完全分離の二世帯住宅|後悔しない対策や間取り実例2選もご紹介

2024年5月12日

二世帯住宅の中でも完全分離型は、それぞれのプライバシーを保ちやすいため最も人気があります。完全分離型は居住空間や設備を共有しないため、お嫁さんも親世帯も二世帯住宅にありがちなストレスを感じにくく、気持ちよく暮らせる点が魅力です。

ただし、中には住み始めて気づくストレスで後悔するケースもあるでしょう。

そこでこの記事では、完全分離型で後悔しがちなケースや対策について解説します。間取りの工夫や対策が参考になる実例もご紹介しますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

 

二世帯住宅で一番人気|完全分離型の種類と特徴

同居と別居のいいとこどり|完全分離型の二世帯住宅とは?

二世帯住宅には3つのタイプがあります。「完全同居型」は1つの家に親世帯と子世帯が同居し、設備も共有するタイプです。「部分共用型」は玄関や水回りなどを共有します。これらに対して、「完全分離型」は生活空間も設備もそれぞれ設け、別々に生活するのが特徴です。

完全分離型は二世帯住宅でありがちなトラブルやストレスを避けつつ、必要なときは同居しているように助け合える安心感があります。それぞれのライフスタイルやプライバシーを大切にできるため、二世帯住宅の中でも人気のタイプです。ただし、設備はすべて別々のためより広い空間を必要とし、建築費用が高くなります。

完全分離型の予算は4,000万円は欲しいところですが、工夫をして費用を抑えたり、中古物件も視野に入れれば3,000万円台で取得したりすることも可能です。具体的な費用や抑え方については、こちらの記事を参考にしてみてください。

>>二世帯住宅の完全分離型は予算3,000万円で可能?費用を抑える方法もご紹介

 

完全分離型二世帯住宅2つのタイプと特徴

完全分離型二世帯住宅は、さらに2つのタイプがあります。それぞれについて特徴を見てみましょう。

 

上下分離型(横割り型)

上下分離型は、親世帯と子世帯の居住空間を階で分けるタイプです。次にご紹介する左右分離型と比べて少ない敷地面積で建てられ、建築費用も抑えられます。1階を親世帯にして階段の昇り降りの負担をなくし、要介護になった場合でも対応しやすいようバリアフリー仕様にするのが一般的です。

 

左右分離型(縦割り型)

左右分離型は、親世帯と子世帯の居住空間を壁で隔てるタイプです。縦割りにすることで、上下分離型と比べて階下に足音や排水音が響きにくいなどのメリットがあります。マンションのように同じ間取りにすることもできますが、世帯人数に応じて子世帯を広めにつくることも可能です。親世帯が高齢になると2階を使わなくなるケースも多いため、広い土地があれば平屋にしたり、子世帯だけ2階建てにしたりするのもよいでしょう。

上下分離型や左右分離型のメリットやデメリットについてはこちらの記事も参考にしてみてください。

 

完全分離型の二世帯住宅で後悔はある?対策も解説

二世帯住宅の中でもメリットが多い完全分離型ですが、住んでから気づくデメリットで後悔するケースもあるようです。完全分離型で後悔するケースと対策について解説します。

 

生活音が響きやすい

完全分離型は生活スペースは隔てられていますが、壁や床で仕切られているだけであるため、互いの生活音は多少響きます。特に、親世帯と子世帯の生活時間帯が異なる場合は、配慮と対策が必要です。

上下分離型は子どもの足音が階下に響きやすいため、費用はかかりますが床材は防音効果が高いものを選ぶとよいでしょう。左右分離型であれば遮音・防音効果の高い壁材を使用したり、接する部分に収納を設けたりすると、音が響きにくくなります。

また、床や壁を挟んでいても水回りの音やリビングの生活音は響きやすいため、互いの寝室から離して配置するとよいでしょう。

 

行き来が不便

完全分離型は玄関を別々にしてそれぞれのプライベートを保てることが魅力ですが、行き来する際は一度外に出なくてはなりません。特に、子育てをサポートしたり介護が必要になったりして頻繁に行き来することになると、もどかしく感じることもあるでしょう。

