壁のカビ取り|カビが発生する原因と素材別の掃除方法、注意点も解説

2024年10月19日

壁のカビ取りは、壁の素材によって方法が異なります。

また、原因を突き止めて発生そのものや再発を抑えないと、建物や家族の健康にも影響を及ぼすため注意が必要です。

この記事では壁の種類や素材に適したカビ取り方法をご紹介します。壁のカビが発生する要因やカビ取りの準備、注意点についても解説していますので、安全な方法できれいにカビ取りするためにお役立てください。

 

壁にカビが生える原因

室内の壁にカビが生える原因は主に3つあります。

  • ・換気不足
  • ・結露
  • ・水漏れや雨漏り

壁のカビ取りや再発予防を効果的に行うために、カビが発生するメカニズムを踏まえてくわしく解説します。

 

カビが発生する3つの要因

カビは菌の一種で、胞子は空気中を移動し、水分や栄養分があると繁殖します。壁にカビが発生したら、まずは室内の環境を見直してみましょう。

カビの発生や繁殖には以下の要素が必要です。

  • ・湿度:70~80%
  • ・温度:20~30℃
  • ・栄養:埃や汚れ(手垢、水垢、食べかすなど)

カビは気温が20~30℃になると活動が活発になります。日本では気温が高く、湿気が多くなる梅雨時期や台風シーズンは特にカビが繁殖しやすい季節です。

また、カビが好む温度は、人が快適に過ごせる室温と重なります。温かく湿気も多い室内で埃や汚れを放置すると、季節を問わずカビは繁殖します。

 

家の壁にカビが生える主な原因

室内の中でも、特に壁にカビが生える主な原因は以下の3つです。

  • ・換気不足
  • ・結露
  • ・水漏れや雨漏り

それぞれについてくわしく見てみましょう。

 

換気不足

室内の換気が足りないと、壁にカビが発生する原因となります。

現代の気密性の高い住宅は、室内に熱や湿気がこもりやすいため、換気による空気の入れ替えが必要です。24時間換気システムがあっても、水気や湿気が発生しやすい場所や季節によっては換気量が足りず、カビの発生リスクが高まります。

洗濯物を部屋干ししている部屋も注意が必要です。また、室内の日当たりが悪い隅部分、家具の裏側などは湿気を含んだ空気がこもりやすく、換気をしても逃がしにくいため、壁にカビが発生することがあります。

 

結露

室内外の気温差で窓に発生する結露も、カビが発生する原因となります。

水滴が窓枠を伝って壁に染み込むと、壁紙の裏や下地にまでカビが発生する恐れがあるため、被害が広がる前に対策が必要です。

 

水漏れや雨漏り

キッチンや洗面所などの水回り、天井付近の壁にカビが大量に発生する場合は、水漏れや雨漏りの可能性があります。

水回りの壁に大量にカビが発生する場合は、水道管や排水管が破裂していないか確認が必要です。カビの発生場所が天井付近の場合は屋根の雨漏り、壁の特定部分の場合は外装のひび割れから雨水が浸入している恐れがあります。

放置すると建材の腐食により家の広範囲にダメージが及んだり、ダニや害虫の大量発生により健康被害に発展したりしかねません。気になる場合は早めに業者に点検を依頼しましょう。

 

素材別|壁のカビ取り方法

自分で壁のカビ取りをする場合は、素材によって方法が異なるため注意が必要です。

ここでは壁の素材別に、効果的なカビ取り方法や使えるアイテムをご紹介します。

 

壁紙に生えたカビの掃除方法

カビ取りといえばカビ取り剤やキッチンハイターなどの塩素系漂白剤ですが、壁紙の場合は使える素材と使えない素材に分かれます。カビ取りで壁紙を傷めたり汚したりすることがないよう、まずは素材を確認し、適した方法で行いましょう。

白い壁紙は汚れが目立ちやすいため、こちらの記事で素材別の汚れの落とし方や注意点も確認してみてください。

>>白い壁紙の汚れは取れる?素材や汚れの種類別にご紹介!

