太陽光発電を住宅に導入するには?メリット・デメリットをチェックしよう

2024年10月2日

近年、地球環境に配慮した太陽光発電システムを導入する住宅づくりが注目されています。

この記事では太陽光発電を住宅に取り入れるメリット・デメリットについて解説します。住宅ローンや確定申告など太陽光発電に関する質問にも回答しているので、ぜひ住宅購入時の参考にしてみてください。

 

太陽光発電を住宅に導入するメリット

太陽光発電を住宅に導入する際、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 

節電できる

太陽光発電を住宅に導入すると、電力会社から購入する電気量を減らせます。しかし、蓄電池を住宅に導入していない限りは、あくまで「減らせる」だけで完全にゼロにできるわけではありません。これは電気は性質上貯めることができないためです。

よって、太陽が出ている昼間であれば、消費する電気は太陽光発電で賄うことができます。太陽が出ていない夜間に発電する技術は現時点ではないため、夜間は電力会社の電気を使用します。

では、太陽光発電の住宅は電気代を完全に0円にすることはできないのでしょうか。昼間の発電量で住宅に使われるすべての電気を賄うことはできませんが、このあと説明する売電収入と組み合わせると実質0円にできるのです。

 

売電収入が得られる

太陽光発電は節約できるだけでなく、余った電気を電力会社に売ることで収入を得ることができます。これが太陽光発電を住宅に取り入れる最大のメリットです。

太陽光によって発電した電気はそのまま昼間に使用されますが、日中はほとんど家にいないため、電気を使わないという方も多いでしょう。住宅で発電したものの使用されずに余った電力は、電力会社に販売できます。
では、太陽光の売電価格はいくらなのでしょうか。

引用元:ソーラーパートナーズ

「太陽光発電 売電価格の推移」を見ると、売電価格は2014年に比べ20円も安くなっています。これは太陽光発電機器の設置費用が低価格化しているためです。

設置費用が安くなると太陽光発電導入の金銭的なハードルが下がるため、これから太陽光発電導入を検討している方にとってはうれしいポイント。

さらに、売電収入は収入面だけでなく節電意識にもよい影響を与えるといわれています。「余った太陽光の電力は電力会社に販売されて利益になる」という考え方から節電の意識が高まり、1割程度の節電効果が生まれるとか。意識の変化による行動の変化には、侮れないものがあります。

 

断熱効果が得られる

太陽光発電を住宅に導入すると、断熱効果が得られるという点も大きなメリットです。太陽光発電を設置することで、夏は涼しく冬は暖かくなります。

近年、夏の気温は上昇傾向が続いており、家のなかでも熱中症にかかる方が出ているほどです。太陽光発電パネルによって夏の日光を遮り、室内の気温上昇を抑えることができます。一方冬は、太陽光パネルが家のなかの熱が屋外に逃げるのを防ぎます。この断熱効果が節電にもなるのです。

このように太陽光発電を住宅に取り入れると、体調面にもよい影響を与えてくれます。

 

オール電化と太陽光発電の相性がいい

オール電化は太陽光発電のメリットを最大限に引き出すことができます。

特に相性がよい家電として、電気給湯器のエコキュートが挙げられます。エコキュートを住宅に導入すると「昼間は割高、深夜は安い電気料金プラン」に切り替えられます。電気代の安い深夜にお湯を沸かすことで翌日の入浴時に使用できるため、電気代の節約になります。

エコキュートと太陽光発電を組み合わせることで、昼間の割高な電気代は太陽光発電で賄えます。電気代の節約だけでなく、節電効果も見込めるのです。

 

環境にやさしい

太陽光発電を住宅でも導入するようになった背景として、環境問題への配慮が挙げられます。むしろ環境問題がなければ太陽光発電が注目されなかったかもしれません。

太陽光発電が環境にいい理由は主に2つです。

1. 温暖化防止のための二酸化炭素排出削減
太陽光発電を住宅に導入すると、1世帯の住宅から排出される温室効果ガスの約75%が削減されるといわれており、年間で約1,000L分の石油消費量の削減に繋がります。

二酸化炭素を吸収するスギの木で考えると、約170本分のスギを植えるのと同じだけの効果が見込めるのです。これは大きなメリットですよね。

2. 脱原発につながる
脱原発も危惧される環境問題のひとつですが、原発の代替策として再生可能エネルギーの導入が検討されています。太陽光発電は今後の再生可能エネルギー運用の中核を担うともいわれています。

太陽光発電の導入は地球環境への投資、ひいては私たちの未来への投資にもなり得るのです。

 

太陽光発電を住宅に取り入れるデメリット

太陽光発電を住宅に取り入れるデメリットを解説します。

 

設置費用が高い

太陽光発電を住宅に取り入れる最大のデメリットといえるのが、設置費用の高さです。

機器代金と工事費込みでだいたい100〜250万円ほどかかります。設置費用は年々安くなっていますが、連動して売電価格も安価になっていくため、設備導入のコストメリットを考える必要があるでしょう。ちなみに節電と売電により10年ほどで返済できることが多いといわれています。

低価格化が進み、購入のハードルはさらに下がるかもしれません。それでも決して安い買い物ではないため、設置は慎重に検討するべきでしょう。

 