上下分離型の場合、子世帯の玄関は2階にして外階段を設けることが多いですが、1階に玄関と内階段をつくり、親世帯につながる鍵付きの内扉を設けるのもおすすめです。左右分離型であれば連絡通路と鍵付き内扉を設けておくと安心感があります。

 

採光や通風などで差が出る

親世帯と子世帯の間取りは、位置や階によって条件が異なり、採光や通風などで差が出ることがあります。

特に左右分離型は広い敷地を必要とし、一般的によいとされる南向きのリビングや玄関をどちらも備えるのは難しいことも。

ただし、昼は仕事や学校で家にいることが少ない場合は、朝日が入る東向きがよいこともあります。プランの段階でそれぞれの世帯のライフスタイルに合わせて間取りを工夫するとよいでしょう。

 

共有部分のメンテナンスのことで不満が出やすい

庭や駐車場など、共有部の掃除やメンテナンス、税金の負担などは役割分担を決めておかないと、のちに不満やトラブルに発展することがあります。

事前に役割分担や協力の仕方について、よく話し合って決めておきましょう。

 

来客の際に気を遣う

親世帯と子世帯の玄関をとなり合わせたり、上と下の階で位置を揃えたりすると、それぞれの来客と遭遇しやすくなります。また、一般的な戸建てや賃貸であれば隣人や上の階の住人は他人ですが、二世帯住宅の場合は親族です。時間帯や話し声がとなりや階下に響くのを気にして、思い切りおしゃべりを楽しめないなどということもあるでしょう。

玄関の位置や向きはずらして設けるとプライバシーや生活時間に配慮しやすく、来客の際のストレスも回避できます。

 

成功した完全分離型二世帯住宅の間取り実例2選

注文住宅で完全分離型二世帯住宅を建てる際に参考にしたい、間取りの成功実例をご紹介します。後悔しがちなポイントの対策もぜひチェックしてみてください。

 

互いのライフスタイルを尊重し、必要なときは助け合える内扉付き上下分離型

1階は親世帯の店舗兼住居、2階は6人家族の子世帯と、計8人が暮らす上下分離型の二世帯住宅です。

玄関はどちらの世帯も1階に設置していますが、親世帯の店舗への来客も多いため、対策として位置をずらしています。成長期の子どもが4人いても、階で生活スペースを分けているため、親世帯の仕事や睡眠を妨げる心配がありません。

普段は完全に別居スタイルですが、子世帯の玄関付近の内扉から親世帯と行き来ができます。介護が必要になったときはもちろん、重いものの買い出しなどもサポートしやすい間取りです。

 

平屋と2階建てをドッキング。連絡通路が防音にもなる左右分離型

親世帯の平屋、子世帯の2階建てをドッキングして、どちらの希望も叶えた97坪の完全分離型二世帯住宅です。親世帯は足腰の負担がないバリアフリー仕様、子世帯は吹き抜けのある2階に4人の子どもの個室も完備されています。

玄関も別々にしているため、普段は二世帯住宅でありながら、近居のようなほどよい距離感を保てます。それぞれのライフスタイルや好みを追求した内装も素敵です。

連結部分には連絡通路を設けているため、病気の際や介護が必要になったときもスムーズに行き来ができます。連絡通路は収納スペースで挟み、生活音が響かないよう工夫されています。

 

まとめ:対策や間取り実例を参考に、後悔しない完全分離型の二世帯住宅を!

この記事では、完全分離型の二世帯住宅で後悔しがちなケースや対策について解説しました。ポイントは以下の通りです。

  • ・生活音が響きにくい間取りと防音対策を
  • ・玄関は別でも、内扉や連絡通路があると介護が必要になっても安心
  • ・それぞれのライフスタイルに応じて採光や通風を計画する
  • ・共有部分のメンテナンスについては事前に役割分担やルールを決めておく
  • ・玄関の位置は来客時のことも考えて位置を決める

成功実例の間取りの工夫や対策も参考に、後悔しない完全分離型の二世帯住宅を計画しましょう。