30坪の間取り、どんなものがある?気になる費用相場も解説

2022年6月11日

注文住宅を建てる際、「30坪の住宅の広さはどの程度?」「どういった間取りになるの?」といった疑問を持つ方は少なくありません。実際に住宅支援機構が行った『2020年 フラット35利用者調査』によると、注文住宅における床面積の全国平均は約38坪。30坪前後が平均的な家の大きさになってくるのです。

しかし一言でいって「30坪」といっても、大体何部屋ほど確保できるのか、また建築費はいくらなのかなど、分からないことも多いですよね。今回は、30坪の住宅の広さや建築費の費用相場についてご紹介します。

 

30坪の住宅の間取りとは?

「30坪といわれてもどの程度の広さなのか実感がわかない」と感じる方は多いでしょう。30坪は全国的にみると平均的な間取りといえますが、大体何人家族におすすめの間取りになるのでしょうか。

まずは30坪の広さがどのくらいなのか、間取りのイメージについてざっくりとご紹介しましょう。

 

30坪は約99.3平米

そもそも1坪は約3.31平米で、畳に換算すると約2枚分になります。30坪は約99.3平米、畳約60枚分の広さです。住宅金融支援機構が実施している「フラット35利用者調査2020年」を確認すると、注文住宅の住宅面積の全国平均が「124.4平米」。約99.3平米である30坪ちょうどの住宅は、平均より少し狭い住宅といえます。

ちなみに、マンションの住宅面積平均である「66.2平米」。注文住宅と約33平米ほどの差があるとわかります。しかし、玄関や家の中の階段などにもスペースが必要になるため、間取りの印象は実感としてそこまで大きく変わらないかもしれません。

 

間取りのイメージ

30坪の住宅の間取りは、2階建てや総2階の「3LDK〜4LDK」が多いといわれています。3LDKとは、3部屋の居室にLDK(リビング・ダイニング・キッチン)が付く間取り、4LDKでは4部屋の居室が付く間取りになります。近年では3LDK〜4LDKという間取りは、親世帯と同居しない核家族世帯が暮らすには十分な広さといえるでしょう。

また近年人気になっている平屋の間取りは、30坪でも実現可能です。しかし30坪の平屋になると、廊下があまりない間取りになってしまいます。廊下というデッドスペースを極力なくすことで、30坪でも平屋という間取りを実現できます。

 

30坪の間取りでは、家族構成は大人2人・子ども1~2人ほどが好ましい

家族構成による広さの基準は、実際に国が定めている「誘導居住面積水準」でも確認できます。30坪の間取りでは何人の家族構成が適切かどうか気になる方は、誘導居住面積水準で確認しましょう。

この誘導居住面積水準とは、「豊かな住生活の実現とさまざまなライフスタイルに対応するために必要と考えられる」住宅の面積に関する水準を指します。この水準によると、30坪の広さは、郊外や都市部以外の地域では「大人2人子ども1人程度」、都市部では「大人2人子ども2人程度」が望ましいとのこと。この結果からも、30坪の間取りは核家族世帯に向いているのだと分かりますね。

 

30坪の家に必要な土地の広さ

では、30坪の間取りの家を建てる際にはどの程度の土地が必要なのでしょうか。30坪の住宅を建てる際に必要な土地の広さを考える際は、「建ぺい率」と「容積率」を理解する必要があります。

容積率とは、敷地面積に対する延床面積に対する割合のこと。用途地域別に割合が決められており、一戸建て住宅が多い「第一種低層住居専用地域」などでは、「50〜200%」で設定されています。一方で、建ぺい率とは、建築面積に対する建築面積の割合のこと。容積率と同様に用途地域別に割合が定められており、「第一種低層住居専用地域」などでは、一部例外を除いて「30〜60%」に定められていることが多いといわれています。

では、「建ぺい率50%、容積率100%」というケースを想定して、30坪間取りの家を建てる際に必要な広さを考えてみましょう。

30坪の平屋1階建て:1階30坪のケースなら敷地面積は60坪必要
30坪2階建て:1階20坪+2階10坪の計30坪ケースなら敷地面積は40坪必要
30坪3階建て:1階10坪+2階10坪+3階10坪のケースなら敷地面積は30坪必要

このように、「建ぺい率」と「容積率」によって必要な敷地面積が変わるため、事前に確認しておきましょう。

 

30坪の間取りを実例とともにご紹介!

