住宅ローンは何年で組む?ポイントをFPが徹底解説!

2022年8月19日

住宅購入の際、住宅ローンの借入期間を何年で組むのがよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。住宅ローンの金利の種類や借入金額、借入期間は人によって異なるため、自分の家族やライフスタイルに合った住宅ローンを組むことが大切です。

今回は、住宅ローンは何年で組むかという借入期間や住宅ローンを組む際のポイントをFPの吉岡先生にインタビュー!住宅営業も経験されたプロの目線から、住宅ローンについて語っていただきました。

 

今回お話を伺った方

吉岡 師良(よしおか しろう)さん

【資格】2級ファイナンシャルプランニング技能士、住宅建築コーディネーター

【経歴】住宅業界に19年間携わり、営業や現場監督などを経験し、通算約250件程度の住宅に携わる。2013年に2級ファイナンシャルプランニング技能士を取得。現在は有限会社山田保険事務所の住宅専門FPとしてコンサルタントを行っている。

 

住宅ローン金利の種類

住宅ローンを借りる際、金融機関に金利を支払う必要があります。住宅ローンの金利タイプは固定金利・変動金利・固定金利選択型の3種類。それぞれにメリットや注意点があるため、特徴を理解しながら住宅ローンの金利タイプを選ぶことが大切です。

住宅ローンの金利タイプについて、それぞれの特徴をお聞きしました。

 

固定金利で住宅ローンを借りる場合

ー固定金利とはどのような金利なのでしょうか?

固定金利とは、借入時の金利が返済期間中ずっと変わらずに続く金利タイプのことです。住宅金融支援機構が提供するフラット35などが固定金利にあたります。

 

ー固定金利のメリット・デメリットを教えてください

固定金利で住宅ローンを組むメリットは、返済期間中に金利が変わらないため、将来の見通しを立てやすいことです。

デメリットは、変動金利より金利が高いこと。金利が変わらないという安心感の分だけベースとなる金利が高くなるため、返済額が変動金利より高くなります。

 

ー固定金利に向いているのはどのような方ですか?

教育費や老後のお金を計画的に蓄えたい方は、固定金利がおすすめです。金利上昇の影響を受けないため、月々の支出額を一定に保てることが強みといえるでしょう。

 

変動金利で住宅ローンを借りる場合

ー変動金利のメリット・デメリットを教えてください

変動金利で住宅ローンを組むメリットは、固定金利よりもベースの金利が低いため返済額を抑えられることです。

デメリットは、金利上昇の影響を受けやすいことです。長い間日本は低金利時代といわれていた一方、最近では固定金利の金利が少し上がっています。そのため、変動金利に影響が出てくる可能性もあります。

月8万円の返済負担額が金利上昇のため月9万円になると、家計の負担は重くなりますよね。変動金利はベースの金利が安い分、金利上昇の影響を受けるというリスクもあるのです。

 

ー変動金利はどのような人におすすめなのですか?

比較的借入金が少ない方や、返済期間が短い方におすすめです。

 

固定金利選択型で住宅ローンを借りる場合

ー固定金利選択型のメリット・デメリットを教えてください

固定金利選択型で住宅ローンを組むメリットは、3年・5年・10年などで固定金利や変動金利を選択できることです。

固定金利選択型では金利を選択できる一方、金利上昇の影響を受けやすいことがデメリットといえます。

 

ー変動金利よりも金利の影響を受けやすいのですか?

そうですね。変動金利では、金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらないというルールがあるため、いきなり金利上昇の影響を受けることはありません。

対して固定金利選択型の場合は、変動金利に切り替わるとすぐに現在の金利が適用されてしまうため、金利が上昇している場合は固定金利で支払っていた時よりも多く金利を支払う必要があります。

たとえば3年間1%の固定金利で支払っており、3年が経過して変動金利に切り替わった際に2%の金利になっていると、急に金利負担が倍になってしまいます。

 

住宅ローンの返済方法は2種類

住宅ローンの返済方法は、元利均等返済と元金均等返済の2種類。それぞれにどのような特徴があるのでしょうか。

 

元利均等返済とは

ー元利均等返済とはなんですか?

