勾配天井を活かしたリビングづくり|ポイントや事例5選をご紹介

2023年6月6日

勾配天井を取り入れたリビングは、開放感のあるおしゃれな空間が魅力的で、注文住宅でも人気が高まっています。

この記事では勾配天井を活かしたリビングをつくるポイントを、メリットやデメリットも踏まえて解説します。また、勾配天井のあるおしゃれで快適なリビングの実例や工夫点もご紹介。

勾配天井のあるリビングが気になる人は、ぜひチェックしてください。

 

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勾配天井とは?

 

勾配天井とは

勾配天井とは、屋根の形に沿って傾斜のある天井のことです。
一般的には屋根と天井の間に小屋裏空間がありますが、勾配天井の家では天井を張らないため天井裏の空間も室内の一部となります。

勾配天井はリビングのデザイン性や開放感を高めたい場合に有効です。

また、都市部では北側斜線制限など高さ規制がある土地をうまく活用して、快適でおしゃれなリビングをつくるケースもあります。

 

リビングを勾配天井にするメリット

リビングに勾配天井を 取り入れることによって、 以下のようなメリットがあります。

 

リビングに奥行きや高さが感じられる

勾配天井を取り入れると天井が低い場所と高い場所ができることで見通しがよく、空間に高さや奥行きが感じられます。

天井が低い場所は落ち着きが感じられ、高い場所は開放感があり、おしゃれでメリハリのあるリビングを演出することが可能です。

 

高い位置に窓を取り付けられる

勾配天井にすることで、高窓(ハイサイドライト)や天窓(トップライト)を取り付けることが可能です。高い位置に窓を取り付けると、以下のようなメリットがあります。

リビングが明るい

高窓や天窓を取り付けることで、リビングにより多くの光を取り込むことが可能です。一般的な窓だけでは届きにくい部屋の奥まで光が届くため、リビングが明るくなります。
インテリアや外観の印象をおしゃれで明るく演出したい人にもおすすめです。

風通しがよい

高い位置に窓があると、暖かい空気は上に上る性質を活かして、換気がしやすい点がメリットです。夏場は特に高窓を開放することで、リビングの暑い空気をうまく逃がし、涼しい風を取り込むことができます。

プライバシーを確保できる

勾配天井は壁面の高い位置に窓をつくれるため、リビングが隣家や道路に面している場合でも、プライバシーを確保しやすいメリットがあります。採光や換気も外からの視線を気にすることなく行うことが可能です。

 

デザイン性が高い

勾配天井は、一般的な平らな天井と比べてデザイン性が高い点も魅力です。

飾り梁を取り入れて、インテリアをダイナミックで個性的に演出することもできます。

 

2階リビングと相性がよい

リビングに開放感を出したい場合、天井を吹き抜けにする方法がありますが、この方法では2階部分の床面積が削られてしまいます。

2階リビングと勾配天井を組み合わせると、限られた延べ床面積を削ることなく、開放的で明るいリビングをつくることが可能です。

 

ロフトやスキップフロアをつくると空間を有効活用できる

勾配天井のあるリビングは、ロフトやスキップフロアといった人気の間取りとも好相性です。

小屋裏空間を有効活用して勾配天井にロフトを設置することで、収納空間を増やすこともできます。

また、スキップフロアを取り入れても天井に高さがあるため、窮屈な印象になりません。

 

リビングを勾配天井にするデメリット

メリットとともに、リビングを勾配天井にするデメリットも押さえておきましょう。

 

建築費用がかかる

勾配天助を取り入れると縦の空間が増える分だけ壁も増えるため、資材や高い位置に足場を組む費用がかかり、建築費用が高くなります。高い位置に窓を取り付ける際、開閉を手動ではなく電動にするケースが多いことも、建築費用がかさむ理由の1つです。

 

メンテナンスの手間や費用がかかる

壁の高い位置や勾配天井に設置した窓や照明は、掃除やメンテナンスが難しいということも押さえておきましょう。

窓掃除や電球の交換にも脚立が必要です。また、脚立を使っても届かない位置に窓や照明があると、掃除や電球の交換も業者に依頼する必要があるため、費用もかかります。

 

室温の管理が難しい

勾配天井のリビングは天井裏がある一般的な戸建てと比べて、屋根からの熱が直接伝わりやすく、 特に夏場は暑くなるため注意が必要です。

また、高さや開放感がある分、 冷暖房効率が悪くなる傾向があります。

 

生活音が響きやすい

勾配天井のリビングは縦に空間が広がるため、生活音がよく響きます。勾配天井を計画するときは、声のほか、足音や排水音なども反響しやすいということを念頭に置いておきましょう。

 

勾配天井を活かしたリビングづくりのポイント4つ

デメリットを解消し、勾配天井を活かしたリビングに仕上げるためのポイントを4つご紹介します。

 

1.屋根の断熱性能を高める

勾配天井では、天井裏に断熱材を入れる一般的な断熱工法とは異なり、屋根の勾配に沿って断熱材を入れます。

屋根から伝わる熱の影響に左右されにくいリビングにするためには、屋根の断熱性をしっかり高めておくことが大切です。

屋根断熱は勾配がある分多くの断熱材が必要となり、施工にも手間がかかります。そのため、屋根断熱の知識や実績が豊富なハウスメーカーや工務店を選ぶと安心です。

 