実際に建てられた30坪の住宅を実例とともにご紹介します。30坪の間取りは平屋・2階建てなど様々あり、少しの工夫で暮らしやすい家に仕上がります。30坪で部屋を広く見せるポイントを見ていきましょう。

 

30坪の間取り①子ども部屋を併設した広々LDKの平屋間取り

LDKに子ども部屋を併設させ、LDKの空間を広く見せた30坪の平屋住宅。子ども部屋とLDKの間には大きな引き戸を設置することで、引き戸を開けるとLDKの空間が広くなる点がポイントです。

とくに子ども部屋は、将来的に必要になるかどうか?など可変性を問われる場所。引き戸を閉めると自分だけの空間に、引き戸を開けておくと家族で使えるLDKに…というように変化できる間取りにしておくことで、効率のよい空間の使い方ができています。

 

外観はカリフォルニアテイストを意識した爽やかなデザインに。まるでサーファーズハウスのような、異国感ただよう素敵な外観ですよね。

 

矢印でマークしてある部分が、LDKに併設している子ども部屋。将来間仕切りになっており、仕切りを導入して2部屋に分けることも可能です。将来間仕切りは、家族構成がまだ決まっていない家族にぴったりの間取りですよね。

子ども部屋とLDKの間に引き戸を設置し、LDK全体が広くなるような間取りになっています。

子どもが小さいうちは、子どものお昼寝スペースとしても活用できます。

 

30坪の間取り②ぐるぐる回れる動線の平屋間取り

30坪の平屋は回遊性を意識することで、より過ごしやすい住宅になります。上記の間取りではLDKから各居室につながるほか、玄関から主寝室の間をぐるぐると回れる回遊動線を施しているのがポイント。身支度から玄関までの動線が確保されているため、生活リズムが異なる場合でも対応できる間取りに仕上がっています。

 

自然いっぱいの土地にクールなダークカラーの外壁。屋根は勾配を付けた片流れ屋根となっており、クールなテイストを後押ししています。メリハリのあるおしゃれな外観に仕上がっていますよね。

 

 

奥行きのある縦長の土地を生かし、LDKも縦長の間取りに。キッチンとリビングを平行にすることでぐるぐるとキッチンの周りを動ける間取りにしています。キッチン周りの動線をよくすることで、冷蔵庫渋滞や調理の際の渋滞などを防げる点も魅力の一つ。縦長の土地を生かした効率的な間取りに仕上がっています。

 

30坪の間取り③ロフトと勾配天井がユニークで素敵な間取り

30坪の住宅は、開放感を意識することでより暮らしやすい間取りに仕上がります。上記の間取りは、ロフトと勾配天井を活用している点がポイント。空間を縦に使うよう意識するとより開放感が生まれ、ゆったりとリラックスできる間取りを実現できます。

 

片流れ屋根を採用し、モダンでおしゃれな印象に。玄関ポーチは目隠し機能にもなる壁を採用し、おしゃれな雰囲気に。ネイビー×ホワイトの組み合わせもかわいいですよね。

 

 

キッズスペースを併設したリビングで、広々とした空間に仕上げた30坪の間取り。畳スペースと木材がマッチしておしゃれに仕上がっています。

 

ロフトを設置して1階を見渡せるように工夫している点もポイント。空間に立体感が生まれますよね。ロフトには窓を3つ設置し、採光にも優れたつくりに。

 

