バリアフリーの平屋を建てたい!ポイントを実例とともにご紹介

2022年7月20日

親世帯と同居する二世帯住宅をつくる場合、バリアフリーの平屋を検討する方も多いのではないでしょうか。バリアフリーの平屋を建てるには、間取りやドアの設計においてポイントを押さえておくことが大切です。

今回は、バリアフリーの平屋をつくる際のポイントをご紹介します。

 

バリアフリーの平屋って?場所ごとにポイントを解説

2階部分がなく1階部分のみで構成される平屋は、階段がないためお年寄りの方や小さな子どもの転倒リスクが少ない点がメリットです。玄関や水回り、扉のつくり方にも考慮することで、バリアフリー設計の平屋を実現できます。

バリアフリーの平屋をつくる際のポイントをご紹介します。

 

玄関スペースのポイント

・玄関スロープを設置する

バリアフリーの平屋にするには、家の出入りがしやすい玄関をつくるとよいでしょう。車いす対応の玄関スロープを設置すると、車椅子に乗ったまま家の出入りができるため大変便利です。

 

・土間スペースにベンチを設置する

玄関の土間スペースにちょっとしたベンチを設けると、靴の着脱がしやすい空間になります。買い物帰りに荷物を置くスペースにもなるため、使い勝手のよい玄関に仕上がります。

 

・滑りにくいタイルの床材

土間スペースは雨にぬれると滑りやすくなるため、転倒につながる恐れがあります。タイル製の床材を使うことで水濡れや泥を浮かせ、滑りにくい土間スペースを実現できます。

 

水回りスペースのポイント

・車椅子でも転回可能な広々トイレ

バリアフリーの平屋にするには水回りスペ―スも意識しましょう。車椅子でも転回できるような広いトイレにすると、車椅子の乗り降りや転回の動作を楽に行えます。

 

・車椅子に乗りながら洗面台スペースを使えるように

車椅子に乗りながら洗面台スペースを使えるよう、洗面ボウルの下部分は広く開けておくことも重要です。水回りスペースは毎日使う場所となるため、使い勝手のよい空間をつくるよう意識しましょう。

 

その他のポイント

・ドアは引き戸にして部屋の出入りを楽に

バリアフリーの平屋をつくる場合、室内のドアは押したり引いたりする開き戸ではなく横開きの引き戸にするよう意識しましょう。開き戸の場合は押したり引いたりする分、体の移動が必要になるため足腰に負担がくることも。

引き戸にすることで体力的な負担が少なくなるだけでなく、車椅子も出入りしやすくなります。

 

・不必要なスキップフロアは設置しない

バリアフリーの平屋にする場合、不必要なスキップフロアは設けないほうがよいでしょう。スキップフロアとは、1つの階層に異なる高さのフロアが設けられた間取りのこと。

段差を設けることで空間にメリハリが出る一方、転倒のリスクが高まるというデメリットもあります。バリアフリーの平屋を検討する場合は、デザイン目的のスキップフロアであれば設置しないことをおすすめします。

 

バリアフリーの平屋にしたい!おすすめの間取りとは

バリアフリーの平屋にするには、間取りにも注意することが大切です。バリアフリーの平屋にするのにおすすめな間取りをご紹介します。

 

オープンキッチン

ダイニングとリビングを仕切られていないオープンキッチンにすることで、出入りがしやすいキッチンに仕上がります。車いすでも通りやすいよう、通路を広く取っておくのもポイントです。

 

掃き出し窓にデッキスペースを設置

掃き出し窓にデッキスペースを設置し、リビングから簡単に外へ出られる間取りにするのもおすすめ。車いすでも容易に外に出られるため、体が不自由になっても思う存分外の景色を楽しむことができます。

 

土間からリビングにつながる間取り

窓をつたうように土間スペースから直接リビングに入れる間取りにすると、ストレスなく家の出入りができます。

 

バリアフリーの進化系!「安全持続性能の住宅」についてプロにインタビューした記事はこちら

>>医療の観点から提唱する「安全持続性能の住宅」とは?バリアフリー住宅との違いとともにプロが解説!

 

37坪のバリアフリーの平屋をご紹介!