元利均等返済とは、返済が終わるまで返済額が一定になる返済方法のことです。返済当初は利息の支払いが多く、徐々に元金が減っていくようになります。

 

元金均等返済とは

ー元金均等返済とはなんですか?

元金均等返済とは、返済が終わるまで毎月の元金返済額が一定になる返済方法のことです。金利や返済期間が同じ条件の場合、元金均等返済のほうが返済総額は少なくなる一方、返済当初は利息+元金の負担が大きくなるため、収入に余裕がある方向けの返済方式になります。

 

住宅ローンの借入金額はどう決める?

住宅ローンには金利や返済方式にさまざまな種類があるとわかりました。では、住宅ローンの借入金額はどのように決めていけばよいのでしょうか。プロの目線からお聞きしました。

 

ライフプランのシミュレーションを通して決める

ー住宅ローンの借入金額はどのように決めるのがよいのでしょうか?

「借りられる金額」ではなく、「無理なく返せる金額」を借りることが大切です。現在の年収でいくら借りられるかという考え方で借入金額を決めている方も多いですが、家族構成やライフプランを考えずに借入金額を決めてしまうと後々返済の負担が大きくなることもあります。

 

ー年収だけで決めないことが大切なのですね

そうですね。借入金額を決める際はFPなどプロの方にライフプランシミュレーションをしてもらい、無理なく返済できる毎月の返済金額を出してから借入金額を決めるのがよいでしょう。

住宅ローンは30年、35年と長い年月を共にするローンです。ご主人や子どもの年齢、子どもの人数、将来の家族構成によってもいくら借りられるかは変わってくるため、年収だけ見るのではなく広い視野で返済計画を立てていきましょう。

 

理想的な返済比率は25~30%!

ー住宅ローンにおける返済額の割合はどのくらいがよいのでしょうか?

銀行では返済比率30~35%で審査が通るといわれている一方、私が貯蓄まで手が出せると考える返済比率は25~30%です。住宅購入を考えているお客さまにライフプランのシミュレーションをする際も、できるだけ返済比率を25%ほどに抑えて資金計画を行っています。

 

ー銀行の基準よりも抑えて設定しているのですね!

そうですね。もちろん家族構成や子どもの年齢によっても異なりますが、将来かかる教育費や老後の貯蓄なども考えながら返済計画を立てるのがよいでしょう。

 

住宅ローンは何年借りる?借入期間を決めるポイントとは

住宅ローンは何年で借りるのがよいのか、悩む方も多いのではないでしょうか。無理せず返せる借入期間を決めることで、借入金額も決めることができます。

住宅ローンの借入期間についてくわしくお聞きしました。

 

住宅ローンの借入期間は30年前後が一般的

ー住宅ローンの一般的な借入期間を教えてください

30~35年の住宅ローンが一般的だといわれています。

 

ー住宅ローンの借入期間は最長で何年ほど組めるものなのでしょうか?

金融機関によっては40~50年の借入期間を組めるところもあるため、一概に最長何年と決まっているわけではありません。かなり若い方向けの住宅ローンになるため、長い期間借りる分金利の負担はかさむ反面、返済比率は抑えられる点が特徴です。

 

ー住宅ローンを借りられる年齢にも上限はあるのでしょうか?

一般的に、完済時の年齢は80歳未満であることが条件とされています。住宅ローンを借りられる年齢についても金融機関ごとに変わってくるため、自分のケースが当てはまるかどうか確かめておきましょう。

 

65歳までで完済できるように返済期間を設定する

ー住宅ローンの借入期間を決める際のポイントを教えてください

少なくとも働いて収入が得られる期間に返済が終われるよう設定しておくべきでしょう。会社ごとに定年の年齢は変わってくるため、ご自身のケースを考えながら借入期間を決めるとよいでしょう。

 

頭金の理想は総支払額の2割

ー返済期間を決める際は頭金をいくら払えるかというのも考えるポイントになりますよね。頭金はいくらほど用意すべきなのでしょうか?

