旧耐震基準はマンション価格が割安!メリットとデメリットを解説

2022年2月10日

中古マンションの購入を検討している人の中には、「旧耐震基準マンションのメリットとデメリットを知りたい」という人も少なくありません。旧耐震基準のマンションは低価格なので、中古マンションを購入する際に、旧耐震基準マンションを候補に挙げる人も多いためです。

そこで、この記事では、旧耐震基準のマンションのメリット・デメリットについて解説していきます。

 

旧耐震基準マンションは価格が割安!

旧耐震基準のマンションは、新耐震基準のマンションよりも価格が安いです。

では、そもそも耐震基準とは何なのでしょうか?

耐震基準とは、建築基準法によって定められている地震に対する建物の耐震性の基準を示したものです。1981年6月1日の建築基準法の改正によって示された耐震基準が「新耐震基準」、それ以前の耐震基準が「旧耐震基準」と呼ばれています。

それぞれの基準の違いは、以下です。

  • ・ 旧耐震基準:中規模の地震でほとんど損傷しないこと
  • ・ 新耐震基準:数百年に1度程度の大規模な地震で倒壊や崩壊しないこと

上記のように、旧耐震基準のほうが耐震性が低く築年数が経過しているので、不動産価格が安くなる傾向にあります。

 

旧耐震基準マンションのメリット

旧耐震基準のマンションは、新耐震基準のマンションと比較して、耐震性が低いという大きなデメリットがあります。
一方で、価格が安いなどのメリットがあるため、旧耐震基準マンションの購入を検討する際は、メリット・デメリットをよく理解して、購入するべきかを検討することが重要です。
ここでは、旧耐震基準のマンションのメリットについて詳しく解説します。購入を検討する際の参考にしてみてください。

 

旧耐震基準マンションは安価

前述したように、旧耐震基準マンションは耐震性が低く、築年数が経過しているため、新耐震基準マンションに比べて不動産価格が安くになる傾向にあります。

このため、新耐震基準マンションを購入する資金との差額分を、リフォーム資金に回すことが可能です。当然、リフォームに回せる資金が多いほど自分好みに変えることができるため、あえて旧耐震基準マンションを探す人も中にはいます。

 

立地が良い場所にあるケースが多い

旧耐震基準のマンションは、立地が良い場所に建てられていることが多くあります。1981年以前に建築されたマンションなので、東京などの大都市圏の開発が盛んな時期に建てられており、近年建築されたマンションよりも立地や環境のよいマンションが多いためです。

そのため、立地や周辺環境が良いマンションを安価に購入したい人に、おすすめのマンションになります。

 

眺望が良いケースがある

旧耐震基準で建てられたマンションは、眺望が良いケースがあります。最高限度高度地区の指定が導入される前に、その地区で建てられたマンションは、今ではその地域で建設することができない高さで建てられているためです。

このように、現在では建てることができない高さのマンションがあることも、旧耐震基準マンションのメリットのひとつになります。

 

価格の下落リスクが少ない

旧耐震基準のマンションは、不動産価格が大きく下落する可能性が低いというメリットがあります。すでに、築年数が40年以上経過しているうえ、耐震性に不安があるため、不動産価格が底値に近いためです。

そのため、今後築年数が経過したとしても、価格が大きく低下する可能性は少ないと言えます。しかも、耐震改修工事などによって耐震性が向上することで、不動産価格が上がる可能性もあります。

 

旧耐震基準マンションのデメリット

旧耐震基準のマンションには、多くのデメリットがあります。例えば、耐震性の問題や共用設備の老朽化問題などです。
上記のように、マンションに住むうえで見逃すことができないデメリットがあるため、旧耐震基準のマンションのデメリットについても、よく理解しておかなくてはいけません。旧耐震基準マンションの購入を検討している場合は、メリット・デメリットを比較して、購入するかを検討するようにしましょう。

 

耐震性が低く地震による倒壊の可能性がある

旧耐震基準は、新耐震基準と比較して耐震性が高くありません。

そのため、新耐震基準のマンションが倒壊しない規模の地震が発生したとしても、旧耐震基準のマンションは、倒壊や深刻な損傷を負う可能性があります。日本は世界でも有数の地震大国であるため、耐震性に不安があるのは、マンションを購入するうえで大きなデメリットになります。

旧耐震基準のマンションを購入する際は、耐震性に不安があることを理解したうえで購入するようにしましょう。

 

保険料が割高になる

旧耐震基準のマンションは、地震保険の保険料が割高になります。新耐震基準のマンションと比較すると、耐震性に不安があるため、地震によって損壊や倒壊するリスクが高いためです。

ただし、耐震診断によって新耐震基準と同等の耐震性があるとわかれば、保険料が割引かれることもあります。

 

住宅ローン控除が利用できない

旧耐震基準のマンションを購入する際は、住宅ローン控除が利用できません。

住宅ローン控除とは、一定の要件を満たすと年末の住宅ローン残高の1%を10年または13年間所得税から控除でき、所得税だけでは控除しきれない場合には、住民税の一部からも控除できる制度です。利用要件の中に「耐火建築物(鉄筋コンクリートなど)は、築年数25年以内に建設された住宅である」という要件が明記されているため、旧耐震基準のマンションは適用外になります。

ただし、築年数が25年を経過したマンションであっても、「耐震基準適合証明書」や「既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)」を提出すれば、利用可能です。

なお、この住宅ローン控除は「令和4年度税制改正」で改定される予定になっています。

例えば、築年数が25年を経過していても、1982年以降の住宅は新耐震基準に適合するとみなされるようになります。

 

税制優遇制度が利用できない

旧耐震基準のマンションは、「不動産取得税」や「登録免許税」の軽減措置が適用されません。

例えば、不動産取得税の場合は、以下2つの要件のいずれかを満たしている必要があります。

  • ・ 1982年以後に建てられた住宅である
  • ・ 1981年以前の建物の場合は耐震診断で新耐震基準に適合している

また、登録免許税についても、「築後25年以内(木造20年以内)の住宅または一定の耐震基準に適合するもの」という要件があるため、旧耐震基準のマンションは利用できません。

ちなみに、不動産取得税や登録免許税についても、令和4年の税制改正で軽減措置の適用期間が延長される予定です。

 

共用設備が老朽化している

旧耐震基準のマンションは築年数が経過しているので、共用設備についても老朽化している可能性が高いです。そのため、共用設備に問題が発生し、一時的に生活が不便になってしまう可能性があります。
とはいえ、日頃から適切に管理しており、大規模修繕などで設備の交換や修繕を行っている場合には、問題が発生するリスクは高くありません。
修繕積立金が高いケースがある

旧耐震基準のマンションは建物老朽化が進んでいるため、長期修繕計画の見積もりの金額が高くなり、修繕積立金が高くなる可能性があります。そのため、購入費以外にかかる諸経費に関しては、新耐震基準のマンションよりも高額です。

とはいえ、適切な状態で建物を保つために必要な経費であるため、省くことはできません。

旧耐震基準のマンションを購入した場合は、修繕積立金が高くなることを覚えておきましょう。

 

まとめ:旧耐震基準のマンションはメリットとデメリットを理解して購入する

旧耐震基準のマンションにはメリットもありますが、デメリットも多いため、購入する際にはメリット・デメリットをよく理解して、検討することが重要になります。メリットとデメリットを理解することで、ご自身の購入目的に適しているかを見極められるためです。

したがって、この記事では、旧耐震基準マンションのメリット・デメリットについて解説してきました。中古マンションの購入を検討しているなら、この記事を参考にしてみてください。