今回は、37坪の平屋をご紹介。バリアフリー設計のドアや水回りスペース、スロープを活用した玄関づくりなど、参考になる家づくりのポイントがたくさん詰まっています。

ぜひ参考にしてみてください。

 

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バリアフリーな玄関

玄関は家の顔ともいわれており、家の印象を左右する重要な場所です。玄関にスロープを設置してバリアフリー設計の玄関にすることで、家の出入りがしやすくなり使い勝手のよい住宅に仕上がります。

バリアフリーな玄関づくりをご紹介します。

 

スロープにして車椅子でも上りやすく

玄関につづく道(アプローチ)はスロープにすることで、車椅子でも上りやすい設計に。玄関ドア付近には目隠しとして格子を設置すると、防犯性だけでなく見た目も和モダンな雰囲気になります。

 

玄関は引き戸に

玄関ドアは引き戸にして車椅子でも出入りがしやすいよう配慮しています。土間スペースとスロープの間に段差もないため、スムーズな流れで家に出入りできます。

 

玄関に入ると坪庭がお出迎え

玄関の正面には坪庭を設置し、和の雰囲気を醸し出しています。ガラス張りにすると開放感を演出できるだけでなく、自然光を多くとれるというメリットも。

家の中から自然を楽しめると、毎日の暮らしがさらに豊かなものになりそうですよね。

 

バリアフリー対応の水回り

バリアフリーの平屋をつくるには、水回りスペースも意識することが大切です。バリアフリー対応の水回りスペースのつくり方をご紹介します。

 

バリアフリーを意識した浴室

浴室はベンチや手すりをつけたバリアフリー設計にすることで、お年寄りの方や小さな子どもも安全に使える空間になります。一般的に浴室で使われる椅子を使用する場合、滑って転倒してしまうリスクも。

ベンチを造作しておくことで転倒リスクが少なくなり、長く安心して浴室を使えるのです。

 

車椅子が転回できるトイレ

トイレは車椅子が転回できるように広々としたスペースにしています。トイレは毎日必ず使う場所であるため、バリアフリー設計にすることが重要です。

車椅子の方が一人でもトイレに行けるようにすることで、車椅子の方と介護する方、双方の負担が軽減されます。

 

広々としたリビング

家族みんなで過ごすリビングは、開放感のある広々とした設計にするのがおすすめです。開放感のある窓や梁の見せ方をご紹介します。

 

開放感抜群の掃き出し窓

リビングと平行して大きな掃き出し窓とスロープを設置し、開放感のあるリビングをつくっています。スロープは玄関までつながっているため、車椅子でもリビングから玄関まで直接行き来できます。

また、スロープ部分で洗濯物を干すことで、室内干しでも外からの自然光が当たるよう配慮。開放感を演出するだけでなく、動線設計や効率的な家事を行う際にも活用できる間取りになっています。

 

勾配天井+むき出しの梁

リビングは勾配天井にして大きな太鼓梁を3本設置しています。太鼓梁とは、梁の側面を真っ直ぐに削り落とし、上下は丸太の丸みを残した梁のこと。

大きな太鼓梁を設置してダウンライトを付けることで、よりシックで大人な雰囲気のリビングに仕上がります。

 

広々としたオープンキッチン

バリアフリー設計のコツとして、キッチンをオープン型にするのもポイントです。料理中でも家族の様子を見られるため安心できるだけでなく、通路を広くとることで車椅子の方もスムーズに行き来できます。

バリアフリーに配慮したキッチンづくりをご紹介します。

 

キッチン収納は造作

キッチンの収納棚を造作し、広い収納空間を確保しています。収納棚をキッチン上部につけるのではなく低いところに設置することで、車椅子でも簡単に物を取り出せるよう配慮しています。

 

親世代に配慮した部屋のつくり方

親世代と子世代が同居する二世帯住宅では、お互いに配慮しながらプライバシーを保って生活することが大切です。

親世代に配慮した部屋のつくり方をご紹介します。

 

ミニキッチン付きの洋室

洋室は小さなキッチンを設置し、親世代も簡単に自室で料理ができるよう配慮しています。二世帯住宅をつくる際、料理を誰が担当するかは難しいポイント。予算に余裕があればキッチンを2つ設置すると、親世代と子世の双方が過度に気を遣わず暮らせるため、大変便利です。

 

まとめ

今回はバリアフリーの平屋を解説しました!安全・安心に暮らせる家づくりや開放感のあるリビングのつくり方など、様々なことが学べましたね。

バリアフリーの家をつくることは、同居する親世代のためだけではありません。将来的に自分の体が不自由になった場合も安心して過ごせるため、家づくりの段階からバリアフリー設計にしておくことは大切です。

家は何十年と生涯を共にするパートナーのようなもの。長く安全に使えるバリアフリー設計という観点から、家づくりを始めてみてはいかがでしょうか。