 

水を吸うタイプの壁紙

水を吸うタイプの壁紙は、酢や重曹など、家にあるものでカビ取りができます。壁紙が紙製や布製で水を吸うタイプの場合、塩素系漂白剤は壁紙が傷んだり色抜けしてしまったりするため使えません。

ここでは、重曹と酢を使うカビ取り方法をご紹介しますが、傷みや変色が気になる場合は市販の壁紙専用カビ取り剤を使うとよいでしょう。

水を吸う壁紙のカビ取り方法は以下の通りです。

1.カビの胞子を吸い込まないよう、カビ取りの準備をする(後述を参照)
2.壁に付着した埃や汚れを雑巾などでぬぐい取っておく
3.カビを落としやすくするために、水で2~3倍に薄めた酢をスプレーで吹きかける
4.別のスプレーボトルに重曹小さじ1と水100ミリリットルを入れ、よく振って溶かす
5.4を壁にスプレーして5分置き、乾いた布で拭き取る
6.仕上げに消毒用エタノールを吹きかけ、よく乾かす

消毒用エタノールはアルコール濃度が70%程度で、医療器具や手指の消毒にも使われます。濃度100%の無水エタノールと比べてアルコールが揮発しにくく、成分がその場にとどまるため消毒の効果が高めです。1本用意しておくと、消毒のほかカビ取りにも使えます。

 

耐水タイプの壁紙

耐水性の高いビニール製のクロスなどは、カビが発生したばかりであれば水を吸うタイプと同じく酢や重曹で落とせます。耐水タイプは塩素系や酸素系の漂白剤も使えるため、酢や重曹で落とせない頑固なカビの場合は試してみるとよいでしょう。

オキシクリーンなど、粉末の酸素系漂白剤を使うカビ取り方法は以下の通りです。

1.カビの胞子を吸い込まないよう、カビ取りの準備をする(後述を参照)
2.壁に付着した埃や汚れを雑巾などでぬぐい取っておく
3.お湯に酸素系漂白剤を溶かす(オキシクリーンの場合、お湯100ccに対して粉末の量は小さじ8分の1程度)
4.3に清潔な雑巾を浸してよく絞り、カビを取り除くように拭く
5.別の雑巾で水拭きし、よく乾かす

なお、酸素系漂白剤は水を吸うタイプの壁紙や塗り壁などには使えません。

キッチンハイターなど、塩素系漂白剤を使うカビ取り方法は以下の通りです。

1.カビの胞子を吸い込まないよう、カビ取りの準備をする(後述を参照)
2.壁に付着した埃や汚れを雑巾などでぬぐい取っておく
3.歯ブラシなどで壁のカビ部分に塩素系漂白剤を塗り込む
4.雑巾で水拭きし、よく乾かす

塩素系漂白剤は垂れにくいジェルタイプを選ぶと、カビをしっかり捉えて除去できます。

 

塗り壁に生えたカビの掃除方法

土壁、漆喰、珪藻土などの塗り壁は水分を吸収する素材のため、酸素系や塩素系の漂白剤は使用できません。

ここでは水拭きと消毒用エタノールを使う簡単な方法をご紹介します。

塗り壁のカビ取り方法は以下の通りです。

1.カビの胞子を吸い込まないよう、カビ取りの準備をする(後述を参照)
2.壁に付着した埃や汚れを雑巾などでぬぐい取っておく
3.固く絞った雑巾でこすらないようにカビを拭いて落とす
4.3で落としきれない場合は、消毒用エタノールを吹きかけ、よく乾かす

消毒用エタノールの主な作用は、殺菌や消毒です。漂白作用はないため、使用後にカビの色が残ることがあります。気になる場合は塗り壁用のカビ取り剤を使うとよいでしょう。

 

