家の湿気対策|湿気の原因と家づくりの工夫や今すぐできる対策を解説

2024年3月2日

家の湿気対策は、快適で健康な住まいづくりに欠かせません。しかし、どんな湿気対策が効果的か、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

この記事では効果的な湿気対策を考えるために、家に湿気がたまる原因からくわしく解説します。また、家づくりの段階でできる工夫や今すぐできる湿気対策もご紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

 

家にたまる湿気の正体とリスク

湿気とは?

湿気とは空気中に含まれる水分のことで、湿度とはその割合を数値で表したものです。大気は気温が高くなるほど水蒸気を多く含み、湿度も高くなる傾向にあります。

温暖湿潤な気候の日本で湿度が高い季節といえば、雨の日が続く梅雨から夏場をイメージするでしょう。ただし、冬場は外気が冷たく乾燥していても、室内との気温差などによって湿気が生じるため注意しましょう。

なお、建物内で健康的な環境を維持するための湿度や温度については、厚生労働省が以下のように基準を定めています。

  • ・湿度:40~70%
  • ・室温:18~28%

参考:厚生労働省 建築物環境衛生管理基準について

家の湿気対策を考える際の目安にするとよいでしょう。

 

家にたまる湿気によるリスク

家に湿気がたまると、カビや細菌が繁殖しやすくなります。一般的に、カビは70%以上の湿度、20~30℃の気温、栄養が揃うと繁殖するため、湿度が上がり過ぎないよう注意しましょう。カビは不衛生なだけでなく、胞子やカビをエサに繁殖するダニによって、アレルギーを起こすリスクも高まります。

また、気温と湿度の両方が高くなる梅雨や夏場は体温調節の機能がうまく働かず、熱中症のリスクも高まるため対策が必要です。

なお、湿度が低過ぎると空気が乾燥気味になり肌あれの原因となったり、ウイルスの活動が活発になり風邪を引きやすくなったりします。快適で健康に過ごすためにも、適温・適湿を保つことが大切です。

 

家に湿気がたまる原因

天候のほか、以下のような要因が組み合わさることで家に湿気がたまりやすくなります。

 

湿気がたまりやすい立地や構造

立地の条件によって、家に湿気がたまりやすくなる場合もあります。特に海や川などの水辺に近い家、沼地や水田を埋め立てた土地に建てられた家は湿気に注意が必要です。また、土地に高低差があり雨水などが流れ込みやすい場所は、水はけが悪いため湿気もたまりやすいでしょう。

家の構造も家の湿度に影響します。木造の家が湿気に強いといわれるのは、木材には湿度が高いときには湿気を吸い、湿度が低くなると湿気を吐き出す調湿機能があるためです。一方、コンクリートは湿気を吸いやすいですが、木材のような調湿機能はありません。そのため、コンクリート構造の家は湿気がたまりやすい傾向があります。また、コンクリート構造は気密性の高さはメリットですが、湿気を外に逃がしにくいデメリットがあることも押さえておきましょう。

 

湿気がたまりやすい時期

日本の住宅は一年を通じて湿度が高い傾向にありますが、梅雨と冬場に特に湿気がたまりやすい原因について解説します。

 

梅雨

梅雨は雨の日が続くうえ、5月から6月にかけて平均気温が上昇するため、湿度が高くなりジメジメと蒸し暑い日が続きます。室内を快適に保つために冷房を入れると、冷えた空気中の水蒸気が結露となり、カビの原因となるため注意が必要です。

 

冬場

冬場は屋内の空気は冷たく乾燥気味ですが、寒いからといって換気を怠ると、調理や入浴、暖房によって生じた湿気が室内にこもってしまいます。また、冬場は外気温と室温の温度差で結露が生じやすく、放置すると湿気が発生する原因となるため、対策が必要です。

 

湿気がたまりやすい場所

家の中で特に湿気がたまりやすく、対策が必要になる場所は以下のとおりです。

 

北側の部屋や寝室

北側に配置された部屋は日が当たりにくいため、ほかの部屋と比べて湿気がたまりやすくなります。冬場は暖房によって寒暖差が激しくなるため、結露対策が必要です。

また、部屋の中でも寝室はベッドや寝具が寝汗を吸収するため、湿気がこもりやすくなります。

北側に寝室を配置した場合は特に、湿気対策を徹底するとよいでしょう。

 

水回り

キッチンや浴室・洗面所など、水回りは特に湿気がたまりやすい場所です。温水の使用や調理によって湿度とともに室温も上がるため、カビや細菌が繁殖しやすくなります。また、温度差によって結露が発生しやすいのも特徴です。

水気を放置しないほか、カビのエサになる食べかすやほこり、髪の毛などをこまめに掃除する対策も欠かせません。

 

洗濯物干しスペース

洗面・脱衣所や浴室など、洗濯物を干すスペースを室内に設けている場合は、湿気対策が必須です。日当たりが悪かったり換気が十分でなかったりすると湿気が室内に滞留し、洗濯物も乾きにくくなります。

 

収納スペース

押し入れや納戸などの収納スペースも湿気がたまりやすく、人から見えないよう扉を閉めっぱなしにしておくと湿気の逃げ場がなくとどまってしまいます。特に布団は寝汗を吸って湿気がこもりやすいため、収納する場合は注意が必要です。

床下収納は地面からの冷気の影響を受けて温度が変化しやすく、湿気もこもりやすいため、こちらも換気をこまめに行いましょう。

 

クローゼットやシューズボックス

汗を吸う衣類や靴をしまうクローゼットやシューズボックスは、収納の中でも特に湿気がたまりやすい場所です。こまめに掃除をしていても、湿度の高い雨天時や梅雨時期はカビやいやな臭いが発生することもあります。