太陽光パネルのメンテナンス費用も高い

太陽光発電のメンテナンスは2017年より義務化されています。太陽光発電導入当初はメンテナンスフリーといわれていましたが、苦情やトラブルが相次いだためメンテナンスが義務化されました。

経済産業省によるガイドラインでは4年に1度の定期点検が推奨されており、メンテナンスには5〜10万円ほど必要になるといわれています。「4年に1度とはいえ、メンテナンスなんて面倒だし、お金もかけたくない」と感じる方もいるかもしれませんが、メンテナンスをするメリットもあります。

・発電効率の低下を防ぐ
発電効率が下がると節電効果が低くなり、売電価格も安くなってしまいます。売電収入が落ちれば、設置費用回収が長引いてしまいます。
・事故を未然に防ぐ
太陽光発電は常に雨風にさらされているためどうしても劣化しやすく、ボルトなどが緩むこともあります。万が一、太陽光パネルが落下したり飛ばされたりすると大事故につながるかもしれません。

また義務化されているのにメンテナンスせずにいると最悪の場合、売電できなくなる可能性も。太陽光パネルをメンテナンスするメリットにも目を向け、目先の手間やコストに囚われないようにしましょう。

 

発電量が天候に左右される

太陽光発電の発電量は、天候に左右されます。太陽光発電の導入前は売電価格のシミュレーションを行いますが、あくまでも目安です。

その年の天候によっては、シミュレーションからかけ離れた売電価格になる可能性もあります。

 

太陽光発電のよくある質問

ここでは太陽光発電のよくある質問についてお答えしていきます。太陽光発電を住宅に導入しようか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

住宅ローンに組み込めるか

新築もしくは購入時であれば住宅ローンに組み込むことが可能であり、住宅ローン控除の対象にもなります。住宅ローンに組み込めない場合は太陽光発電に特化したソーラーローンというものもあります。ただし、ソーラーローンは住宅ローン控除の対象外です。よって、住宅ローン控除が利用できるのであれば住宅ローンに組み込んだほうがおトクです。

では、住宅ローン控除ができない場合はどうでしょう。住宅ローンとソーラーローンのどちらがおトクなのかは金融機関が設定する金利によって変わってくるため、それぞれの仕組みを理解して見積もりを取ることが大切です。

 

設置するなら住宅購入時?後づけ?

太陽光発電を住宅に導入する際、住宅購入時に設置するか後付けするか、どちらがよいのでしょうか。実はそれぞれにメリットがあるため、見極めながら太陽光発電設置を検討することが大切です。

・住宅購入時に設置するメリット
住宅ローンに組み込むことができ、住宅ローン控除の対象にもなります。また、太陽光発電に合った屋根を作ることができるため、発電効率もアップするのです。
・後づけするメリット
新築住宅の場合は、屋根一体型の太陽光パネルを選ぶと固定資産税がかかります。一方、太陽光パネルを後付けする場合は、住宅の屋根に架台を設置して太陽光パネルを取り付けるため、屋根とは別のものとして扱われます。よって、固定資産税の課税対象外になるのです。

なお、新築住宅の際も住宅用の太陽光パネルで屋根一体型でなければ、後付け時と同様に固定資産税はかかりません。

 

太陽光発電で得た売電収入は確定申告が必要?

太陽光発電で得た売電収入の確定申告は基本的に不要ですが、売電収入額や個人の収入額によって必要な場合もあります。

確定申告が必要なケース
・売電収入額による所得が20万円を超える場合
・売電収入の他に収入源(事業所得や投資による利益)があり、合算後の所得が20万円を超える場合
・給与年収が2,000万円以上の場合

上記のケースに当てはまる方は確定申告が必要です。忘れずに行いましょう。

 

蓄電池ってなに?

太陽光発電における蓄電池とは、「家庭用蓄電池」のこと。太陽光発電で作られた電気を家庭用蓄電池に蓄えると、日中だけでなく夜間でも使えるようになります。

電気の買取期間が終わると、家庭用蓄電池を使用した「電気の自給自足」が主流となっていきます。

・家庭用蓄電池のメリット
災害時に住宅で電気が使えるようになる
太陽光発電との相性が料金面でも環境面でも抜群
・蓄電池のデメリット
蓄電池の購入価格は150万円ほど
寿命は10年ほどしかない

家庭用蓄電池は環境面では有意義なものですが、コストパフォーマンスで見れば決しておトクとは言いがたいもの。家庭用蓄電池を導入する際はメリット・デメリットを把握し、検討しましょう。

 

住宅の屋根への負荷は大丈夫?

結論からいうと、太陽光発電パネルを設置することで、住宅の屋根に何か負担がかかることはありません。

太陽光パネルの重さは約15kg。設置枚数は20枚ほどになることが多く、総重量としては約300kgになります。「300kgも屋根に乗せて大丈夫?」と感じるかもしれませんが、一点に300kgの負荷がかかるわけではありません。

どうしても屋根への負荷が気になるなら、各メーカーの商品の重さを比較して少しでも軽いものを選びましょう。

 

太陽光発電について詳しく知りたいならお近くの住宅メーカーに相談を!

この記事では太陽光発電を住宅に導入するメリットやデメリット、よくある質問について解説しました。

節電や売電で家計にやさしい太陽光発電ですがデメリットもあり、残念ながら現時点ではすべての方におすすめできるものではありません。しかし、条件が合えばとてもおトクなので、住宅購入時に検討してみてはいかがでしょうか?