木製の壁に生えたカビの掃除方法

木製の壁も酸素系や塩素系漂白剤が使えないため、消毒用アルコールを使う方法をご紹介します。

木製の壁のカビ取り方法は以下の通りです。

1.カビの胞子を吸い込まないよう、カビ取りの準備をする(後述を参照)
2.壁に付着した埃や汚れを雑巾などでぬぐい取っておく
3.キッチンペーパーに消毒用エタノールを含ませ、そっとカビが生えた部分を拭く
4.キッチンペーパーを取り替えながら、カビの周辺までよく拭く
5.拭いた部分をよく乾燥させる

なお、カビを隠すために木製壁に塗料を上塗りすると、状態を悪化させるためNGです。塗装をする場合は、カビ取りで根本の原因を取り除いてからにしましょう。

 

壁のカビ取りを行う際の注意点

カビの発見から掃除後のケアまで、壁のカビ取りをする際の注意点をご紹介します。

 

放置はNG、早急に対処する

壁にカビを発見したら放置せず、早急にカビ取りをしましょう。

壁のカビを放置すると、時間の経過とともに部屋中に広がり、カビを餌とするダニや害虫も発生します。広がった胞子を家族が吸い込むと、アレルギー性鼻炎や喘息、シックハウス症候群を引き起こす原因となりかねません。

また、胞子が根を張りカビの被害が壁紙の裏や下地、建材にまで及ぶと、自力で除去するのは困難です。クロスの貼り替えや、ひどい場合は建材の取り替えが必要になり、数十万円の出費となるケースもあります。

カビは気づいたときにすぐ対応して被害や出費を抑え、快適で健康な暮らしを守りましょう。

 

カビの胞子を吸い込まないよう準備する

カビの胞子は空中に舞いやすく、直接触れたり吸い込んだりすると健康を害する恐れがあります。カビ取りの際は、カビの胞子に触れないよう、皮膚や粘膜を保護してから行いましょう。

カビ取りの際に必要な装備は以下の通りです。

    • ・マスクを装着する
    • ・ゴム手袋をはめる
    • ・めがねまたはゴーグルをつける
    • ・長袖の服を着用する

さらに、カビの胞子や揮発した液剤を吸い込まないよう、換気をしながら行ってください。
また、1枚の雑巾を使いまわすと、付着したカビを広げてしまいかねません。雑巾は数枚準備して、工程ごとに取り替えると、カビの再発を防げます。

 

壁紙や建材を傷つけないよう注意する

自分で壁のカビに対処する際は、壁紙や建材を傷つける恐れがあるため、必ず素材の特徴や注意点を押さえてお手入れしましょう。使用する道具によるダメージや、洗剤による色抜け・変色などが心配な場合は、目立たない場所で試してみるとよいでしょう。

自信がない場合は、プロのクリーニング業者に依頼するのがおすすめです。賃貸住宅の場合は特に、管理会社や大家さんに相談して、クリーニング業者に頼むのが無難でしょう。

 

再発を防ぐ

カビ取りが終わったら、カビが再発しないよう換気や湿気対策を行いましょう。

カビ取りをしてもしばらくすると再発する場合は、カビの胞子が壁紙の裏や下地にまで根付いている可能性があります。カビの再発を抑えるためには、目に見えるカビを除去するだけでなく、カビが発生する原因を特定して取り除くことが大事です。

 

まとめ:壁の素材に適したカビ取り方法で、安全に壁をきれいにしよう

自力で壁のカビ取りをする際のポイントや注意点をまとめます。

  •  
  • ・壁のカビに気づいたら、すぐに対処して被害を抑える
  • ・壁の素材を確認し、適した方法やアイテムでカビ取りをする
  • ・ゴーグルやマスク、手袋や長袖で皮膚や粘膜を保護し、換気をしながら行う
  • ・自力でカビ取りが難しい場合は、プロに相談する
  • ・カビの原因を除去し、換気や湿気対策を徹底して再発を防ぐ

壁のカビは発生初期に除去し、家族や家を健康な状態に保ちましょう。