吹き抜けリビングの間取り実例|メリットやデメリット、対策も解説

2023年11月18日

吹き抜けのあるリビングは明るさや開放感などさまざまな魅力があり、注文住宅でも人気の高い間取りです。

しかし、吹き抜けは夏は暑くて冬は寒いという情報を聞いて、デメリットが気になっている人も多いのではないでしょうか。

この記事では吹き抜けリビングのメリットやデメリットとともに、吹き抜けで後悔しないためのポイントや対策も解説します。

工夫とアイデアが詰まった実例もご紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

 

吹き抜けリビングとは?

吹き抜けとは、複数階にわたって天井や床を設けず、縦方向に広がりを持たせた空間のことです。戸建て住宅では、リビングや玄関によく採用されます。リビングを吹き抜けにする場合、一部または全体を吹き抜けにすることが可能です。

なお、吹き抜けをつくるには、2階以上の構造が必要になります。そのため平屋で吹き抜けはつくれません。ただし、勾配天井にして高さを出した場合、吹き抜けとして扱われることもあります。

平屋でも高さのあるリビングがつくれる勾配天井については、こちらの記事を参考にしてみてください。
>>勾配天井を活かしたリビングづくり|ポイントや事例5選をご紹介
 

吹き抜けリビングのメリット


リビングを吹き抜けにすることで得られるさまざまなメリットについて解説します。
 

広々とした開放的な空間になる

リビングに吹き抜けを採用すると、天井が高くなるため、視覚的にも体感としても広く感じられます。床面積が狭くコンパクトなリビングであっても、縦方向に空間が広がるため、開放的で実際よりも広く感じられるでしょう。
 

自然光を取り入れやすい

吹き抜けにするとリビングの壁に高さが出るため、窓の大きさや位置をアレンジできます。窓を大きくすると、日差しをたくさん取り込めるでしょう。また、窓を高い位置につくったり2階をガラス張りにしたりすると、太陽の高度が低くなる冬でも部屋の奥まで自然光を取り込むことが可能です。自然光を効率よく取り込むことで、照明にかかる電気代を抑えることもできます。
 

風通しがよくなる

暖かい空気は上に、冷たい空気は下に流れる性質があるため、吹き抜けリビングには縦方向に移動する立体的な空気の流れが生じます。南北の風通しとは異なる吹き抜けリビングの快適さや心地よさは、この立体通風によるものです。

高窓を設置すれば、夏は上昇する熱い空気を窓から排出することもできます。涼感が得られるうえ光熱費も抑えられるでしょう。
 

家族のコミュニケーションが生まれやすい

吹き抜けにすると1階と2階の空間がつながり、別の階にいる家族ともコミュニケーションが取りやすくなります。家族と顔を合わせる機会が多くなり、1階のリビングから2階の子ども部屋にいる子どもに声をかけることも可能です。そのため、吹き抜けリビングは家族間コミュニケーションを重視したい子育て世帯でもよく採用されます。
 

デザイン性の高いインテリアを楽しめる

開放感のある吹き抜けリビングにはデザイン性の高い窓や階段、照明が似合います。

高窓や天窓、オープン階段、ムードのある間接照明などを取り入れると、吹き抜けリビングならではのおしゃれなインテリアを楽しめるでしょう。
 

吹き抜けリビングのデメリット


メリットがたくさんある吹き抜けリビングですが、デメリットもあります。吹き抜けリビングにして後悔しないためにも、デメリットを押さえておきましょう。
 

2階の床面積が小さくなる

2階の吹き抜け部分は床がつくれないため、一般的な住宅と比べて2階の床面積が小さくなります。吹き抜けリビングにしたために必要な部屋数や広さを確保できないといったことがないよう、計画時には間取りの調整が必要です。
 

夏は暑く冬は寒い

吹き抜けリビングは窓や外壁が多く外気の影響を受けやすいため、暑さや寒さを感じやすくなります。特に屋根裏まで吹き抜けにした場合は屋根から直接熱が伝わり、暑くなるため注意が必要です。

昨今では住宅の断熱性能が高まっているため、従来の吹き抜けのような厳しい暑さや寒さを感じることはないでしょう。ただし、壁や開口部が多くなる分、一般的なリビングに比べると対策は必要です。
 

空調効果が下がる

吹き抜けリビングは同じ床面積のリビングと比べて空間が広くなるため、エアコンの効率が下がります。また、大きな窓から熱が逃げやすいことや、暖められた空気が上昇しやすいことも、エアコンの効きに影響するでしょう。
 

メンテナンスや掃除が大変

高さのある吹き抜けは、窓や照明の位置も高くなることで、メンテナンスや掃除が大変になります。はしごが必要な高さの窓掃除や電球交換は、落下にも注意が必要です。業者に依頼する場合は、費用が発生することも押さえておく必要があります。

 

音や匂いが伝わりやすい

吹き抜けリビングは1階と2階の空間がつながっているため、生活音や声が響きやすいです。また、料理などの匂いも想像以上に伝わります。

音や匂いに敏感な家族や受験生、生活時間帯が異なる家族がいる場合は、配慮や対策が必要です。
 

吹き抜けリビングの実例6選

吹き抜けリビングが魅力的な実例をご紹介します。デメリットを解消して快適な空間を実現したアイデアも参考にしてみてください。
 

①プロヴァンスの開放的な雰囲気や家族のぬくもりを感じる吹き抜けリビング


視覚的な開放感や暖かさに加えて、家族のつながりとぬくもりが心地よく感じられる吹き抜けリビングです。高窓から自然光が差し込み、開放的でナチュラルなプロヴァンスの雰囲気を再現。1階リビングと子ども部屋がある2階の空間がつながることで、親子のコミュニケーションも自然に増えます。
 

