長期優良住宅とは?9つの認定条件や手続きの流れを解説

2024年4月6日

新築でマイホームを建てる際、長期優良住宅を検討される方が増えています。長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で安心して暮らせる住まいのことです。認定を受けるためには、必要条件を満たしている必要があります。

この記事では、長期優良住宅の9つの認定条件や申請と認定後の手続き、長期優良住宅のメリットとデメリットについて解説していきます。長期優良住宅における情報や基準を正しく理解するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

 

h2:長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは、長い期間安心して快適に暮らすための設備が整った住まいとして国から認められた住居のことです。認定を受けるためには、以下の基準を満たしている必要があります。

  • ・住宅の構造や設備において長期的に良好な状態で使用可能な措置が講じられていること
  • ・住居面積は良好な居住水準の確保に必要な規模を有していること
  • ・地域の居住環境の維持や向上に配慮したものであること
  • ・維持保全計画が適切なものであること
  • ・自然災害によって生じる被害の防止、軽減が配慮されたものであること

出典:国土交通省「長期優良住宅のページ

長期優良住宅の認定制度は、対象を拡大させながら普及促進が図られてきました。
令和4年10月1日からは、既存住宅において建築確認を伴わない認定もはじまっています。認定制度の変更点は以下のとおりです。

  • ・優良な既存住宅においては増改築行為がなくとも認定できる
  • ・1次エネルギー消費性能や断熱性などを備えた高い省エネ性能が必要になる
  • ・共同住宅などの面積基準が55平方メートルから40平方メートル以上に合理化された

また、令和4年2月20日以降、住宅性能評価書や適合証を添付した認定の申請は受け付けていないため注意してください。さらに、認定条件に災害配慮基準が追加されたため、土砂災害特別警戒区域内における長期優良住宅の認定は受けられません。

 

【2023年版】長期優良住宅の9つの認定条件

長期優良住宅には、次の9つの認定条件が設けられています。それぞれの項目に関する概要を確認しておきましょう。

 

1. 劣化対策

次世代にわたり居住可能な構造躯体であること。住宅の劣化対策等級が「等級3」に該当し、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造に応じた基準がクリアしていること。

 

2. 耐震性

極めて稀に発生する大地震に対し、住宅を継続利用するための改修が容易な損傷レベルに抑えられること。

 

3. 維持管理・更新の容易性

構造躯体と比較して耐久性が低い設備配管において、維持管理(点検、清掃、補修、更新)が行いやすいよう必要な措置が講じられていること。

 

4. 省エネルギー性

住宅に必要な断熱性能を保持し、省エネルギー性能の基準を満たしていること。断熱等性能等級は「等級5」かつ1次エネルギー消費量等級が「等級6」であること。

 

5. 可変性

居住者のライフスタイルが変化しても変わらず住み続けられるよう、居住スペースが可変性を持たせたつくりになっていること。

 

6. バリアフリー性

将来を見据えたバリアフリー改修に対応した十分なスペースが確保されていること。

 

7. 居住環境

住居の良好な景観や地域における居住環境の維持や向上に配慮されていること。居住地域が景観計画、地区計画、建築協定、条例などにおいて町並みの計画区域内の場合、計画内容と調和を図る必要あり。

 

8. 住戸面積

良好な居住水準の確保のため、一定以上の住居面積を有していること。戸建て住宅の基準は75平方メートル以上、階段部分を除いた1階の床面積は40平方メートル以上必要。

 

9. 維持保全計画

将来も長期的に安全に住めるよう、定期点検やメンテナンスなどの維持管理を容易に行うための必要な措置や計画が策定されていること。

 

長期優良住宅の申請と認定後に実施すること

長期優良住宅として認定されるためには、申請が必要です。認定後に実施すべきことも含めて、あらかじめ申請から認定後の流れを押さえておきましょう。

 

申請の流れ

まずは審査の依頼をします。申請の簡単な流れは以下のとおりです。

1.登録住宅性能評価機関による技術審査を受ける
2.適合証の交付を受ける
3.所轄行政庁に認定を申請する
4.認定通知書が交付される

必要な審査を経て、認定を受けたあとでの着工となります。申請する際は、設計内容の説明書や図面、計算書なども必要です。書類を準備するためには、不動産会社や設計会社の協力も欠かせません。

 

認定後に実施すること

長期優良住宅として認定を受けただけでは完了しません。以下は認定後に必ず実施すべき内容です。

  • ・認定を受けた計画通りの建築工事及び維持保全:未実施の場合、認定取り消しの可能性あり
  • ・建築及び維持保全の記録の作成及び保存:建築や維持保全の記録の作成や保存義務あり
  • ・工事後は速やかに工事完了報告書を提出する:概ね1か月以内に必ず実施

以下は、場合によって実施すべき内容です。

  • ・認定を受けた計画の変更:「変更認定申請書」で申請する
  • ・売買や相続などで継承:「承認申請書」に売買契約書や登記簿などを添えて申請する

 

長期優良住宅のメリットとデメリット

長期優良住宅には、メリットとデメリットがあります。それぞれのおおまかな内容をチェックしておきましょう。

 

長期優良住宅のメリット

以下は、長期優良住宅におけるメリットです。

  • ・税の特例措置が受けられる:所得税や登録免許税、固定資産税や不動産取得税の減額。
  • ・住宅ローンが低金利で組める:フラット35Sが適用可能。(10年間金利が0.5~0.25%引き下げ)
  • ・地震保険料の割引が受けられる:耐震等級2で30%、耐震等級3で50%割引。
  • ・固定資産税が軽減される:購入から3年間、固定資産税が1/2に減税(3階建て以上の耐火、準耐火建造物なら5年間が対象)。
  • ・補助金を受けられる:建築費の1/10以内の額で1戸当たり最大110万円、ZEH水準では1戸当たり最大140万円(※ZEHとは、断熱性能等級5かつ1次エネルギー消費量等級6の2項目からなる省エネ性能水準のこと)の補助。

 

長期優良住宅のデメリット

以下は、長期優良住宅におけるデメリットです。

  • ・着工に時間がかかる:認定後に着工するため1週間~1か月程度かかる。
  • ・建築コストが高くなる:必要基準を満たすため材質や建築構造、人件費がかかる。
  • ・申請やメンテナンスに費用がかかる:申請や審査にかかる費用は5~6万円が相場、ハウスメーカーや工務店への申請代行の依頼は合計20~30万円程度。

 

まとめ:認定条件をクリアした長期優良住宅にしよう

長期優良住宅として認定されるためには、定められた基準や認定条件を満たしている必要があります。それぞれの項目について確認し、理解しておくことが大切です。また、認定には申請の手続きが必要になるため、あらかじめ必要書類や流れなどを把握しておくとよいでしょう。長期優良住宅の認定を検討される方は、メリットやデメリットを含めたうえで、十分検討してみてください。