賃貸と購入を徹底比較!決め手はライフスタイル

2022年2月10日

家は賃貸住宅に住み続けるか、持ち家を購入すべきか迷うところ。昔からたびたび議論されてきましたが、金利の変化や住む地域などさまざまな要素によって結論が違ってくるため、判断に悩む人が少なくありません。

この記事では、賃貸か購入かどちらがよいかを徹底比較!自分のライフプランに合うのはどちらか考えながら見ていきましょう。

 

賃貸or購入?それぞれのメリット・デメリット

賃貸と購入、どちらもメリットがあれば、デメリットもありますよね。賃貸と購入それぞれの特徴、メリット・デメリットをご紹介します。

 

賃貸住宅のメリット・デメリット

まず賃貸のメリットとして考えられるのは、いつでも自由に引っ越しできること。家族が増えてより広い家が必要になったり、昇進や転職で収入が増えてグレードの高い部屋がほしくなったりしても、すぐにほかの賃貸住宅に住み替えできます。

また賃貸住宅は大家さんの所有物であるため、老朽化や災害で修繕が必要になっても自費負担がありません。急な支出の増加を避けられる点も、賃貸のメリットです。

 

反対に賃貸住宅のデメリットとして、内装や設備、間取りを自分で決められないことが挙げられます。コンセントが足りない、フローリングの部屋がほしいなどの要望は、大家さんの判断に委ねるしかありません。また備え付けの建具が古く、持ち家ほどの住み心地を実感できない賃貸物件もあります。

賃貸物件に住むことで特に問題になりそうなのが老後です。高齢者世帯に貸したくないと考える大家さんは少なくありません。賃貸住宅の住み替えや契約更新の際、高齢者世帯が身元保証人を求められるケースがあり、希望物件をあきらめたり身元保証サービスを利用せざるを得なかったりする可能性があります。

 

住宅購入のメリット・デメリット

住宅を購入するメリットのひとつが、間取りや内装を変更できることです。また、退職までに住宅ローンを完済すれば、住居費が大きく下がります。それから住宅を購入すると、その持ち家が資産になることも忘れてはいけません。

住宅を購入するデメリットのひとつは、収入が減少しても住居費を減らしにくいこと。老朽化した家の補修や設備の交換費に加え、都市計画税や固定資産税などの税金も支払わなければなりません。
さらに引っ越しが難しいこともデメリットになることがあるでしょう。転勤で不要になった場合は賃貸に出すことも考えられますが、借り手が必ず見つかるわけではありません。家族全員で引っ越すと入居から10年間の住宅ローン控除が受けられず、単身赴任せざるを得ないことがあります。

 

賃貸か購入か、生涯の負担額を比較!

賃貸と購入で生涯の負担額はどう変化するのかシミュレーションしてみましょう。今回は、30歳で3,500万円の分譲マンションを35年ローンで購入した人と、同程度の賃貸マンションを家賃11万円で借り続けた人の50年間の支出を比較します。

 

 賃貸物件
 費用  額(万円)  備考
 初期費用  仲介手数料  11
 家賃保証料  11
 敷金・礼金  22
 火災保険料  3
 合計  47
 ランニングコスト  家賃(毎月)  11
 管理費(毎月)  1
 保険料  3  2年に1回の更新時
 更新料  11  2年に1回の更新時
 合計  7,536  50年換算
 7,58352

 

 持ち家
 費用  額(万円)   備考
 初期費用  頭金  300
 ローン保証料  65
 ローン事務手数料  5.5
 登記費用(登録免許税含む)  30
 不動産所得税  25
 火災・地震保険料  15
 印紙代  3.02
 仲介手数料  107  不動産業者を介さない場合は不要
 合計  550.52
 ランニングコスト  ローン(毎月)  9.3  35年
 管理費(毎月)  1  50年換算
 修繕積立金(毎月)  1.1  50年換算
 固定資産税(毎年)  8  毎年
 火災・地震保険料(更新時)  15  更新は10年に1回
 合計  5,626
 その他  大規模修繕費  200  2回分
 リフォーム費  400
 合計  600
 6,776.52

