家の間取り図の見方を解説|家族の理想を叶えた図例 3選もご紹介

2023年5月20日

間取り図には、家を建てるにあたって重要な情報が多く詰まっています。間取り図は注文住宅を建てるための相談や見直しにも必要ですが、見方がよくわからない、違いがよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

この記事では、家の間取り図の見方やチェックポイントについて解説します。子育て世帯、共働き世帯、二世帯住宅のライフスタイル別の間取り図も、工夫やポイントとともにご紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

 

家の間取り図とは?

 

間取り図とは

間取り図とは、部屋の広さや配置などの情報をわかりやすく示した平面図のことです。建物が完成した建売住宅とは異なり、プランを立てることからはじめる注文住宅は、間取り図を使って工務店やハウスメーカーと認識をすり合わせていくことになります。
間取り図の基本的な見方を押さえておくと、理想の家をイメージしながらさまざまな間取りを比較したり、注文住宅の希望が反映されているか確認したりすることが可能です。

 

家の間取り図からわかること

間取り図は、注文住宅の計画にあたり必要な情報の宝庫です。具体的には以下の情報について読み取ることができます。


家や部屋の向き

間取り図には方位図が書き込まれているため、それぞれの部屋がどの方角を向いているかわかります。部屋の方角がわかると、その部屋の日当たりや風通しをイメージすることが可能です。
玄関やリビングは、一般的には日当たりのよい南向きが好まれます。ただし、間取りは家の中だけで計画するものではなく、建設する土地の条件に合うことも大切です。立地によっては隣の建物や道路が面している場合もあるため、間取り図だけではなく周辺環境もあわせて確認しましょう。


間取りのタイプ

間取りのタイプは、2DKや3LDKのように表示され、図面上でも部屋数とそれぞれの部屋がどのように配置されているかが一目でわかります。

必要な部屋数や適した配置は、家族構成やライフスタイルによっても異なるため、吟味が必要です。間取り図を活用して他の物件と比較することで、家族にとってベターな間取りが見えてくるでしょう。


部屋の広さ

間取り図には、それぞれの部屋の広さが記載されています。一般的には㎡(平米)や畳数で示されており、現在の住まいと比較しながら、注文住宅の部屋の広さをイメージすることが可能です。

畳の大きさは、江戸間や京間などの種類で異なりますが、家の間取り図に記されている1畳の広さは、1.62㎡と定められています。

畳数のほうが広さをイメージしやすいという場合は、以下の計算で㎡表記を畳数に換算するとよいでしょう。

面積(㎡)÷1.62=畳数(畳)

間取り図で大まかに広さのイメージをつかめますが、厳密な縮尺を使用していないため実際の寸法ではない点は注意が必要です。実際に家を建てる際には、間取り図ではなく建築図面を参照する必要があります。


扉や窓、収納の位置

扉や窓といった開口部や、収納の位置も間取り図で把握できます。

開口部の位置は、日当たりや通気性に関わる重要な情報であるため、部屋の向きとともに確認しましょう。

収納の位置も、使い勝手や住み心地にも影響するため、図面上でしっかり確認したいポイントです。

間取り図では、開口部や収納の扉が「開き戸」か「引き戸」かもわかります。扉の開き方は動線や家具の配置にも影響するため、記号の見方を押さえておくと便利です。

 

間取り図からはイメージしにくい情報

注文住宅のプランニングに欠かせない間取り図ですが、平面図であるため縦の情報や空間について読み取ることは難しいです。

たとえば窓の幅はわかっても、どのくらいの高さに設置されているか間取り図からは把握できません。

また、その間取り図で建てられた部屋にどのくらい開放感や圧迫感があるかということもイメージし難いです。

 

間取り図を読み解くために押さえておきたい略語集

間取り図では、部屋の名称がアルファベットの略語で記載されることが多いです。主な略語をご紹介します。

なお、K、DK、LDKの前の数字は部屋数です。2DKであればダイニングキッチンのほかに2部屋、3LDKであればリビングダイニングキッチンに加えて3部屋あることを意味します。

 

間取り図から暮らしをイメージする4つのポイント

間取り図を受け取ったら、入居後の暮らしをイメージしながら以下のポイントを見直し、必要に応じて修正していきましょう。

 

1.方角と扉や窓の数・位置

間取り図で、玄関はどの方角を向いているか、窓はどの方角のどの位置にいくつあるかを確認します。土地や周辺環境の様子も含めて、採光や風通しをイメージしましょう。

角部屋では、異なる位置に窓を2つ設置すると、風が通りやすくなります。

扉の位置や種類は、手持ちの家具や購入予定の家具を置いても開閉に支障がないかチェックしましょう。

 

2.家事動線や生活動線

暮らしやすさに影響する家事動線や生活動線は、家族それぞれの動きを間取り図上に書き込んで確かめましょう。


身支度の動線

通勤・通学の身支度に使う際は、洗面室やトイレが混雑することもあります。家族の生活リズムが同じ場合でも、スムーズに身支度できる間取りや動線になっているか、図面上で確認しましょう。


帰宅時の動線

家族間のコミュニケ―ションを重視したい場合とプライバシーを配慮したい場合では、部屋の配置や動線も異なります。コミュニケ―ション重視型の家族には廊下のない開放的な間取りが、プライバシー配慮型の家族には部屋の間を廊下や収納で仕切った間取りが人気です。

