中庭のある家の間取り実例|メリットやデメリット対策も解説

2023年11月18日

中庭のある家は屋内と屋外がつながる心地よい空間が魅力です。中庭をつくって豊かな時間を過ごしたいと考える人も多いのではないでしょうか。

この記事では中庭のある家のメリットに加え、デメリットやその対策もくわしく解説。おしゃれで快適な中庭のある家の実例もご紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

 

中庭のある家の3つのタイプ


中庭とは建物の内部に設置された、屋根がなく、壁などで囲われた庭のことです。一戸建ての中庭には、主に以下の3つのタイプがあります。

中庭のある家の3つのタイプについて、それぞれの特徴を見てみましょう。

1.コの字型

コの字型の中庭は、三方が建物の壁や窓で囲われた庭のことです。壁によって隣家や道路からの目線を遮れるため、プライバシーを確保しつつ、開放感も楽しめます。一方が外に向かって大きく開いているため、自然光や風を室内に取り込みやすいのも特徴です。セカンドリビングのように活用したり、ガーデニングを楽しんだりできます。

 

2.ロの字型

ロの字型の中庭は四方が壁に囲まれているため、完全プライベートな空間をつくれます。プライバシーを確保しやすいため、住宅密集地でも庭のある家を建てたい人におすすめです。自然光や風を感じながら、家の中にいるようにくつろげます。

ただし、四方を囲まれていることでほかのタイプと比べて閉塞感は出やすいです。閉塞的にならないようにするためには、ある程度の広さが必要になります。

3.L字型

L字型の中庭は、文字通りL字型に配置された住宅に沿ってつくられます。コの字型やロの字型と比べると一般的な庭に近く、中庭を取り囲む壁が少ないため開放感も抜群です。
L字型住宅の特性上、狭い土地でもつくりやすく、表面積が少ないため建築費用も抑えられます。

ただし、プライベート感が薄く、周囲からの視線対策が必要になるなど、中庭としてのメリットが感じられにくいことも。建物のデザインや配置を工夫する必要もあるでしょう。

中庭のある家のメリット


中庭のある家には以下のようなメリットがあります。

採光や通風に優れている

中庭のある家は壁が多くなるため開口部をつくりやすく、そこから自然光や風を取り込むことができます。

一般的な住宅では南側に大きな窓をつくって採光や通風を確保しますが、中庭のある家は庭と接する部屋に窓をつけられるため、家全体に光や風を取り込みやすくなります。

プライバシーや防犯性が高い

中庭は建物に囲われているため、一般的な庭と比べて道路や隣家からの視線を気にせず過ごせます。

また、中庭のある家はプライバシーを確保しやすいとともに、防犯性を高めることも可能です。

中庭側の開口部は大きく、通りや隣家に面した外側の窓を小さくすれば、十分な採光と通風を確保しながら外からは侵入されにくい家をつくれます。

屋内から屋外へ広がりが感じられる

中庭がある家は一般的な住宅よりも屋外空間を近くに感じることができます。室内から屋外へと視線が抜けるため、開放的で実際より広く感じられるでしょう。

 

家族とほどよい距離感を保てる

中庭のある家は、家に凹凸があるため部屋を向かい合わせに配置する間取りが増えます。そのため、別室にいながら子どもや高齢者を見守ることが可能です。中庭があることで、家族の気配を感じながらほどよい距離感を保てる家づくりができるでしょう。

遊び場や団らんスペースとして活用できる

中庭はさまざまな用途で活用できます。周囲からの目線や車を気にすることなく子どもを遊ばせて、室内で家事をしながら見守ることも可能です。家族や友人との団らんスペースとして、くつろいだりバーベキューを楽しんだりすることもできます。ガーデニングや趣味を楽しむスペースとして活用することもできるでしょう。

中庭のある家のデメリット

建築コストが高くなる

中庭があるコの字やロの字型の住宅は、凹凸のない一般的な住宅よりも広い敷地が必要です。また、中庭のある家は壁が多く表面積が増えるため、建材や窓が多くなり、建築単価が高くなります。

ただし、中庭をセカンドリビングとして使うこともできるうえ、窓が多く開放感が増すため、一般的な住宅と同じ床面積でつくらなくても満足感を得られることもあるでしょう。

3つのタイプの中でもシンプルな構造のL字型が最も建築費を抑えられ、コの字型やロの字型になると費用がかさみます。

居住空間が狭くなる

中庭のある家は、屋内に屋外空間を取り込むため、その分居住空間が削られます。そのため、敷地に余裕がない場合は、居住空間が狭く感じられることもあるでしょう。

ただし、前述の通り中庭をセカンドリビングのように室内と連続した空間として使うことも可能です。中庭の用途や使用頻度、居住スペースとのバランスをよく考え、施工会社とよく相談しながら計画する必要があります。

動線が長くなる

中庭はリビングとセットで家の中心に配置することが多く、間取りの配置をよく考えておかないと、室内の移動距離が長くなってしまいます。特にコの字型やロの字型では、水回りを1か所に集中させるなど工夫をしないと、家事動線が長く非効率になるため注意が必要です。