賃貸は初期費用に敷金・礼金、家賃保証料、仲介手数料、火災保険料、ランニングコストに家賃、管理費、更新料などを計上しています。

購入は金利1%の住宅ローンに頭金300万円を出したと仮定し、初期費用としてローン保証料、ローン事務手数料、仲介手数料、不動産所得税、登記費用、火災・地震保険料、印紙代、ランニングコストとしてローン返済、修繕積立金、管理費、固定資産税など、追加として大規模修繕とリフォームの費用を計上しています。
その結果、賃貸が約7,600万円、購入が約6,800万円となり、購入のほうが約800万円安いという結果が出ました。ただ、これを50年で割ると年間約16万円、毎月なら約1万3,000円の差。それほど大きな差ではないという見方もできます。

 

初期費用がかかるのは購入、ランニングコストがかかるのは賃貸

上の表を見ると、初期費用はやはり住宅購入の方が多くかかることがわかります。賃貸の約50万円に対し、購入が頭金300万円を含めて約550万円。圧倒的に購入のほうが高いのですね。

しかし、ランニングコストは賃貸の約7,500万円に対し、購入は約5,600万円。購入だと老朽化に伴う追加費用が発生しますが、それでも毎月の出費は安くなります。40代、50代で購入の総支出が賃貸に近づき、ローン完済後に逆転します。

さらに、賃貸がいくら家賃を払い続けても資産にならないのと違い、購入した住宅は売却できればまとまった収入が入ります。築50年以上の場合は購入時に近い価格で販売するのは困難ですが、売却ができれば賃貸よりさらに有利になります。

ただ、このシミュレーションはあくまで、仮で設定した条件下でのもの。条件が変われば違う結果が出るため、ケースバイケースといえるでしょう。

 

都市と地方で土地の価格差を比較

先ほどシミュレーションを行いましたが、住む場所が都市か地方かということでもシミュレーション結果が変化します。首都圏は人口増加が進み、ほとんどの地方は急激に人口が減少。これに伴い、都市と地方で土地価格や賃貸物件の家賃の差がさらに広がるでしょう。

国土交通省の2021年地価公示によると、東京23区の住宅地平均価格が1平方メートル当たり63万1,400円です。これに対し、地方では鹿児島県鹿屋市が1万2,300円、北海道北見市が1万4,700円で、中には熊本県人吉市相良町の14.6%、福島県いわき市平下平窪の10.5%のように、1年間で10%以上下落した地域もあります。

東京23区と鹿屋市を比較すると、約50倍。賃貸の家賃ではここまで大きな差は出ません。

なお賃貸情報サイトを見ると、都内で最も高い港区と鹿屋市の差が約10倍、最も安い葛飾区なら2倍にとどまります。地方なら購入した家の生涯支出が抑えられ、都市なら負担が大きくなることが分かります。

 

空き家の増加も問題に

地方では空き家の増加が深刻さを増しています。総務省の2018年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家率は13.6%で、過去最高を更新しました。その多くが地方にあり、空き家だらけの住宅地や商店街が各地で見られるようになってきました。
反対に、東京23区などの大都市ではタワーマンションの建設ラッシュが続いています。特に駅前などの再開発で商業施設やオフィスに加え、タワーマンションを整備する例が増えてきました。工業市場研究所の調査によると、2021年は首都圏で毎月、2,000~3,000戸が新たに供給されています。
このように日本全体で人口が減っているのに家は増えているため、将来は家が余ってしまう時代になるかもしれません。

 

ライフスタイルもシミュレーションに大きく影響

それぞれのライフスタイルも、シミュレーション結果に影響を与えます。例えば持ち家を購入したあとで転勤を命じられた場合、単身赴任を余儀なくされて出費が増えることが考えられます。賃貸向き、購入向きのライフスタイルがあるのです。
一般に、収入の変動が大きい人や多額の借金を背負いたくない人は賃貸向きといえるでしょう。反対に、転勤があまりない家庭や収入が安定している人は購入が向いているのではないでしょうか。

賃貸か購入か、コストだけでない選択を

賃貸住宅と購入する持ち家には、それぞれにメリット・デメリットがあります。どちらが得かはコスト面だけでなく、自分のライフスタイル、老後の暮らしも考慮して決めるのがおすすめ。

家族で話し合いながらベストな選択をしていきましょう!