3階建ての家で注意すべき点は?メリットやデメリットも解説

2022年9月8日

高さのある外観が魅力的な3階建ての家。狭い敷地でも広い居住空間を確保できるため、3階建てを検討している人もいるでしょう。

しかし3階建てを建てるには、一般的な2階建て住宅とは異なる条件があるため注意が必要です。

今回は3階建ての家を検討する際に押さえておきたいメリットやデメリット、条件などについて解説します。3階建てに関心がある方、検討している方はぜひチェックしてみてください。

 

3階建てが建てられる場所の条件とは?

3階建ては都市計画法に定められた条件があるため、どこにでも建てられるわけではありません。

都市計画法では、市街地を商業、工業、住居といった土地利用の「用途地域」に分けており、用途の混在を防いでいます。そのうち低層住宅用の第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域または田園住居地域で家を建てる場合に適用されるのが「絶対高さ制限」です。

「絶対高さ制限」とは「建築物の高さは原則10メートルまたは12メートルのうち、都市計画で定められた高さを超えてはならないこと」という条件のこと。

そのため第1種低層住居専用地域に建てられるのは2階までの住宅や店舗が一般的で、3階建ては商業エリアなどに建てられることが多いのです。

 

3階建てのメリット

狭い土地でも必要な居住スペースを確保できる

土地が狭く2階建てでは十分な居住スペースを得られない場合、3階建てにして面積を増やすことができます。都市部では取得した敷地が狭いために、3階建てを検討している人も多いでしょう。

ただし3階建ては階段が多く面積を占める分、各フロアで活用できるスペースが減ることも押さえておきましょう。

 

階層ごとにテーマを設け、メリハリのある暮らしを実現しやすい

3階建ては階ごとにテーマや用途を振り分けることが可能です。

3階建ては構造を強くするため、1階は柱や壁を多くする必要があります。また密集地では採光が難しい1階に主寝室と水回り、2階にはLDK(リビング・ダイニング・キッチン)、3階を子ども部屋にするケースが一般的です。

個室と共有スペースや水回りをフロアで分けることにより、勉強や家事、団らんなど暮らしにメリハリをつけやすくなるメリットがあります。

 

住まいにこだわりを反映しやすい

3階建ては用途地域による立地や採光などの課題もあります。しかしその課題を上手にクリアしながら、3階建てならではのこだわりの住まいを実現することも可能です。

車が好きな人は1階部分に玄関と耐震性の高いガレージを配置すれば、趣味の空間として楽しめます。最上階に屋上やルーフバルコニーを設置すれば、家族で眺望やアウトドアリビングを楽しむことができるでしょう。

 

3階建てを建てられるエリアは、交通利便性が高いことも多い

3階建てが建てられる場所は、用途地域によって制限があります。商業エリアや繁華街に近いケースが多く、予算の関係で取得できる敷地が狭くなることもあるでしょう。

一方で3階建てを建てられる地域は、通勤・通学や買物の交通利便性が高い地域であることが多い傾向にあります。敷地や延べ面積は狭くても、駅近や公共交通網が発達した人気の高いエリアに家を建てたい人は、3階建てを検討するのもおすすめです。

 

3階建てのデメリット

フロア間の移動負担

3階建ては2階建てと比べて、フロア間の上下移動による負担が増えます。間取りによっては洗濯物を抱えて上下階を行き来することが、日々のストレスや体への負担になることも。

また建てた当初はよくても、高齢になるにつれ足腰への負担が多くなる可能性もあります。3階建てを建てる際には負担の少ない間取りや動線計画をよく練ることが大切です。

 

フロア間の寒暖差

高さのある3階建ては、日当たりがよい3階と日当たりが悪い1階に寒暖差が生まれやすいデメリットがあります。

3階建てを建てるにあたり、日当たりや風通しをよくするために吹き抜けリビングを検討する人も多いでしょう。ただし温かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすく、冷暖房効率が悪くなりがちです。屋内の寒暖差を解消するための対策もあわせて必要です。

 

プライバシーへの配慮が必要

3階建てが建てられる土地は隣家やビルとの距離が近い密集地域であることが多く、外部と目線が合いやすく生活音も伝わりやすいため、ストレスやトラブルに発展するケースもあります。

