長期優良住宅認定通知書が適用する住宅とは?申請方法も解説

2023年8月8日

住宅購入を検討していると耳にすることが多い「長期優良住宅」、どういう意味なのかわからない人も多いのではないでしょうか。この記事では、長期優良住宅や長期優良住宅認定通知書の意味や認定基準、再発行はできるのかなどわかりやすく解説します。

新築購入や増改築時に損をしないように、長期優良住宅についての知識を深めましょう。

長期優良住宅とは


長期優良住宅とは、「長期的に良好な状態で住み続けられるよう設計している」と都道府県知事もしくは市町村長の認定を受けた住宅を指します。

新築に関しては平成21年(2009年)6月から、増改築は平成28年(2016年)4月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき開始された制度です。

令和3年度末までに累計135万戸以上が認定を受け、新築の一戸建ての4戸に1戸は長期優良住宅の認定を受けている計算になります。

長く良好な状態で住み続けられる住宅を促進することで、世代がかわるごとに建て替えるのではなく、継承していくことにより環境負荷を減らしていくことが主な目的です。

長期優良住宅の認定を受けるには?

長期優良住宅の認定を受けるためには、着工前に所管行政庁へ認定申請を行い、適合審査により認定された場合に「長期優良住宅認定通知書」が発行されます。長期優良住宅認定通知書は長期優良住宅であると認定された証明書のため、さまざまな手続きに必要です。長期優良住宅の認定を受ける住宅は一戸建てのほか、共同住宅などでも利用できます。

長期優良住宅の認定基準

長期優良住宅は以下5つの措置がすべて講じられている必要があります。

  • ・1.長期に使用するための構造及び設備を有する
  • ・2.居住環境等への配慮を行っている
  • ・3.一定面積以上の住戸面積を有する
  • ・4.維持保全の期間、方法を定めている
  • ・5.自然災害への配慮を行っている

一部引用:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

くわしくは以下の通りです。

一部引用:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

 

長期優良住宅認定通知書とは


長期優良住宅認定通知書は長期優良住宅の申請をし、審査をクリアした際に交付される書類のことです。基本的には着工前に施工会社が手続きを行うため、着工後に長期優良住宅認定通知書が配られてないという場合には、施工会社に問い合わせてみてください。

長期優良住宅認定通知書の発行場所

長期優良住宅認定通知書は、所管行政庁に申請を行い発行してもらいます。所管行政庁は、住宅の建設地や建物の規模などにより異なります。一般社団法人住宅性能評価・表示協会のHPで所管行政庁の検索ができるので、確認してみてください。

長期優良住宅の申請方法

長期優良住宅の認定手続きは着工前に行わなければなりません。申請者は建築主や分譲事業主が行いますが、施工会社が代理で行うことも可能です。

まずは登録住宅性能評価機関に長期使用構造等であるかの確認を申請します。必要な書類は以下の通りです。

  • ・確認申請書または設計住宅性能評価申請書
  • ・添付図書(設計内容説明書・各種図面・計算書等)

その後、所管行政庁に認定申請の受付をし適合審査ののち、認定された場合に認定通知書が交付されます。

以下が必要な書類です。

  • ・認定申請書
  • ・添付図書(確認書等・各種図面・そのほか所管行政庁が必要と認める図書)

長期優良住宅の認定を受けてから工事を開始。工事が終わったら、計画に基づき工事が完了した報告を行います。

長期優良住宅のメリット・デメリット


長期優良住宅にはメリット・デメリットが存在します。「こんなはずではない」と後悔しないためにも、ここでは長期優良住宅のメリットとデメリットを見ていきましょう。

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅の最大のメリットは、以下のような税制面での優遇がある点が挙げられます。

一部引用:一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

住宅ローン減税と投資型減税の併用はできません。上記のほかに地震保険料の割引などを受けられます。

住宅ローン控除など税制面での優遇のほかにも、バリアフリーや耐震性などの基準を満たした優良な住宅に住める安心感があります。長期優良住宅は、住みやすさに優れていますが、将来住まない場合に高く売れる可能性があるのもメリットといえるでしょう。

長期優良住宅のデメリット

長期優良住宅にはメリットのほかに知っておきたいデメリットもあります。一般的な住宅には必要ない申請にかかるコストと時間が必要です。また長期優良住宅の基準を満たす住宅を建築するためには、建築にかかる費用も割高になるでしょう。

さらに、一般的な住宅では必要ない、長期優良住宅の認定を受ける際に作成した維持保全計画に従った点検を実施する必要があるため、メンテナンス費用も必要です。

ただ厳しい基準を満たし、しっかりと管理された住宅だからこそ長期的に安心して住むことができ、売却する場合も一般的な住宅と比べて高値で売れることにつながります。

長期優良住宅認定通知書を申請するポイント


長期優良住宅認定通知書をはじめて申請する際は、わからないことが多く不安に感じる人もいるでしょう。そこでここからは、長期優良住宅認定通知書に関するよくある疑問について解説していきます。

長期優良住宅認定通知書の申請にかかる費用

長期優良住宅認定通知書の申請には、費用がかかります。費用は申請先の所管行政庁により異なりますが、約1~5万円が相場のようです。

一般的に申請は施工事業主が代理で行うため、実際には上記の申請費用に手数料が加わります。施工事業主との打ち合わせの際には長期優良住宅認定書の申請にいくらかかるのかを確認しておくと安心です。

長期優良住宅認定通知書が届く時期

長期優良住宅認定通知書はいつもらえるのでしょうか。まずは登録住宅性能評価機関に長期使用構造等であるかの確認を登録・申請します。確認書等が交付された後、所管行政庁へ申請をしましょう。

申請時に書類などの不備がなく認定されれば、申請から約1週間で長期優良住宅認定通知書が交付されます。ただ、書類等に不備がある場合には交付までに時間がかかってしまうため、必要書類は余裕をもって用意しておくのがおすすめです。

長期優良住宅認定通知書を紛失した場合

長期優良住宅認定通知書は税制面でさまざまな優遇を受ける際に必要な重要書類のため、なくさないよう大切に保管しましょう。万が一紛失した場合、基本的に再発行はできません。

ただ、自治体によっては、長期優良住宅であることが証明できる別の書類を発行できる場合があるようなので、長期優良住宅認定通知が見当たらないときには、再発行に代わる書類を発行してもらえるかどうか、住宅がある自治体に確認してみましょう。

長期優良住宅の認定基準を満たすのか確認しよう

長期優良住宅の普及促進に関する法律に基づき、認定された長期優良住宅は長期優良住宅認定制度が施行された21年6月から現在まで右肩上がりで増え続けています。

維持保全における定期的な点検や修繕などが求められますが、安心して長期的に住み続けるためには一般的な住宅でもメンテナンスは不可欠。また、確定申告を行うことで住宅ローン控除などさまざまな税制面での優遇を受けられるため、トータル的に見てメリットと考える人が多いようです。

これから新築で住宅を建てようと考えている人、増改築を検討している人は長期優良住宅の申請も検討してみてはいかがでしょうか。