吹き抜けとは|メリット・デメリットも解説

2024年2月4日

「吹き抜けをリビングにつくりたい」
おしゃれな間取りとして人気のある吹き抜け。しかし、吹き抜けは一般的な構造の住宅と異なり、特殊な間取りをしています。そのため、吹き抜け特有のメリットやデメリットがあります。これらを知らずに吹き抜けをつくると後悔するかもしれません。この記事ではそんな吹き抜けについて解説していきます。

 

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吹き抜けとは

ここでは吹き抜けの特徴について説明します。また、吹き抜けと混同されやすい高天井についても解説しますので、両者の違いを覚えておきましょう。

 

吹き抜けの特徴

吹き抜けとは2つ以上のフロアを一つにつなげた間取りのことを指します。ショッピングモールのような商業施設で、1階から3階部分の天井まで見渡せる構造をよく見かけませんか。規模は大きいものの、その構造も吹き抜けです。

吹き抜けはリビングに設けるケースが多いのですが、玄関に設ける間取りも人気です。家の第1印象である玄関が開放感抜群であれば家全体の印象もよくなります。なにより仕事で疲れて帰ってきたときに、玄関が開放的だと快適ですよね。また、リビング階段も吹き抜けと相性がよく、リビング階段を吹き抜けと組み合わせることで、よりデザイン性の高いモダンなリビングとなります。高級感も演出できるため、訪れた人の印象にも残りやすいでしょう。

このように、吹き抜けを設けるとおしゃれな空間になります。そのため、吹き抜けに憧れる方も多いのではないでしょうか。

 

高天井との違いは?

高天井とは建物の1階部分の天井を通常よりも高い位置に設けるつくりをいいます。一般的に天井の高さは2.4~2.7mです。一方、高天井の場合は3m以上の高所に天井を設けることがほとんどです。また、高天井は基本的に平屋につくられるケースが多く見られます。

平屋で高天井にした場合、天井上の空いたスペースをロフトにする間取りが人気です。ロフトは一定の条件を満たせば床面積には含まれません。つまり、固定資産税の対象外にして節税できるメリットがあります。お得に小フロアができるのは魅力的ですね。

 

吹き抜けのメリット

ここでは吹き抜けのメリットについて解説します。

 

開放感が生まれる

吹き抜けをつくる最大のメリットは、フロアに開放感が生まれるという点です。吹き抜けにすると、1階の天井がないため、視界がぐっと広がります。視覚的に広がりのある空間を演出できると、床面積が狭くても窮屈な印象を与えにくくなります。土地面積が十分に取れず狭いリビングしかつくれなかったとしても、吹き抜けによる縦の空間があれば、視覚的に開放感を演出することは可能です。

 

部屋全体が明るくなる

吹き抜けとセットでつくられるのが、高所の窓です。多くの場合、2階部分につくられるケースをよく見かけます。この窓の最大の役割は採光にあります。2階部分の窓から日光を取り入れることで、部屋全体に日差しが行きわたり、とても明るい空間に。照明では決して演出できないような、やわらかい日差しを感じられるのは吹き抜けならではのメリットでしょう。

 

おしゃれな間取りになる

吹き抜けはそれだけで住宅全体のデザイン性を高めてくれます。きっと訪れた人もおしゃれな間取りに「おっ」となるでしょう。また、生活していても高い満足感を得られます。

「注文住宅をつくるからには、おしゃれな間取りにしたい」
そんな方はぜひ吹き抜けを検討してみましょう。

 

吹き抜けのデメリット

ここまで吹き抜けのメリットを解説してきました。吹き抜けの魅力は多くありますが、一方でデメリットもいくつか存在します。吹き抜けをつくる際は、デメリットもしっかり把握しておきましょう。

 

耐震性が弱くなる可能性がある

吹き抜けの最大のデメリットは建物全体の強度が弱くなるかもしれないという点です。床や天井、柱には地震の揺れを分散する役割が備わっています。いうなれば、吹き抜けは本来そこにあるはずの天井や床を取り除くような間取りです。また、柱の位置も本来の位置からずれて設置する可能性もあります。その結果、耐震性にマイナスの影響を与えてしまうかもしれません。