事前に周辺の環境を調査して、お互いのプライバシー確保のために隣家と窓の高さや位置をずらしたり、防音対策を施したりするなどの配慮が必要です。

 

土地の条件によっては高さ制限がかかる場合もある

3階建てを建てるにあたって押さえておくべき高さ制限は、「絶対高さ制限」のほかにも「斜線制限」があります。

「斜線制限」とは、隣地や道路の日照や風通しを確保したり圧迫感を和らげたりするための規制のことです。建設予定地の状況に応じて適用され、屋根の高さや勾配の調整対応が必要になると、家の外観に変更が必要になる場合があります。

 

坪当たりの建築費が2階建てより割高になる

3階建ては耐震性を高めるための構造や部材が必要となるほか、足場の設置費用も割高になります。そのため坪当たりの建築価格は、2階建ての約1.2倍程度になると理解しておくことが必要です。

ほかには2階建てにはない構造計算費、地盤が悪い場合は地盤改良費用が追加として必要になります。

 

3階建ての家を建てるときの4つの注意点

1.建設予定地の法的条件を事前に把握しておく

 

1‐1.建設予定地の高さ制限について確認する

高さが魅力の3階建てですが、都市計画法や建設基準法による高さ制限について把握しておかないと、イメージとはかけ離れた外観や間取りになってしまい後悔することも。

建設候補地が決まったら、あらかじめ周辺状況や規制の有無と内容を確認しておきましょう。ハウスメーカーや工務店、役場の窓口などに問い合わせると、スムーズに教えてもらえます。

 

1‐2.火災防止のための基準を確認する

3階建ての建設予定地は密集地である場合が多いので、火災防止のための基準や対策についても把握しておきましょう。

建設予定地が「準防火地域」で地上3階建ての建築物の延べ面積が500平米以下の場合は、「3階建て建築物の技術的基準」に適合する建物を建てる必要があります。

具体的には屋根には燃えにくい資材を使用する、外壁と軒裏は必ず防火構造にするなどです。

 

2.立地に合わせて採光計画を立てる

3階建ては構造上また周囲の環境によって、特に1階部分は採光が難しくなります。

建設予定地の周辺状況を事前によく確認し、工務店やハウスメーカーともよく相談しながら、立地や条件に合わせた採光計画や間取りの工夫を考えましょう。

1階は日当たりを気にしなくて済む玄関とガレージスペースにして、日当たりのよい2・3階を居住空間にする方法もあります。

 

3.建物全体で空調計画を立てる

3階建ての家の寒暖差をなくすために、まず大切なことは外壁や屋根の気密性や断熱性を高めること。それとともに、建物全体で冷暖房や換気などの空調計画を立てることが大切です。

1~3階に空気の流れを作って循環させることで寒暖差を軽減し、冷暖房効率を高めることができます。吹き抜けリビングを採用する場合は、天井にシーリングファンを設置するとよいでしょう。上下の空気を循環させることで寒暖差の軽減に効果があるだけでなく、、見た目もおしゃれな仕上がりになります。

 

4.家事動線や老後の暮らしを意識して間取りを計画する

フロア間における移動の負担を軽減するためには、日々の家事動線や老後の暮らしをイメージして、合理的で暮らしやすい間取りや動線を計画することが大切です。衣類を「洗う・干す・乾かす」がワンフロアで完結できるよう、ランドリールームを設置する方法もあります。

老後のためにホームエレベーターを設置する場合は、別途初期費用とメンテナンスの費用が必要です。建てる際にはエレベーターの設置に必要な一畳程度(2人乗り)のスペースを確保しておき、必要になった時点で設置する方法もあります。

 

まとめ:メリットやデメリット、注意点を踏まえて、後悔しない3階建ての家を建てよう

今回は、高さのほかにも魅力がたくさんある3階建ての基礎知識について解説しました。

3階建てにはたくさんのメリットがある一方で、用途地域や高さ制限など、2階建てにはない条件や規制もあります。そのため、3階建てを建てる際にはデメリットや解消法、注意点を踏まえたうえで、計画に進むことが大切です。

この記事を参考に、ハウスメーカーや工務店としっかり相談を重ねて、後悔のない素敵な3階建てを実現させましょう。