変動金利と固定金利はどっちがいい?それぞれのメリットやデメリットを解説

2023年8月1日

「変動金利と固定金利の違いをくわしく知りたい」「住宅ローンの金利は、どう選べばいいの?」「自分は固定金利と変動金利どちらが合うんだろう?」…このようなお悩みをお持ちの方も多いでしょう。住宅ローンを借りる際は金利の種類を選びますが、その違いをしっかり理解できている方は少ないのではないでしょうか。なんとなく営業スタッフの勧める金利にすると、後々「やっぱり固定/変動金利にしておけばよかった」と後悔してしまう可能性もあります。

この記事では、固定金利と変動金利といった住宅ローンの金利の種類やそれぞれのメリット・デメリット、選ぶ際のポイントについて解説します。

これから住宅ローンを借りようと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

住宅ローンの金利とは

そもそも金利とは、ローン元金に対する1年間の利息額の割合を指すもの。住宅ローンを組む際は金融機関にお金を「借りる」ことになり、返済する際に付随するのが金利です。したがって、住宅ローンの返済額は、「利息額」も一緒に支払う必要があります。なお利息額は、元金と合わせて元金に利率をかけて計算されます。

そのため、利息額を左右する金利は住宅ローンを組むうえでかなり重要なのです。

 

金利の種類は主に固定金利・変動金利・固定金利選択型金利の3つ

住宅ローンの金利には、以下の3つがあります。

  • 変動金利
  • 固定金利
  • 固定期間選択型金利

それぞれくわしく見ていきましょう。

 

変動金利とは

変動金利とは、返済期間中に利率が変動する金利のことです。一般的には、毎年4月と10月に利率の見直しが行われます。

ただし、金利が変動した場合でも、元金と利息の合計額を定額ずつ返済していく「元利均等返済方式」を選択していれば、利率見直しのたびに毎月の返済額が変わることはありません。変動金利には「5年ルール」と呼ばれるルールがあり、金利変動から5年間は返済額を据え置くことになっているためです。

また、変動金利で5年経過して返済額が変更する場合、仮に金利が上昇して返済額が増えるとしても、一般的にそれまでの125%までしか返済額が上昇しない「125%上限方式」が適用されます。

「5年ルール」や「125%上限方式」によって、変動金利で「元利均等返済方式」を選択した場合には、金利上昇にともなって返済期間が伸びます。その代わり、金利変動による返済額の激変は避けられるのです。

 

変動金利のメリット

変動金利のメリットは、固定金利よりも金利が低いことです。金利が変動して返済額が上昇する可能性もある変動金利は、金利が一定である固定金利よりリスクがあります。そのため、金利は低く設定されているのです。しかし逆を言えば、金利が下がる可能性があることも、変動金利のメリットといえます。金利が下がった場合、変動金利を利用していれば低い金利で住宅ローンを支払えるのです。特に元金が大きい住宅ローンにおいて、金利が低いことや下がる可能性があることは、変動金利ならではの大きなメリットといえるでしょう。

 

変動金利のデメリット

変動金利のデメリットは、金利が一定ではないことです。一般的に固定金利より利率の低い変動金利ですが、市場の動向によっては固定金利より利率が高くなる場合も考えられます。とくに近年では、固定金利はじわりと上昇していることも懸念事項として挙げる方も多いのではないでしょうか。今のところ変動金利に上昇傾向はありませんが、変動金利の選択はこのような金利上昇リスクも踏まえて行う必要があるでしょう。

 

変動金利が向いている方

変動金利は、どのような方に向いているのでしょうか。

まず、金利変動に耐えられる方が挙げられます。変動金利は、固定金利に比べて利率が低い一方、金利が上昇する可能性もゼロではありません。当初の想定より返済額が多くなる場合もあるため、返済が滞らないよう金利が変動しても耐えられる力が必要です。加えて、返済期間が短い方にも向いています。短期間のうちに返済が完了するのであれば、金利が大きく変わる可能性も低いためです。変動金利は金利が上昇した場合など、特有のリスクに対応できる方が向いています。

 

固定金利とは

固定金利とは、利率が一定の金利のことです。固定金利の場合は、住宅ローンを組む際に設定された金利が完済するまで続きます。そのため、市場の金利が上下しても固定金利の場合は金利変動の影響を受けることはありません。

 

固定金利のメリット

固定金利のメリットは、金利が変わらないため毎月の返済を一定額にできることです。変動金利の場合、半年ごとの利率の変動に気を配らなければなりませんが、固定金利ではその必要はありません。毎月の支出の中でも大きな割合を占める住宅ローンの返済額が一定額であることは、安心につながります。

また最近では50年間住宅ローンを借り入れ出来る「50年ローン」も流行しています。50年という長期のローンを組めるため、頭金が少なかったり比較的若い世代でも借りやすい点が魅力です。50年ローンを組む場合も、固定金利であれば安心。金利が一定になるため、毎月支払う返済額のめどを立てられます。

 

固定金利のデメリット

固定金利のデメリットは、変動金利に比べて利率が高いことです。変動金利に比べてリスクの低い固定金利では、比較的高い利率が設定されています。これは金利が変わらないことの「安心料」とも言い換えられるでしょう。