30坪の家を建てる際の費用相場

30坪の家を建てようと検討している方の中には、「費用相場」を知りたいという方も多いでしょう。費用相場を知っておかないと、綿密な資金計画を立てることができないためです。

ここでは、30坪の家を建てる際かかる建築費や土地の購入費用などの相場について解説します。家を建てる際の参考にしてみてください。

 

建物にかかる費用相場

30坪の家を建築する際の費用相場を確認するためには、家を建てる際にかかる建築費の坪単価を確認する必要があります。

住宅金融支援機構が実施している「フラット35利用者調査2020年」の注文住宅の建築費平均が「3,533.6万円」、住宅面積が「124.4平方メートル(約37.6坪)」です。この建築費で坪単価を計算すると「約93万円」になり、この坪単価で30坪の建築費を計算すると、「2,790万円」が相場になります。

ただし、「2,790万円」はあくまで相場です。とくに坪単価は住宅メーカーごとに異なるため、一概に「30坪ではこの費用が掛かる」ということではありません。また、建築する家の建材や設備などによって費用は大きく異なることもあります。正確な費用を把握したい場合は、住宅会社に見積もりを依頼してみるのがよいでしょう。

 

土地価格の相場

加えて30坪の家を建てるための土地価格相場を確認していきましょう。

国土交通省が実施している「令和3年都道府県地価調査」によると、「東京・大阪・名古屋圏」の土地の価格は以下です。

・ 東京圏:28万2,014円/平米(約93万2,278円/坪)
・ 大阪圏:19万933円/平米(約63万1,183円/坪)
・ 名古屋圏:15万8,316円/平米(約52万3,359円/坪)

前述した「1階20坪+2階10坪の2階建て住宅」を建てる際に必要になる40坪の土地を想定して購入価格を計算すると以下になります。

・ 東京圏:約2,797万円
・ 大阪圏:約1,894万円
・ 名古屋圏:約1,570万円

たとえば、東京圏で30坪の家を建てようした場合、土地の購入価格「2,797万円」と、建築費「2,790万円」かかるため、諸経費を除いても5,587万円の費用が必要です。ただし、一言で東京圏といっても、都市部や郊外で土地の値段は大きく異なるので、土地の購入価格を抑えたい方は、東京23区内をはずすなどして郊外にある土地の購入を検討するようにしてください。

 

諸経費の相場

注文住宅を建てる際には、土地や建築費用以外にも、登録免許税や登記費用などの諸経費がかかります。

家を建てる際の諸経費の項目は以下の通りです。

・ 印紙税
・ ローン借入費用(融資事務手数料など)
・ 保険料(火災保険や地震保険)
・ 登記費用(抵当権設定登記など)
・ 土地の仲介手数料
・ 地盤調査費用
・ 地盤補強費用(地盤改良が必要な場合)
・ 不動産取得税

上記の諸経費の相場は、土地の購入代金と家の建築費用を合計した金額の10〜12%程度になるといわれています。

建売住宅を購入する際の諸経費相場は、6〜8%程度と少し安くなります。

 

30坪の間取りの家を広く見せるコツ

30坪の間取りは核家族世帯が住むには十分な広さがありますが、一般的な一戸建て住宅よりは少し狭い家になります。そのため30坪の家を建てる際は、家を広く見せるコツを実践するのがおすすめ。ちょっとした間取りの工夫で、格段に家が広く見えます。以下でまとめたポイントを確認し、家を建てる際の参考にしてください。

 

一部屋をできるだけ大きくする/将来間仕切りを用いる間取り

部屋を大きくすることで、仕切る壁がなくなるため壁の圧迫感を軽減できます。たとえば個室を狭くしてリビングを広くする間取りをつくることで、人が集まるリビングに開放感が生まれます。加えて先述した通り、将来間仕切りの部屋にするのもおすすめ。壁を設置しなくて済むため、間取り全体に可変性が生まれます。

