住宅取得資金贈与、2024年以降はどうなる?制度についても解説!

2023年10月7日

住宅購入をする際、親や祖父母などから金銭的な援助を受けるか考えている方も多いのではないでしょうか。金銭的な援助は「贈与」とみなされ、一定額からは贈与税という税金がかかります。

しかし、住宅購入をする際にかかる金銭的な援助については税金がかからない「非課税措置」を利用できます。今回は、住宅購入に関わる贈与で非課税となる「住宅取得資金贈与」の非課税制度について解説!2024年以降は使えなくなるかどうかも、くわしくご紹介します。

 

住宅取得資金贈与の非課税制度とは

住宅取得資金贈与の非課税制度とは、住宅取得を支援するために提供している制度のこと。住宅の種類ごとに非課税となる金額が異なるほか、制度を利用できる条件も細かく設定されています。確認していきましょう。

 

住宅取得資金贈与を受ける人の条件

住宅取得資金贈与を受ける人(受贈者)に関わる条件として、18歳以上であることがまず挙げられます。成人していないと、住宅取得資金贈与の特例は受けられないということです。また住宅取得資金贈与を行う贈与者は、父母や祖父母などの直系尊属でないといけないという点も注意が必要です。

金銭的な条件としては、受贈者の年間合計所得が2,000万円であることも挙げられます。

 

住宅取得資金贈与を受けられる住宅の条件

住宅取得資金贈与を受けられる住宅(建物)の条件として、床面積は40㎡~240㎡であることが挙げられます。また床面積の条件が満たされていれば良いわけではなく、該当する住宅の床面積2分の1以上が受贈者の居住空間である必要もあります。

 

非課税枠はいくら?

住宅取得資金贈与の非課税枠は、省エネ等住宅で1,000万円、一般の住宅で500万円となっています。省エネ等住宅の条件として、耐震等級2以上または免震の建物であることや断熱性能4または一次エネルギー消費量4以上であることなどが挙げられます。

また、住宅取得資金贈与の非課税制度はほかの贈与制度とも併用できます。

 

住宅取得資金贈与と併用できる非課税制度とは

住宅取得資金贈与と併用できる非課税制度は主に2種類あります。毎年110万円までは贈与税が非課税になる暦年贈与制度、もしくは合計2,500万円までが非課税になる相続時精算課税制度です。

両者の非課税制度で、それぞれの特色を理解して併用することが大切です。

 

住宅取得資金贈与の非課税制度はいつまで?

住宅取得の際に使用したい、住宅取得資金贈与の非課税制度。制度には期限が設けられているため、注意が必要です。

住宅取得資金贈与の非課税制度に関する期限についてご紹介します。

 

住宅取得資金贈与の非課税制度は2024年まで

住宅取得資金贈与の非課税制度は常設の制度ではないため、2023年12月31日までとなります。もともとは2021年12月末でなくなる制度でしたが、2022年の税制改正で期間が延長され、2023年12月末となりました。

よって、2024年以降は住宅取得資金贈与の非課税制度を使うことはできません。

 

2024年以降で注意が必要なのは?

制度自体は2023年12月末までですが、引き渡し日にも注意が必要。贈与を受けた翌年の3月15日までに引き渡しを行わないと、住宅取得資金贈与の特例を受けることはできません。贈与日だけでなく、引渡し日にも注意して住宅取得資金贈与を検討することが大切です。

 

住宅取得資金贈与を行う時の注意点

住宅取得資金贈与の非課税特例を使う際には、いくつかの注意点があります。制度のことをよく知らずに使うことで、思わぬトラブルに発展することも。

一つずつ確認していきましょう。

 

相続争いの火種とならないよう注意する

住宅取得資金贈与をする際、家族や親族にしっかり伝えておくことが大切です。

たとえば5,000万円の資産を持っていた母親(直系尊属)から、2人兄弟Aさん、Bさんのうち片方のAさんに1,000万円の住宅取得資金贈与があったとします。その後、住宅取得資金贈与の贈与者である母親が亡くなった際、母親の資産4,000万円(Aさんに渡した住宅取得資金贈与1,000万円を引いた金額)をAさんとBさんの二人で2,000万円ずつ相続した場合、母親から受け取った資産の総額はAさんが3,000万円、Bさんが2,000万円となります。

AさんとBさんの間で、住宅取得資金贈与に関する合意がとれていれば相続金額にずれが出ても問題ありません。ただ、Aさんが住宅取得資金贈与を受けたということをBさんなど家族や親族に伝えていなかった場合は、不公平だと相続争いに発展することもあります。

 

贈与税が0円でも必ず申告が必要

住宅取得資金贈与を受けた場合、贈与税の非課税金額内であったとしても税務署に申告が必要です。たとえば、省エネ住宅で1,000万円非課税となる住宅取得資金贈与を利用し、500万円の贈与を受けたとします。1,000万円の非課税枠内に収まっているため税務署に申告しなくてよい…と考えている方も多い一方、きちんと申告をしないとこの制度は使えません。

非課税枠内であっても、必ず税務署に申告しましょう。

 

まとめ

今回は、住宅取得資金贈与が2024年以降どう変化するのか、また住宅取得資金贈与を使う際の注意点をご紹介しました。直系尊属からの資金贈与を非課税で行える便利な制度である一方、注意点も多いと分かりましたね。

住宅取得に関する様々な制度を活用し、かしこく家づくりをしていきましょう!