賃貸併用住宅はお得?メリット・デメリットや建設の流れについて解説

2022年9月1日

「賃貸併用住宅」という住宅についてご存じでしょうか?初めて聞いたという方が少なくないかもしれません。

この記事では賃貸併用住宅のメリットやデメリット、建設する流れについて解説します。

新築を検討している方は、賃貸併用住宅にすることでお得に建てられるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

 

賃貸併用住宅の概要

まずは賃貸併用住宅の概要、条件を説明していきます。

 

賃貸併用住宅とは?

賃貸併用住宅とは、1つの建物内に自宅スペースと賃貸スペースがある住宅のことを指します。自宅兼アパートと言い換えると、よりイメージしやすいかもしれません。
賃貸併用住宅には後述する通り、さまざまなメリットがあります。

 

賃貸併用住宅に必要な条件

賃貸併用住宅に必要な条件として、大きく2つ挙げられます。

1つは、十分な土地の広さがあることです。自宅の居住スペースに賃貸アパートなどの面積を合わせることになるため、十分な土地がなければそもそも建築できません。

もう1つは、利便性の高い立地であることです。賃貸併用住宅を建てても、賃貸部分への入居希望者がいなければ、家賃収入が得られません。

買い物や交通に不便な立地の場合は入居希望者が集まらない場合もあります。そのため、利便性が高い立地というのは、賃貸併用住宅には最低限必要な条件といえます。

 

賃貸併用住宅のメリット

自宅の居住スペースと賃貸スペースを兼ね備える賃貸併用住宅には、どのようなメリットがあるのでしょうか。確認していきましょう。

 

家賃収入を得られる

賃貸併用住宅の最大のメリットは、家賃収入を得られるという点です。

自宅に住みながら家賃収入を得られるということは、その収入を自宅の住宅ローンに充てることも可能になります。「家は建てたいけど、月々の住宅ローン負担はできるだけ減らしたい」という方に特におすすめです。

また住宅ローンの支払いが終われば、純粋に収入だけが得られるようになるのも夢ではありません。

 

住宅ローンが使える

賃貸併用住宅を建設する際には住宅ローンが使えるのもメリットです。

賃貸アパートのみを建てようとする場合、「住宅ローン」よりも一般的に金利が高く、返済期間が短い「アパートローン」を借りる必要があります。

しかし賃貸併用住宅の場合、床面積が50平方メートル以上あり、自宅部分が全体の50%以上という条件を満たせば、金利が低く返済期間も長く取れる「住宅ローン」を借り入れることができ、建築費用を抑えることができます。

 

節税が期待できる

賃貸併用住宅には節税効果も期待できます。

まず先述したとおり「住宅ローン」を借りられた場合、住宅ローン控除が適用されるため、一定額が所得税からの還付や、住民税控除の対象になります。

また、賃貸併用住宅は自宅とみなすことができるため、固定資産税の軽減措置も適用されるのです。

そのほか、「小規模宅地等の特例」が適用される場合には、相続税の評価額を下げられるなど、節税が期待できます。

 

賃貸併用住宅のデメリット

賃貸併用住宅には主に金額面で大きなメリットがある一方、やはりデメリットも。ここでは賃貸併用住宅のデメリットやリスクをご紹介します。

 

賃貸の運営が上手くいかない可能性がある

賃貸併用住宅のデメリット1つ目は、賃貸運営が上手くいかない可能性があるという点です。

月々のローン返済について家賃収入をあてにしていた場合、返済が苦しくなることが予想されます。

立地条件や賃貸スペースの間取りなどを十分に検討することが大切ですが、そのうえで上手くいかない場合もあることは頭に入れておきましょう。

 

自宅部分と賃貸部分で利用者間のトラブルが起こるリスクも

同じ建物内に自宅部分と賃貸部分があるということは、他人が同じ建物内に住んでいるということです。これがお互いに気を遣う原因となり、生活しづらくなってしまうことが考えられます。

さらに騒音など、トラブルに発展する危険性もゼロではありません。

見方を変えると、大家が近くにいる安心感、借家人の生活の様子がわかるといった相互のメリットとも考えられますが、リスクを抱えていることも覚えておく必要があります。

 

将来的に売却しづらい

賃貸併用住宅は、一般的に普及している建築物とはいえません。このため、単に「賃貸アパート」、「住宅」を売却する場合に比べて曖昧な建物とみなされ、売却が難しいこともあります。

将来的な売却も視野に入れている場合には、建設の段階からそれを踏まえた間取りや設備を考えて、売却しやすいよう工夫するとよいでしょう。

 

賃貸併用住宅を建設する流れ

賃貸併用住宅を建設するまでの流れを5段階に分けて解説します。

 

①条件の洗い出し

最初にやるべきことは、条件の洗い出しです。ここでいう条件とは、「間取りはどうするのか」、「どのような入居者を想定する(狙う)のか」といった基本的な事項です。

特に間取りについては、実際の成功例を踏まえて検討しましょう。

ハウスメーカーへ相談する前に、強い希望や譲れない要件などをしっかり整理・把握することで、建てたい賃貸併用住宅の方向性が定まります。

 

②ハウスメーカーに相談・融資を受ける準備

賃貸併用住宅のおおまかな方向性が定まったら、ハウスメーカーに相談します。その際、複数のハウスメーカーに相談することが大切です。

要望を踏まえた間取り案の提示を受け、そのほか必要な手続きなど不明点はしっかり質問して解決しましょう。間取り案が要望に沿っているか、質問への対応は適切かなど、さまざまな視点から依頼するハウスメーカーを選択します。

また、このタイミングと並行して金融機関にローン審査の準備も進めましょう。

 

③契約・融資申請・建設開始

依頼したいハウスメーカーが決まったら契約します。

そして、金融機関から融資を受けるための申請を行いましょう。審査に合格したら、契約金や着工金の支払いを行い、いよいよ建設開始です。

建設にかかる事項については契約前に確認済みであったとしても、不明な点が生じた場合はすぐにハウスメーカーに尋ねるようにしましょう。

 

④入居者募集

建設完了を待たず、賃貸部分への入居者の募集を開始します。

募集についてはハウスメーカーがあわせて対応してくれるケースが一般的です。万が一、ハウスメーカーが対応できない場合には、不動産会社などに相談するようにしましょう。

 

⑤入居・家賃収入を得る

建設が完了し、建設にかかる残金の支払いを済ませましょう。ここまでくれば、いよいよ入居です。

ここで注意すべきことは、自身が入居するのと同じタイミングで賃貸部分への入居も進める点です。これにより、自身の入居後すぐに家賃収入が入ってくるようになります。

賃貸入居者については、建設中から募集をかけ、入居・最初の家賃支払いまでスムーズに進め、ローン返済へ影響が及ばないように留意しましょう。

 

まとめ:収支シミュレーションをしっかり行い、利益を生む賃貸併用住宅を建てよう

賃貸併用住宅の最大の魅力は、自宅に住みながら家賃収入が得られる点です。上手くいけば、家賃収入で住宅ローンを払うことができます。

一方で入居者が確保できず、家賃収入が入らなくなるリスクも抱えています。

そのような状況に陥らないようにするため、収支シミュレーションをしっかり行って、後悔のない賃貸併用住宅をつくっていきましょう。