 

廊下を減らす間取り

30坪の平屋では採用している間取りも多くありますが、可能な限り廊下を減らして部屋を広くすることもよいでしょう。廊下はどうしてもデッドスペースになり、引き戸などで部屋自体を仕切ることは可能です。30坪の家で広いと感じる間取りにしたい場合は、部屋をできるだけ大きくすることを意識してみてください。

 

吹き抜けや窓、段下げスペースを導入した間取り

部屋を大きくするという方法と同様に、吹き抜けや窓、段下げスペースを活用することで圧迫感を軽減できます。吹き抜けに天窓をつけるなどすれば、より開放的な空間になるほか、自然光も多く取り入れられます。一方で吹き抜けをつくると、2階の敷地面積が狭くなってしまう点は見逃せない点です。吹き抜けをつくる際は、デメリットをよく理解してからつくるようにしましょう。

また最近人気の段下げスペースを間取りに取り入れるのもよいでしょう。

 

収納スペースを多くした間取り

家を広く見せるためには、収納スペースを多くつくりましょう。収納スペースを多くすることで、部屋がすっきりして見えるためです。仮に収納スペースが不十分だと収納しきれなくなり、見える場所に家具が増えて、煩雑な印象になります。

一方で陥りがちな収納スペースの失敗談として、「いざつくってみたものの収納したい物があまりなかった」というケースも。収納空間を決める際は、どういった用途で収納空間を使うのか?という点も考えながら慎重に検討しましょう。

 

3階建ての間取り

3階建ての間取りにすることで、延床面積が増えるため部屋数を増やすことが可能です。ただし階段や廊下がどうしても増える間取りになってしまうため、ワンフロアごとの部屋は狭くなるかもしれません。また、敷地の容積率によっては、3階建てにできないケースもあるため、注意が必要です。

3階建てを検討する際は、デメリットや注意点をよく理解したうえで検討するようにしてください。

 

スキップフロアを取り入れた間取り

スキップフロアとは、リビングなどの同じ空間の中に中階層や半地下のフロアをつくる間取りのことです。平坦なフロアと比較すると、段差があることで立体的になり、部屋を広く感じさせることができます。また、スキップフロアをうまく活用することで廊下がなくても部屋を分ける間取りにすることが可能です。

ただし、建築コストが高くなることや生活動線が複雑になる・回遊性が悪くなるなどのデメリットがある点にも注意。スキップフロアをつくる場合は、予算内で可能かどうかを確認するようにしてください。

 

スケルトン階段を取り入れた間取り

スケルトン階段とは、「スリット階段」や「オープン階段」とも呼ばれており、踏板と骨組みだけでつくられた階段のことです。視界を遮ることなく、圧迫感の少ない間取りを実現できます。

リビングに設置することで廊下がなくなり、部屋を広く開放的に演出することが可能。廊下などのスペースを有効活用したい方は、スケルトン階段をリビングに作ることを検討してみてください。

 

家具や壁紙を工夫して広く魅せる間取り

間取りなどを工夫するほか、家具や壁紙を工夫することでも家を広く見せられます。

その理由は以下の2つ。

・ 家具を低くすることで圧迫感がなくなる
・ 家具や壁紙の色を淡い色にすることで圧迫感が少なくなる

間取りの変更などが難しい方は、家具や壁紙を工夫するようにしてください。

 

まとめ:30坪の家の間取りを考える際は広く見えるように工夫しよう

30坪の家は、一般的な家よりは少し狭めではありますが、核家族が住むには十分なうえ、建築費を抑えることができます。

実際、検討する方も多いですが、実際にどの程度の建築費で建てられるのかや、少しでも広く見せる方法はないのかといった疑問を持つ方は少なくありません。

この記事では、30坪の家を建てる際の相場や、家を広く見せるコツについて解説しました。30坪の家を建てる際の参考にしてみてください。