吹き抜けのある住宅を建築する際は、耐震性にも考慮した構造を提案してくれるようなハウスメーカーや工務店に依頼しましょう。地震大国である日本で、地震に備えておいて決して損はありません。

 

光熱費が高くなる

吹き抜けのデメリットには光熱費が高くなるという点もあります。吹き抜けをつくることで冷暖房効率が下がり、夏は2階部分が冷えにくく、冬は1階部分が暖まりにくいという現象が起きるためです。

吹き抜けによって、夏は2階部分に暑さがたまってしまい、各部屋でエアコンをつけるのが必須となります。一方、冬は1階部分の暖かい空気が2階に逃げてしまうため、どうしてもエアコンの台数が増えたり、床暖房をつけたりして光熱費がかさんでしまいます。

 

高所のメンテナンスがしにくい

高所のメンテナンスがしにくいというのも、吹き抜けの忘れられがちなデメリットの一つです。メンテナンスとはこの場合、窓の掃除と照明交換のことを指します。

窓であれば、2階部分の位置は3m以上の高さがあり、天窓ならそれ以上の高さになります。それらを自分で掃除するのは非常に危険です。照明も同様に天井部分に設置されるため、照明交換も危険かつ困難です。

そうなると、業者に依頼をすることになり、結果的に余計なコストが発生してしまいます。自分の好きなタイミングでメンテナンスができないのも面倒に感じるかもしれません。このように吹き抜けは必要以上にランニングコストがかかりやすいというのも覚えておきましょう。

 

吹き抜けをつくる際のポイント・注意点

ここまで吹き抜けのメリットやデメリットを解説してきました。最後に吹き抜けをつくる際の注意点やポイントをまとめておきますので、吹き抜けを検討している方は参考にしてみてくださいね。

 

2階部分が狭くなる

吹き抜けをつくると、2階部分が狭くなります。吹き抜けでおしゃれな間取りにする代わりに、部屋数が少なくなるという点を覚えておきましょう。

 

冷暖房選びと設置方法

冷暖房の効率が悪いため、冷暖房選びや設置方法は快適に暮らすうえで重要なポイントとなります。本来必要な畳数よりも大きめの畳数をカバーするエアコンを買ったり、もう一台設置したりするなどの対策をしましょう。

 

強度を保つ

忘れてはならないのが、耐震性の補強です。ハウスメーカーや工務店と入念に打ち合わせをして、不安が残らないようにするのが大切ですよ。

 

デザイン

吹き抜けはデザイン性が高くおしゃれな間取りですが、デザインを間違えるとちぐはぐな印象になる恐れがあります。こちらも設計士やメーカーとの綿密な打ち合わせが肝となります。

 

照明を有効活用

吹き抜けのデザイン性をぐっと高めてくれるものとして、おしゃれな照明を採用するのも検討してみましょう。ダウンライトやペンダントライトなどを活用できれば、唯一無二の空間となるでしょう。

 

ランニングコストが割高になる

冷暖房の効率の悪さや高所のメンテナンスが危険な点から、吹き抜けはランニングコストが割高になりがちです。そうしたデメリットもこれからの生活に織り込んでおきましょう。

 

まとめ:吹き抜けの特徴を理解して、検討してみましょう

この記事では吹き抜けのメリットやデメリットを主に解説しました。おしゃれで開放的に見える吹き抜けに憧れている方は多いのではないでしょうか。たしかに吹き抜けには多くの魅力があります。しかし、特殊な構造によるデメリットが複数あるのも事実。デメリットを理解して対策すれば、後悔のない吹き抜けが完成しますよ。

開放感のある間取りは吹き抜けだけではありません。高天井もその一つです。高天井に興味がある方は下記の記事も一読してみませんか。

高天井ってなに?吹き抜けとの違いも解説! – リブタイムズ