特に家族の生活リズムが異なる場合は、お互いの安眠を妨げないよう間取り図で帰宅時の時間帯や動線を確認し、必要に応じて修正しましょう。


家事動線

買い物や洗濯などの家事について、一連の行程をイメージして間取り図で動線を確認しましょう。

玄関からキッチンにつながる動線が短い場合、買い物から帰宅したときに重い荷物をすぐにキッチンに運び入れることができて便利です。

洗面・脱衣室と風呂場、洗濯機置き場と干し場の距離が短ければ、洗濯にかかる負担を大幅に軽減できます。


子どもや高齢者の動線

帰宅後に子どもがリビングで過ごすのか個室で過ごすのかをイメージして、上着やバッグを置く場所やデスクの位置を考えましょう。

子どもが小さい家庭やコミュニケーション重視型の家庭では、家事をしながら子どもを見守りやすいよう、リビング付近に学習スペースを配置するケースが多いです。大きな子どもがいる家庭では、玄関と個室の間にリビングを配置することでプライバシーを尊重しながらも顔を合わせられます。

終の棲家にする場合や二世帯住宅であれば、高齢者の負担が少なく安全に配慮した動線になっているか、確認しましょう。


来客動線

リビングにお客様を通す動線上に、見せたくないプライベートな空間がないかもチェックしましょう。リビングやダイニングに近いトイレは家族にとっては便利ですが、お客様にとっては音や臭いが気になる場合もあります。

 

3.収納スペースの数・位置

家族の荷物の量に対して、必要な数の収納スペースが適切な位置にあるか確認します。クローゼットや納戸など、間取り図上の収納スペースに色を塗ってみると、数や量、位置が一目でわかり、確認しやすいです。
実際に住みはじめると荷物は増えます。特に子どもの荷物は成長とともに増えますので、予測を立て、間取り図で見直しましょう。現在の持ち物の量に対して少し余裕をもって収納空間を確保しておくと安心です。

間取りの配置や広さは気に入っているけれど収納が少ないと感じる場合は、デッドスペースを活用して収納を増やすことができないか、相談してみてください。

 

4.水回りと寝室の位置関係

キッチンやサニタリーなどの水回りは、生活音が響きやすいため配置に気を配る必要があります。特に寝室や子ども部屋と水回りが近い場合、互いの声や排水音が気になるため、離すことがおすすめです。
仕事や学業などで生活時間帯が異なる家族に配慮する場合は、それぞれが水回りを使用する時間や就寝時間などを図面上でシミュレーションしてみましょう。

 

【ライフスタイル別】家族の理想を叶えた間取り図3選

ライフスタイルに合わせた工夫が光る、間取り図を3つ厳選しました。
「子育て世帯」「共働き世帯」「生活リズムが異なる家族が暮らす二世帯住宅」の間取り図をご紹介します。

 

1.子育て世帯の3SLDK|子どもが成長しても安心、開放感とプライバシーの確保を両立させた間取り

夫婦と赤ちゃんが暮らすL字型平屋の間取りは、子どもが成長してからも暮らしやすい工夫に注目です。廊下のない個室と個室の間には、収納を挟んで音を遮断。近い将来に必要となるプライバシーを確保するとともに、成長とともに増える子どもの荷物にも対応できます。

仕事や遊びから帰って直行できるサニタリーはキッチンとも隣接しており、家事効率も抜群です。

 

2.共働き夫婦と子どもの4LDK|たったの10歩で完結する超効率的な家事動線で、ゆとりのあるLDKを実現

共働き夫婦と子ども3人が暮らすコの字型平屋のコンセプトは「家事をらくに楽しく」と「子どもの友だちを呼びやすい」の2つ。

キッチンとサニタリーを集中配置した10歩で完結する家事動線は、仕事に子育てに忙しい共働き世帯の負担を大幅に軽減してくれます。風呂やサンルームが南向きでカラっと風通しがよいため、掃除もらくで洗濯の乾きも抜群です。

キッチンは親子や友だちと一緒に料理を楽しめるよう、ゆとりをもって設計されています。オーブンレンジなどの調理家電は、隣接のパントリーに設置するよう計画して設計したため、作業スペースも広くキッチンはいつもすっきりスタイリッシュです。

 

3.6LDKの二世帯住宅|完全同居型でもプライバシーを確保するコツは廊下や収納空間の活用

親世帯と大きな子どもがいる子世帯の二世帯住宅の間取りは、完全同居型でもプライバシーをしっかり確保する工夫に注目。

子どもとは顔を合わせやすいよう個室をLDKに隣接させ、夫婦と両親の個室とLDKの間には廊下を設け、生活音が気になりません。個室間には収納空間を設けて、互いの音を遮断しているため、生活リズムが異なる大人6人がそれぞれのペースで快適に暮らせます。

サニタリーは高齢の親の個室近くと、子どもやお客様が使いやすい玄関横に配置しているため、排水音の問題や混雑も解消されています。

 

まとめ:家の間取り図の基本的な見方を押さえて、理想の家に近づけよう

家の間取り図の見方を押さえると、注文住宅のプランを建てる際にさまざまな間取りを比較したり、工務店やハウスメーカーと相談したりしやすくなります。

家の間取りや図面の見方とチェックポイント、ライフスタイル別の工夫点を参考に、理想の間取りの計画に役立ててみてください。