冷暖房効率が落ちる

中庭のある家は大きな窓を設置したり数が増えたりするため、通常の住宅よりも外気の影響を受けやすくなります。そのため冷暖房効率が落ち、室温を一定に保ちにくく、光熱費が上がってしまうこともあるため対策が必要です。

湿気や熱がこもりやすい

外壁で囲われた中庭は雨水が溜まりやすく、湿気や熱がこもりやすいデメリットがあります。中庭の外壁やテラス、ウッドデッキなどにコケやカビ、虫が発生すると見た目が悪いだけでなく、中庭に接した部屋に影響する恐れもあるため、水はけをよくする対策が必要です。

中庭のある家の間取り実例4選


おしゃれな中庭のある家の間取りを実例でご紹介します。デメリットを解消し、快適さを高める工夫やアイデアも参考にしてみてください。

①開放感とプライバシーの両立を実現した、広々コの字型の中庭


3面ガラス張りで明るい、コの字型の中庭です。床材とウッドデッキの色味やテイスト、高さを揃えているため、まるでLDKとひと続きような開放感があります。デッキは木製フェンスと一体になっているためプライバシー面とセキュリティ面ともに安心です。ウッドデッキの下のコンクリートにはゆるい傾斜をつけて水はけをよくしています。

②美しい庭が一層身近に感じられる、コの字型の中庭がある家


大きな窓から緑あふれる絵画のような風景を楽しめるコの字型平屋の中庭です。中庭があることで、美しい庭が一層身近に感じられ、日当たりのよいテラスではガーデニングも楽しめます。南向きの大開口窓は電動カーテンを下ろせば、視線や外気を遮ることも可能。中庭に面している西側の寝室からも、朝日や美しい眺めを楽しめます。

 

③リゾートホテルのテラスのような空間で人目を気にせずくつろげる中庭


吹き抜けのあるリビング横に設けられた、リゾートホテルのテラスを思わせる中庭です。リビングとは異なるテイストの中庭には植物も多く、排水設備も整っています。全面を囲われているため、人目を気にせずくつろいだりバーベキューを楽しんだりできます。上方は2階のバルコニーとつながっており、どの角度から見てもおしゃれです。

 

④窓が少なくても中庭から採光を確保。和室にもリビングにも合うロの字型の中庭


玄関やそれぞれの部屋から絵画のような眺めを楽しめる、ロの字型の中庭です。中庭からの採光があることで、隣家が近く窓が少ないリビングや和室も十分な明るさを確保できています。完全プライベートな中庭は、子どもの遊び場やバーベキューにと大活躍。リビングにも和室にも合うモダンな雰囲気が素敵です。

 

中庭のある家の間取りを計画するポイント


中庭のある家の間取りを計画する場合は、後悔しないよう、デメリットを解消しておくことが大切です。中庭のある家の間取りを計画するポイントをまとめました。

生活動線を考えて間取りを計画する

中庭を設けると動線が長くなりがちになるため、間取りに工夫が必要です。キッチンや浴室、ランドリールームなどの水回りを集中させて家事動線を短くする、寝室とトイレが遠くならないよう配置するなど、日頃の動きを考えて間取りを計画しましょう。

排水設備を整える

中庭をつくる際は、雨水が溜まったり湿気や熱がこもったりしないよう、排水設備を整えておきましょう。特に四方を囲まれるロの字型は雨水がはけにくいため、排水対策は必須です。

L字型やコの字型の中庭はデッキ部分に傾斜をつけておくと、水が溜まりにくく乾きやすいため、コケやカビの対策になります。昨今では集中豪雨なども増えているため、雨水枡を設け、地面に浸み込まない雨が直接排水管に流れ込むようにしておくと安心です。

窓の配置や大きさに注意する

中庭のある家の窓は、配置や大きさをよく考えて設置する必要があります。中庭に面する窓は採光や通風を確保し、開放感のある空間にするために大きな掃き出し窓にすることが多いです。ただし、窓が大きいと外気の影響を受けやすく、冷暖房効率も落ちます。窓を二重サッシにしたり、道路や隣家に面する中庭と反対側の窓は小さくしたり、断熱性能を高める工夫をするとよいでしょう。

また、外からの視線が気になる窓にはカーテンやロールスクリーンをつけておくと、視線対策ができるとともに、冷暖房効果も高まります。

実例や間取りのポイントを参考に、おしゃれで快適な中庭のある家を計画しよう

中庭のある家は開放的で明るく、プライバシーや防犯面でもメリットがたくさんあります。ただし、つくった後に後悔しないためには、デメリットや対策もしっかり押さえて間取りを考える必要があります。

中庭のある家の間取りを計画するポイントは以下の通りです。

  • ・中庭のある家は動線が長くなりやすいため、生活動線を考えて間取りを計画する
  • ・湿気や熱がこもりにくいよう、排水設備を整える
  • ・窓の位置や大きさはデメリットを解消するための工夫が必要

ポイントや実例も参考に、生活に豊かさを添えてくれる中庭のある家を計画しましょう。