理想は総支払額の2割といわれています。もちろん頭金を用意する方が返済期間を短くしたり、借入金額を少なくできるため支払い総額も低く抑えられますが、手元の資金をすべて頭金に回すのは危険です。

頭金2割はあくまで目安と考え、無理なく返済できるよう資金計画を立てましょう。

 

住宅ローンを組む際のポイント

住宅ローンを組む際は年収だけでなく家族構成やライフスタイルなど、将来の見通しまで考えることが大切です。

住宅ローンのポイントを改めてお聞きしました。

 

欲しい住宅ではなく、払える金額で考える

ー住宅ローンを組む際のポイントを教えてください

住宅会社へ行く前にFPの方と資金計画をするのがよいでしょう。「この住宅が欲しいからいくら貯めないといけない」という考え方ではなく、「自分たちがいくら払っていけるのか」という目線で住宅購入を検討することが大切です。

 

ーなるほど。住宅ではなく資金を主軸にして考えるということですね

はい。年収が必ず上がる・ボーナスが一定金額出るという時代ではない現在、年収が今のまま上がらないなど最悪のパターンも加味して資金計画を立てることが大切です。お金のことは一旦プロに預けて、無理なく返済できる金額を可視化するのがよいでしょう。

また返済金額を可視化することで、両親への援助が見込めるケースもありますよね。理想的な返済金額にいくら足りないのか把握しておくと説得力が増し、住宅購入の協力者も得られやすくなります。

理想の住宅に住むのは大切なこと。予算を把握したうえで住宅会社を探すという流れが理想的なのではないでしょうか。

 

むやみに住宅ローン審査をしない

ーそのほか住宅ローンに関して気を付けたいポイントはありますか?

むやみやたらに住宅ローン審査を申し込むのはやめたほうがよいでしょう。事前審査だからといって何も準備せずに申し込むと、審査が通る場合でも落ちてしまうことがあります。

金融機関によっても審査基準はさまざまであるため、金融機関の選定と事前の資金計画・返済比率の確認などは慎重に行いましょう。

 

ーなるほど。事前に準備しておくことが大切なのですね

お金について事前に準備・把握しておくことは、お客さまだけでなく住宅会社で働く実務者の方にもいえることです。資金計画についてあやふやなお客さまが来られたらまずはライフプランシミュレーションを行うなど、「払える金額」を可視化させてから打ち合わせを進めるのがよいでしょう。

 

ー金額を明確にするほうが打ち合わせもスムーズに進みますよね!

はい。月々いくらまで払えるというのを把握したうえで住宅会社の方に「月〇万円で払える住宅を探しています」と伝えることで、予算オーバーになる心配がなくなります。住宅会社の方も具体的な提案がしやすくなるため、家づくりが上手くいきやすいのです。

 

ー資金計画はFPの方にお願いするのがよいのでしょうか?

やはり専門的な知識を持ったお金のプロに任せるのがよいでしょう。FPの方は相談料がかかってしまうケースもありますが、私たちのように保険会社に所属し、FP業務をサービス的に行っているところで相談するのもよいかと思います。

自分たちの経済状況や支払える金額を把握し、将来の見通しが立てられる状態で家づくりを進めることが大切です。

 

まとめ

いかがでしたか?住宅ローンの金利や返済方式、住宅ローンを組む際のポイントなど、さまざまなことをプロの目線から学べましたね。

住宅ローンで借りる金額を具体的に可視化することで、より現実感をもって家づくりを進められます。ぜひ家づくりの参考にしてみてください!

 

会社名 有限会社山田保険事務所
代表取締役社長 山田 竜一
所在地 滋賀県東近江市蛇溝町179番地
電話番号 0748-23-3197
設立 平成15年2月
事業内容 保険代理業
公式サイト https://yamada-hoken.com/