住宅用家屋証明書とは?要件や取得方法について解説!
住宅用家屋証明書は、要件を満たした家を新築もしくは取得し、居住用としたときの軽減措置を受けるために必要な書類です。なかなか目にすることがない書類のため、取得方法などがわからない方も少なくありません。
そこで今回は、住宅用家屋証明書の概要や住宅用家屋証明が適用される要件、取得方法などについて解説していきます。
住宅用家屋証明書とは?
住宅家屋証明書は、個人が一定の要件を満たした家屋を新築または中古で取得し、個人の居住を目的とする場合に受けられる「登録免許税の税率の軽減措置」に必要な書類です。また認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の取得時に「所得税の住宅ローン控除」を受ける場合にも必要となります。
確定申告をする際は、住宅家屋証明書のコピーで申告可能です。紛失した場合は再び申請しなければならないため、建物の権利・登記関連の書類と一緒に保管しておくのが望ましいでしょう。証明書を発行するためには手数料がかかります。
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住宅用家屋証明が適用される要件
住宅用家屋証明が適用される要件は以下のとおりです。
自己居住用の建物に該当する
1つ目の要件は、自己居住用の建物に該当することです。自己居住用かそうでないかは、建物部分の登記記録上の種類で判断できます。専用住宅の場合は、登記記録上の種類が「居宅」になっていなければいけません。
ただし「居宅」となっていても、投資用物件には適用できないため注意が必要です。「居宅・車庫」などとなっている場合は、車庫は居住用だからこそ使われるとみなされるため専用住宅として扱われます。そのため、建物全体が適用となります。
登記記録上の種類が「居宅・店舗」や「居宅・事務所」などの場合は、住宅とみなされません。居宅部分の床面積が総床面積の90%以上の場合に限り、適用となることを覚えておいてください。
申請者がその建物に入居している
申請者がその建物に住んでいるかどうかもポイントになります。入居しているか判断する指標になるのは住民票です。中古不動産物件の場合は、決済の前に買主に対して購入物件所在地への住所移転を促すことになります。
新築の場合など住民票を移せないケースもあります。そのようなときは、市区町村役場に対して申立書と現在住んでいる住所における処分方法の根拠資料(現住所の賃貸借契約書、売買契約書、社宅証明書など)を提出し、すぐに住民票を移せない理由を説明することで、減税措置を受けられるようになります。
床面積が50平方メートル以上ある
床面積が50平方メートル以上あることも、住宅用家屋証明が適用される要件に含まれています。つまり、2人暮らしや1人暮らし向けの狭い平屋住宅などは適用にならない可能性もあります。
耐火建築物・簡易耐火建築物・低層集合住宅のいずれかに該当する(区分所有建物の場合)
区分所有住宅の場合は、耐火建築物・簡易耐火建築物・低層集合住宅のいずれかに該当していることも要件の1つとなっています。
耐火建築物は、建築基準法で定められている建物の主要構造部(柱・梁・床・屋根・壁・階段など)に耐火性が高い材質を使用している建物です。簡易耐火建築物は、主要構造部柱・梁・床・屋根・壁・階段など)に準耐火構造と同等の準耐火性能を持つことを示す技術的基準に適合した材質を使用している建築物を指します。そして低層集合住宅は、1階建てや2階建ての建物を指します。
登記記録上の構造が25年または20年以内に建築されている(中古住宅の場合)
中古住宅の場合、耐火建築物や準耐火建築物(登記記録上の構造が鉄骨造(S造)・鉄筋コンクリート造(RC造)など)であれば25年以内に建築したことが条件となっています。また、木造等耐火建築物以外(登記記録上の構造が木造・軽量鉄骨造など)の場合は、20年以内に建築されたことが条件です。
この年数を超過している住宅は「耐震基準適合証明書」を発行していたり「既存住宅売買瑕疵保険」に加入していたりすると適用になります。
住宅用家屋証明書はどこで取得できる?