②「吹き抜け」「FIX窓」「坪庭からの採光」で目隠しと明るさを両立

一般的なリビングには必ずある掃き出し窓がないのに、十分明るく開放的な吹き抜けリビングです。吹き抜けの壁に設置した3つのFIX窓とその対角線上にある坪庭からの採光で、大きな窓がなくてもしっかり明るく、モダンでスタイリッシュなインテリアを実現。外からの目線も気にならず、リラックスして過ごせます。

 

③照明にも注目。大きな窓と階段で実際より広く見える吹き抜けリビング

大きな窓、抜け感のあるアイアンのリビング階段を採用し、実際よりも広く開放的に見える吹き抜けリビングです。ダイナミックな見せ梁も、広々とした空間になじんでとてもおしゃれ。照明は低い位置に設置しているため、掃除やメンテナンスもらくらくです。向きを変えるだけで明るさを調整できるダウンライトとムーディーな間接照明のダブル使いが参考になります。

 

④隣接マンションからの目線カット。すりガラスの大開口窓を設けた吹き抜けLDK



約26畳に3畳の畳コーナーを設けたLDKは、吹き抜けでさらに開放感がアップ。LDKのうち、落ちつき感を出したいリビング部分ではなく、ダイニングキッチンと3畳の畳コーナー上に広々とした吹き抜けを設けています。吹き抜け部分はマンションと近接していますが、すりガラスの大きな窓を採用しているため、目線を気にせず明るさはしっかり確保できます。
 

⑤吹き抜けと中庭からの採光で明るく開放的な吹き抜けリビング


外壁のある中庭と吹き抜けによって、南側に家があっても十分な光を取り込める、ホテルライクなリビングです。採光のために外壁の高い位置にも開口部を設けているため、プライベート感の高いリビングや中庭で視線を気にせずくつろげます。

窓の位置に関して、床に接する掃き出し窓と天井ぎりぎりに高窓を設置すると、吹き抜けの壁面がよりすっきり見えてスタイリッシュです。

 

吹き抜けリビングで後悔しないためのポイント


吹き抜けリビングのメリットを活かし、デメリットを解消するためのポイントを整理して解説します。
 

気密性・断熱性を高める

現在の住宅は断熱性能や気密性能の技術レベルが上がっているため、吹き抜けリビングの暑さ・寒さ対策も可能です。特に窓や外壁、天井を重点的に対策することで、快適さを確保することができます。

プランによって窓の大きさや種類、天井のつくりは異なるため、建築の際は施工会社とよく相談し、間取りに応じた対策を提案してもらうとよいでしょう。
 

窓の大きさや位置を工夫する

吹き抜けリビングの窓の大きさや位置は、暑さや寒さ、採光、通風、周囲からの目線、メンテナンスや掃除のしやすさなど、さまざまな要素と関わっています。そのため、窓の大きさや位置、種類などは土地の条件や周辺環境、方角、メンテナンスなどを踏まえて総合的に計画することが必要です。つくってから後悔しないよう、施工会社と相談を重ねて決定しましょう。

また、窓からのまぶしい日差しや冷気が気になっても高窓や天窓では自力で対処しにくいため、自動開閉式のカーテンやロールカーテンをつけるなどの対策も考えておく必要があります。
 

吹き抜けリビングに適した空調設備を導入する

吹き抜けリビングは同じ床面積の一般的なリビングと比べて容積が大きく、暖かい空気が上に上がっていくため、畳数通りのエアコンではパワー不足で暖まりにくいです。吹き抜けリビングにエアコンをつける場合は、実際の畳数よりも大きめのものを選びましょう。エアコンの位置は、1階と2階の中間あたりに設置するのがおすすめです。

また、吹き抜けの天井にシーリングファンをつけると、天井付近に集まる暖められた空気を下に押し戻す効果があります。
 

照明の位置や種類を工夫する

吹き抜けリビングの天井にシーリングライトをつけると、高さがあるためリビング全体に光が届きにくく、電球交換やメンテナンスも大変です。

照明は壁の中間程度の高さや梁などに設置すると、電球交換や掃除も簡単にできます。また、照明の種類は必要な光量を確保できるものや向きを調整しやすいものを選びましょう。目的や部屋の雰囲気に合わせて埋め込み式のダウンライトや吊り下げ式のペンダントライト、壁付けするブラケットライトなどを組み合わせるのもおすすめです。
 

デメリットを解消して、おしゃれで快適な吹き抜けリビングをつくろう

昨今の吹き抜けリビングは建築の断熱性能が高まっているため、ひと昔前のような寒さを感じることはありません。ただし、縦に空間が広がり、壁や窓が多くなるため、通常のリビングとは異なる対策が必要になります。

吹き抜けをつくって後悔しないために押さえるべきポイントは以下の通りです。

  • ・吹き抜けの壁や窓、天井の気密性・断熱性を高める
  • ・窓の大きさや位置を工夫する
  • ・大きめのエアコンなど吹き抜けリビングに適した空調設備を導入する
  • ・照明の位置や種類を工夫する

ポイントや実例も参考に、おしゃれで快適な吹き抜けリビングを計画しましょう。