 

外気の影響を受けやすい窓は結露が起こりやすく、湿気がたまりやすい場所です。特に冬は暖房によって室温が上がり、結露した窓の周辺にカビが繁殖しやすくなります。

 

家の湿気対策①家づくりの工夫

これから家を建てる場合は、湿気がたまりにくい工夫を施すのがおすすめです。家づくりの段階で取り入れたい湿気対策について解説します。

 

風の通り道をつくる

家を設計する際に、扉や窓など開口部の位置を工夫して風の通り道をつくっておくと、換気がしやすくおすすめです。具体的には、対角線上に窓や扉を配置することで、換気の際に風が通り抜けやすくなります。

開口部の位置は家の立地や風向きに合わせてつくると効果的です。また、隣家の位置や周辺環境によっては防犯や視線対策も必要なため、窓の位置や大きさ、種類などについては工務店やハウスメーカーとよく相談して決めましょう。

 

換気設備を導入する

昨今の高気密・高断熱の住宅は外からの湿気が入りにくい反面、室内で発生した湿気を逃がしにくいため、換気設備の導入が欠かせません。特に、家の中でも湿気がたまりやすい水回りは、換気設備もこだわって選びたいものです。

浴室乾燥機やレンジフード、除湿性能の高いエアコンなど、場所に適した換気設備を選びましょう。

 

調湿性に優れた建材を使う

調湿効果が高い建材を使うことも、家の湿気対策として効果的です。日本に古くからある漆喰(しっくい)や珪藻土(けいそうど)などを天井や壁に使用すると、天然の調湿効果が期待できます。

日本の土壁や砂壁をヒントに開発された「エコカラット」を、キッチンやシューズクロークなどに施工するのもおすすめです。エコカラットは多孔質セラミックスとも呼ばれる壁材で、調湿効果や消臭効果に優れています。

 

家の湿気対策②今すぐできる対策

今すぐできる家の湿気対策について解説します。湿気によるリスクの予防効果も高くなるため、普段から取り組むのがおすすめです。

 

こまめに換気

室内にたまる湿気は、こまめな換気によって逃がすことが大事です。換気は、家の扉や窓を2ヵ所以上開けて風を通すと、効果的に湿気を排出できます。開口部が少ない部屋や風が届きにくい収納スペースなどは、サーキュレーターや扇風機を活用するとよいでしょう。

効果的な換気のポイントは定期的に行うこと。特に湿気が気になる梅雨や冬場は、1~2時間に1回以上、1回につき5~10分ほどを目安として換気をするとよいでしょう。

 

除湿機やエアコンで調湿

湿度が高くジメジメと不快感を与えたり、室温の変化が激しく不調を感じやすい季節は、除湿機やエアコンを活用して適正な温度・湿度を保つのがおすすめです。

エアコンは、除湿やドライなどの機能があれば活用したり弱冷房で運転したりすることで湿度を緩やかに下げられます。

 

洗濯物や寝具の扱い方を工夫

洗濯物を部屋干しする場合は、換気設備を備えた部屋で干すのが基本です。どうしてもリビングなどに部屋干しする必要がある場合は、除湿機やサーキュレーターを活用したり、エアコンの風が当たる場所に干しましょう。

布団やシーツなど寝具を押し入れに収納する場合は、すのこや除湿剤などのアイテムを使い、湿気がこもらないよう工夫することが大事です。長期間しまう場合は、天日干しまたは布団乾燥機でよく乾燥させてから収納しましょう。

 

浴室は湿気対策を徹底

浴室は家の中で一番湿度が高くなる場所です。カビやいやな臭いも発生しやすいため、湿気対策を徹底しましょう。

浴槽にお湯をためておく場合は、ふたをしておくと水蒸気が充満しにくくなります。入浴後は必ず換気扇を回して湿気を排出させましょう。スキージーなどで壁面や鏡などの水気を切っておくと乾燥が早く、カビや水垢汚れの予防にもなります。

 

除湿アイテムを活用

風の通り道をつくりにくい場所や狭い場所では、除湿アイテムが大活躍。代表的な除湿アイテムをご紹介します。

 

サーキュレーターや扇風機

サーキュレーターや扇風機をエアコンと併用して部屋の空気を循環させると、空調効果が上がるため湿気によるジメジメとした不快感を軽減できます。

サーキュレーターや扇風機は持ち運びができるため、風を通しにくい部屋の隅や収納スペースにも送風が可能です。また、部屋干しの洗濯物に向けて送風すれば、湿気を飛ばして乾きやすくなります。

 

除湿剤

市販の除湿剤は置き型や吊るすタイプなど種類が豊富です。用途や場所に応じてさまざまな商品を使い分けるとよいでしょう。

また、竹炭や木炭、重曹などは除湿効果や消臭効果が高く、除湿剤の代わりに使うことも可能です。

 

新聞紙

新聞紙はくしゃくしゃに丸めて置くだけで、湿気を吸収してくれます。狭い場所や薬剤を置きたくない場所に置いたり、雨で濡れた靴に詰めるなど、さまざまな使い方が可能です。

 

まとめ:家づくりの工夫や今すぐできる家の湿気対策で住まいを快適に保とう

一年を通して悩みの多い家の湿気対策。この記事では湿気の正体やリスクのほか、家づくりの段階でできる工夫や、今すぐできる湿気対策についてくわしく解説しました。

家の湿気対策は普段から取り組むことで、予防効果も高まります。

記事を参考に、健康で快適な住まいを保つために、湿気対策に取り組んでみてください。