続いては、住宅用家屋証明書の取得方法について解説していきます。
登記が完了していればすでに取得している可能性が高い
すでに登記が完了している場合、住宅用家屋証明書を持っている可能性が高いです。なぜかというと、住宅用家屋証明書を添付することで登録免許税の軽減措置を受けられるからです。登記済みの場合は、すでに取得しているかもしれないと考え、探してみてください。
各自治体の窓口でも取得可能
住宅用家屋証明書は、各自治体の窓口で取得することも可能です。建築家や市民税課、資産税課などどの窓口で対応しているかは、自治体によって異なるため確認してから足を運ぶようにしてください。
手続きにかかる費用
住宅用家屋証明書を発行するためには、手数料がかかります。手数料は、1あたり1,000~1,300円となっています。いくらかかるのか知りたい場合は、各市区町村役場に問い合わせて確認してください。
住宅用家屋証明書の申請手続きで必要となる書類
住宅用家屋証明書の申請手続きには必要書類があります。最後に、新築・建築後使用されたことがない家屋・建築後使用された家屋で異なる必要書類について解説していきます。
新築
新築住宅の住宅用家屋証明書の申請手続きで必要な書類は以下のとおりです。
- 1. 住宅用家屋証明申請書
- 2. 当該家屋の登記事項証明書もしくは照会番号など
- 3. 該家屋の登記完了証の写し
- 4. 当該家屋の確認済証と検査済証
- 5. 住民票の写し(マイナンバーが記載されていないものに限る)
- 6. 入居(予定)年月日などが記載されている当該申請者の申立書
- 7. 申立に係る書類(売買契約(予約)書、媒介契約書、賃貸借契約(予約)書、使用許可証、社宅証明書など)
2、3、4は、いずれか1つで問題ありません。6、7は、住所の移動に関する手続きを済ませていない場合に必要です。
建築後使用されたことがない家屋
建築後使用されていなかった家屋は、新築の分譲マンションや建売住宅なども含みます。建築後使用されていない家屋の住宅用家屋証明書の申請手続きで必要な書類は以下のとおりです。
- 1. 住宅用家屋証明申請書
- 2. 登記事項証明書
- 3. 登記完了証(電子申請した場合)
- 4. 建築確認済証
- 5. 建築検査済証
- 6. 間取図を確認できるもの(建築確認申請がいらない家屋の場合)
- 7. 住民票の写し
- 8. 家屋未使用証明書
- 9. 売買契約書や売渡証書など
- 10. 認定申請書(第一号様式)の副本と認定通知書(第二号様式)の写し(認定長期優良住宅の場合)
- 11. 認定申請書(様式第五)の副本と認定通知書(様式第六)の写し(認定低炭素住宅の場合)
- 12. 建築確認済証と検査済証、設計図書、建築士の証明書(分譲マンションの場合)
- 13. 金銭消費貸借契約書と登記原因証明情報などの書類(抵当権の設定登記に関する登録免許税の税率の軽減を受ける場合)
2、3はいずれかを準備すれば問題ありません。また、4、5、6もいずれかを準備すれば大丈夫です。
建築後使用されたことがある家屋
建築後使用された家屋は、中古住宅のことを指します。建築後使用された家屋における、住宅用家屋証明書の申請手続きで必要な書類は以下のとおりです。
- 1. 住宅家屋証明申請書
- 2. 登記事項証明書
- 3. 住民票の写し
- 4. 売買契約書や売渡証書(競落の場合は代金納付期限通知書)など
- 5. 建築確認済証と検査済証、設計図書、建築士の証明書(分譲マンションの場合)
- 6. 金銭消費貸借契約書と登記原因証明情報などの書類(抵当権の設定登記に関する登録免許税の税率の軽減を受ける場合)
- 7. 耐震基準適合証明書
- 8. 住宅性能評価書の写し
- 9. 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結を証明する書類
- 10. 増改築等工事証明書(特定の増改築などが行われた家屋を宅地建物取引業者から取得した場合)
7、8、9は、1982年1日1日より前に建築されている場合にいずれかが必要となります。
まとめ:節税のために住宅用家屋証明書を取得しよう
- 住宅用家屋証明書を取得しておくと「登録免許税の税率の軽減措置」が受けられます。納税額を節約できるため、家を入手した際には取得すべき書類だといえます。住宅用家屋証明書の申請手続きに必要な書類は、新築や中古住宅などで異なるため、確認したうえで各市区町村役場の窓口に足を運んでみてください。