2.空気を循環させる仕組みをつくる

勾配天井にすると開放感がある分、冷暖房が効きにくくなります。冷暖房の効率を上げるためには、空気を循環させる仕組みをつくっておくことが大切です。

メリットの項目で述べた通り、高い位置に窓を設置しておくと、暖められた空気が上昇する性質を活かして、夏場の暑い空気を入れ替えしやすくなります。

また、天井付近に溜まる暖かい空気を攪拌して室温を一定に保ちやすくするシーリングファンの設置もおすすめです。

 

3.照明計画は念入りに

さまざまなタイプの照明を組み合わせることで、勾配天井の広々とした空間を明るくおしゃれに演出することができます。また、効率よく照らせる照明を組み合わせることで、光熱費やメンテナンスコストを削減することにもつながるため、照明計画は念入りに行いましょう。

広々としたリビングの光量を確保することができるシーリングライトやダウンライトは、電球をLEDにすることで交換頻度を少なくできます。

脚立で届く高さに壁付け照明や間接照明を設置すると、部屋の明るさを補うとともに、おしゃれなムードづくりに効果的です。

天井が低い位置にペンダントライトを設置するほか、移動も可能なスタンドライトを取り入れると、暗くなりがちな手元を明るく照らすことができます。

 

4.吸音効果のある家具などインテリアを工夫する

素材が硬いフローリング材やブラインドなどは、音が反響しやすいという特徴があります。

勾配天井のリビングで生活音を響きにくくしたい場合は、吸音効果が高い布製の家具やインテリアアイテムを取り入れるのがおすすめです。

ブラインドよりもカーテンを、革製よりも布製のソファを選んだり、フローリングにはラグを敷いたりすると、生活音を響きにくくしてくれます。

 

勾配天井のあるおしゃれで快適なリビングの実例5選

勾配天井を活かしたリビングの実例を5つご紹介します。照明の使い方、高窓の効果やメンテナンスを軽減するための工夫もぜひ参考にしてみてください。

 

1.勾配天井の高さを活かして中2階や蔵を設けた、開放的な眺めが広がるリビング

シンプルモダンな平屋のリビングは、高窓からの光が差し込み明るく開放的です。勾配天井の高さを活かして子どもの遊び場に最適な中2階をつくり、その下には蔵を設け、縦の空間を無駄なく有効活用。キッチンからは見通しのよい開放的な眺めが広がり、中2階からはリビングを一望できます。見せ梁にダクトレールを渡して照明を取り付けることで、照明の位置が高すぎず、リビング全体やテーブルにしっかり明かるさが行き届きます。またメンテナンスも中2階から行えるため便利です。

 

2.南側に建物があっても採光は抜群、立体感と広がりが感じられる勾配天井のリビング

段差を設けた勾配天井によって、キッチンから吹き抜けにかけて立体感と広がりが感じられる、おしゃれなリビングです。高窓を設けたことで、南側に高い建物があっても、十分な明るさを確保できています。高窓のロールスクリーンは電動で開閉するため、手軽に日差しの量を調節できます。高い位置に照明やシーリングファンを付ける場合は、リビングやAV機器類への光の当たり方や影の影響をさまざまな時間帯でシミュレーションすることが大切です。

 

3.天井が高い吹き抜け空間を明るく照らす、照明の使い方を参考にしたいおしゃれなリビング

高さがある吹き抜け天井の照明使いは、勾配天井のリビングでも応用可能です。こちらのリビングでは両側の壁にダウンライトを取り付け、間接照明のように使用しています。角度を変えられるためスポットライトのようにも使え、テーブルや手元など必要な場所を照らすことが可能です。おしゃれな間接照明は、リビングのムードづくりの役割も担っています。

 

4.大きな天窓から視線が外に抜けて心地よく、見せ梁の照明で隅々まで明るいリビング

外から見てもかっこいい、中からは視線が外に抜ける開放感が心地いい、勾配天井の大きな天窓が特徴的な平屋のリビングです。勾配天井に加えてリビングを段下げしているため、平屋とは思えない高さが感じられます。見せ梁に照明を取り付けることで明るさがリビングの隅々にまで行き届きやすくなるうえ、メンテナンスの負担を軽減することも可能です。

 

5.勾配天井のリビングで実際より広く感じられる平屋

勾配天井を取り入れたことで、リビングはもちろん、家全体も実際より広い印象がある平屋です。勾配天井のリビングは、平屋とも相性抜群。勾配天井には木目の壁紙を貼ることで、ロッジのようなナチュラルな印象に。ダウンライトのほか、壁付け照明やペンダントライトも組み合わせることで、一層おしゃれで開放的なリビングを演出しています。

 

まとめ:ポイントや実例の工夫点を参考に、勾配天井を活かしたリビングを計画しよう

勾配天井のリビングは、おしゃれで明るいといった魅力がたくさんある一方で、建築費用の高さや室温管理の難しさといったデメリットもあります。

しかし、デメリットは以下の4つのポイントを押さえることで解消することが可能です。

  • ・屋根の断熱性能を高める
  • ・空気を循環させる仕組みをつくる
  • ・念入りな照明計画
  • ・吸音効果のある家具などインテリアを工夫する

ポイントや実例も参考に、勾配天井のあるおしゃれで快適なリビングを実現しましょう。