金利の数字だけで見ると小さな差であっても、元金の大きな住宅ローンにおいては負担額の大きな差につながるため、注意が必要です。

 

固定金利が向いている方

固定金利が向いている方をご紹介します。まず固定金利が向いているのは、これから支出の増加が予想される方。具体的には子育て世代が挙げられ、教育費や食費など支出が増加していく中で住宅ローンも増加する状況は避けたいところでしょう。また固定金利のメリットである、一定額を払い続ける安心を優先したい方にも向いています。比較的金利が高い分、明確な理由がある場合や定額支払いの安心を求める場合に選択したい金利といえます。

>>住宅ローンの変動金利と固定金利についてくわしく知りたい方はこちら。

 

固定期間選択型金利とは

固定期間選択型金利とは、変動金利と固定金利をミックスした金利タイプです。一般的に、住宅ローンの借り入れから一定期間は固定金利を適用し、その後変動金利に変更するか固定金利のままにするかを選べます。切り替え時期に注意しておくとよいでしょう。

 

固定期間選択型金利のメリット

固定期間選択型金利のメリットは、固定金利と変動金利それぞれのメリットを享受できること。返済当初は固定金利で一定額を返済し、その後は金利の変動に応じて、低い利率の場合は変動金利も選ぶ…というように、変動金利と固定金利のそれぞれを使い分けることが可能です。

たとえば「子どもが小さいころに家を建てて、学費のためにしっかりと貯蓄したい」という方であれば、返済計画を緻密に建てられる固定金利から始めるのが良いでしょう。このように固定期間選択型金利を選ぶと、変動金利や固定金利では難しい柔軟な対応が可能になるのです。

 

固定期間選択型金利のデメリット

固定期間選択型金利のデメリットは、変動金利に比べると利率は高くなる傾向であること。固定期間選択型金利にすることで、変動金利特有のメリットが得られないこともあるのです。加えて固定金利の期間や、一定期間経過後に固定金利か変動金利かを選ぶ必要が生じます。このような選択が煩わしい方には向かない金利といえるでしょう。

 

固定期間選択型金利が向いている方

固定期間選択型金利が向いているのは、返済から一定期間だけは定額の支払いを行いたい方。しばらくは一定額の固定金利で返済し、給与の上昇が見込める/ある程度貯金が貯まる一定期間経過後から、変動金利で返済を行うケースが考えられます。ライフスタイルや収入の推移にマッチする場合に、選択をおすすめしたい金利タイプといえるでしょう。

 

どの金利タイプがおすすめ?金利の種類を選ぶ際のポイント3つ

変動金利・固定金利・選択型固定金利の3種類があると分かりましたね!金利の種類を選ぶ際のポイントは、以下の3つです。しっかりと押さえていきましょう。

  • ・種類別の特徴を踏まえて考える
  • ・将来の収支について試算する
  • ・見直しも踏まえて考える

それぞれくわしく解説します。

 

① 種類別の特徴を踏まえて考える

金利を選ぶ際のポイント1つめは、種類別の特徴を踏まえて考えることです。先述した通り、金利には固定金利・変動金利・選択型固定金利の3つがあります。金利の低さだけを見れば変動金利を選びたくなりますが、金利上昇下では不利になることもあります。加えていつ市場の金利が変動するかというリスクについても、考慮する必要があります。金利上昇に耐性がない場合は、固定金利や選択型固定金利を選ぶ方がよいこともあるでしょう。

一方で、固定金利を検討する際には変動金利との利率の差によってどれくらい負担が大きくなるのか考える必要があるでしょう。固定金利は金利変動の影響を受けませんが、その分変動金利よりも金利は上がります。このように、それぞれの種類が持つメリット・デメリットを家計の状況と照らし合わせながら検討することをおすすめします。

 

② 将来の収支について試算する

ポイントの2つめは、将来の収支について試算することです。将来的に現在よりも家計に余裕が生まれるのか、それとも支出額が増えて苦しくなるのかシミュレーションすることで、おのずと選ぶべき金利の種類が決まるでしょう。なお、試算する際には、将来の支出を多めに見積もることが重要です。

 

③ 見直しも踏まえて考える

住宅ローンには、一度借りたローンを計画通り完済する方法のほかに、繰り上げ返済や借り換えなどの方法もあります。これらの方法を上手く活用することで、返済額を減らすことも可能です。ローンを検討する段階から、繰り上げ返済や借り換えについても検討することで、より計画的かつ効率的な金利の選択が可能になるでしょう。

 

まとめ:金利は種類別に一長一短!特徴や将来のことも踏まえて選択しよう

この記事では、固定金利・変動金利・選択型固定金利それぞれのメリット・デメリット、選ぶ際のポイントについて解説しました。固定金利・変動金利・固定期間選択型金利ともに、メリット・デメリットがあるため、一概にどの金利がおすすめということはいえません。適切な金利の種類を選ぶためには、それぞれの特徴や将来のライフスタイル、家計の状況も踏まえる必要があるでしょう。