も高い断熱材・トリプルサッシ・FIX窓により徹底的に対策。結果として高気密・高断熱化にも功を奏し、光熱費の削減にも成功しました。
道路に面した窓は建物で日差しを遮られることがないため、小さめのFIX窓でも十分な明るさを確保できます。1階のサロンの奥には、日中に使用することのない寝室を配置。仕事とプライベートの区別も上手に分けられる間取りです。
事例2.店舗兼住宅で美容に特化した複合型施設を実現!おもてなしを最優先した間取り例

延床面積 54坪
間取り 4LDK
階数 2階建て
1つの建物で5つのメニューを受けられる、美容に特化した複合施設を店舗兼住宅で実現。
プライベートサロンで複数の施術を受けたいというお客様のニーズを最優先した間取りは、お施主様の夢を叶えた間取りでもあります。
1階にはヘアサロン、2階にはよりプライバシーや衛生面で配慮が必要なネイルや脱毛、フェイシャルエステや歯のホワイトニングの施術室を配置。おしゃれなLDKで、待ち時間も友人の家のようにくつろいでいただけるでしょう。
事例3.街中ならではの3階建て店舗兼住宅|狭い土地を活用したペットサロン
延床面積 46坪 間取り 3LDK
階数 3階建て
街中の狭い土地を有効活用した、3階建ての店舗兼住宅です。1階はお施主様が経営するペットサロン、2階・3階が居住スペースです。
階によって店舗と住宅をしっかり分けているため、ご家族は日中も気兼ねなくくつろげます。2階の凹凸部分には、不規則な形でも影響の少ない水回りを設置するなど、狭い土地の活用方法を参考にしたい店舗兼住宅です。
店舗兼住宅の建設で押さえておくべき法令上の条件
店舗兼住宅を建てられる場所や面積・条件は法令による制限があるため、計画にあたって確認が必要です。
ここでは建築基準法の「用途地域」によって定められている店舗兼住宅を建てる条件について解説します。
※ 2025年現在の情報です。
用途地域が「第一種低層住居専用地域」の場合
用途地域とは、計画的な市街地を形成するために、住居系・商業系・工業系に地域を大別して建築できる建物の種類や用途の制限を定めたものです。
「第一種低層住居専用地域」は基本的に住宅用地であるため、店舗兼住宅の建設は制限されます。ただし、以下の条件がそろっていれば建設が可能です。
- ・ 店舗の面積が50平方メートル以下であること
- ・ 建築物の延べ面積の2分の1未満であること
50平方メートル(約15坪)は一般的なサロンやカフェと比べて規模が小さいため、間取りやレイアウト、販売や集客の戦略をよく検討して進める必要があります。
用途地域が「第二種低層住居専用地域」の場合
「第二種低層住居専用地域」は、小中学校のほか、150平方メートルまでの店舗などを建てられる地域です。店舗兼住宅も以下の条件がそろうことで建設が認められます。
- ・ 2階以下の建物であること
- ・店舗部分の床面積が150平方メートル以内であること
用途地域が「第一種中高層住居専用地域」の場合
「第一種中高層住居専用地域」は、病院や大学のほか、500平方メートルまでの店舗などを建てられます。店舗兼住宅も同様の条件内で建設が可能です。
- ・ 店舗の面積が500平方メートル以内であること
住宅ローンを利用して店舗兼住宅を建てる場合の注意点
店舗兼住宅を建てるにあたり、住宅ローンの融資を受けられるかどうか、気になる人も多いでしょう。
ここでは以下の2点について、くわしく解説します。
- ・ 住宅ローンで建てられる店舗兼住宅の要件
- ・ 店舗兼住宅で住宅ローン控除が適用される要件
住宅ローンで建てられる店舗兼住宅の要件
一般的に、店舗兼住宅で住宅ローンを利用するには以下の条件を満たす必要があります。
- ・ 建物全体の床面積のうち、住居部分が2分の1以上を占めること
- ・ 店舗(事務所)部分が自己の使用であること
事業用ローンと異なり、住宅ローンの返済期間は最長35年と長く、金利も低めに設定されている点がメリットです。
ただし、審査の際には事業の実績や売上が考慮されるため、新規事業の場合は厳しくなる可能性があります。中には住宅ローンの審査に通らないケースもあるため、事業計画書をしっかりと作成し、金融機関に相談することが大切です。
なお、住宅ローンは基本的に住居部分のみで利用できますが、取り扱いのある金融機関は限られています。
店舗兼住宅で住宅ローン控除が適用される要件
店舗兼住宅で住宅ローン控除を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
- ・ 建物全体の床面積のうち、住居部分が2分の1以上であること
- ・ 取得または新築後、6ヶ月以内に自己の居住用として利用すること
- ・ 床面積が50平方メートル以上であること
なお、控除の対象は住居部分に限られるため、店舗部分には適用されない点に注意が必要です。
ビジネスとプライベートの両立が叶う、おしゃれな店舗兼住宅の間取りを事例を交えてご紹介しました。
店舗兼住宅を建てる際は、法的要件や住宅ローンの活用条件を把握し、計画的に建設を進めることが大切です。記事を参考に、適切な準備を整え、理想の店舗兼住宅を実現させましょう。
