野地板(のじいた)とは?種類やリフォーム業者の選び方もご紹介

2023年11月4日

大規模なリフォームでは古い屋根材を撤去し、新しい屋根材に張り替える「葺き替え(ふきかえ)」を行うケースがあります。その際にメンテナンスしたいのが「野地板(のじいた)」です。

野地板は、耐震性や耐風性に影響する部分であるため、腐食したまま放置しないようにしましょう。この記事では、野地板の種類や耐用年数など、押さえておきたい野地板の基礎知識をご紹介します。

 

野地板とは

野地板は、瓦やスレートなどの屋根材を敷くための下地になる木の板です。屋根材は、ただ乗せるだけでは地震や強風等によりずれる恐れがあります。そのため屋根は、骨格となる垂木の上に野地板を張り、その上に防水紙(ルーフィング)を敷き、さらにその上に屋根材を乗せて釘で固定するのが一般的です。

つまり屋根材は災害を防ぐためにも欠かせません。また雨漏りの防止や断熱、遮音の役割も担っています。

 

野地板には3つの種類がある

野地板は、主に「構造用合板」「バラ板」「耐火野地板」の3種類あり、それぞれ性質や耐用年数が変わってきます。自分の家の野地板が何を使用しているのか知れば、起こり得るリスクにも対処しやすいため、ここで紹介する3種類の野地板の特徴を押さえておきましょう。

 

1.構造用合板

木造建築において、構造用合板は屋根以外にも壁下や床下などにも使用される合板で、耐震性や耐風性、気密性、防音性を高める効果があります。よく使用されるサイズは、900mm x 1,820mm、厚み12mmです。

構造用合板は日本農林規格で定められている合板であるため、ホームセンターなどの資材売り場では「JAS認定スタンプ」が押されており、ひと目でわかるでしょう。構造用合板は現在の戸建て住宅で多く採用されています。

 

2.バラ板

バラ板は90mm~120mm程度の細長い木材を張り付けて構成する野地板です。それぞれが独立したバラバラの板で、通気と乾燥のために、あえて隙間を設けているのが特徴です。

30年以上前の建物はバラ板が主流でしたが、現在は防水紙の性能が向上したことから湿気をあまり気にする必要がなくなり、採用されることは少なくなりました。

 

3.耐火野地板

耐火野地板は火に強い野地板で「準防火地域」「防火地域」「屋根不燃区域」での使用が義務付けられています。耐火野地板にはいくつか種類がありますが、よく使用されるのは「木毛セメント板」「木片セメント板」の2つです。

30分の火災に耐える「耐火性」に加え、最近では断熱性や吸音性などにも優れた商品が販売されています。ただし、構造用合板と比べると高価な商品です。

 

野地板の腐食を放置するのは危険!適切なメンテナンスを

野地板は家を支える重要な屋根材の一種で、定期的なメンテナンスが欠かせません。野地板の腐食を放置すれば、雨漏りしやすくなるほか、強風で剥がれてしまう危険性もあります。野地板の耐用年数や寿命を把握し、不安がある場合は劣化具合を調査しましょう。

 

野地板の寿命は30年ほど

構造用合板や耐火野地板の耐用年数は約30年で、通気性の高いバラ板は約40年です。セメント瓦やスレートの寿命も30年程度であるため、屋根の葺き替え工事の際には野地板もメンテナンスを行うのが理想です。

ただし、湿度が高い地域によっては、野地板の寿命が30年よりも早くなる可能性があります。また雨漏りなどによって、耐用年数が大幅に短くなるケースも少なくありません。

 

野地板の劣化具合を調べるには?

野地板の劣化具合を調べる方法は主に2つです。

  • ・屋根の上を歩く
  • ・野地板チェッカーを用いて確認する
  •  

屋根の上を歩き、野地板がフカフカと沈む感じがしたら、痛んでいる可能性があります。しかし、屋根の上を歩くのは危険が伴うほか、個人では判断しにくいことから、専門の業者に依頼したほうがよいでしょう。

 

野地板のメンテナンス方法

野地板は屋根材の下地であるため、目視では確認できません。屋根の葺き替えをするタイミングでメンテナンスしましょう。野地板のメンテナンス方法は2つあり、野地板の状態によってどちらかを選択します。それぞれで工事費が大きく変わってくるため、しっかりと押さえておきましょう。

 

増し張り(重ね張り)

野地板がバラ板の場合に行われるメンテナンス方法です。バラ板の上に野地板を重ねて貼るため、重量は増しますが地震や強風に強くなります。屋根材を固定する部分も新しくなるため、屋根が剥がれにくいのも魅力です。しかし、古い野地板が腐食していた場合には、増し張りは行えません。

 

張り替え(部分交換)

張り替えは、野地板が腐食している場合に行うメンテナンス方法です。野地板の腐食は広がってしまうため、新しいものに交換する必要があります。垂木が腐食している場合は、その部分も交換します。

 

野地板の寿命を長くする方法

長寿命住宅には野地板の寿命を延ばすことが不可欠です。野地板の張り替え工事は、処分費も発生することから高額になります。経済的な負担を抑えるためにも、野地板の寿命を少しでも長くしましょう。ここでは、野地板の寿命を長くする方法を4つ紹介します。

 

換気棟を取り付ける

換気棟は屋根裏の湿気や熱気を排出するために取り付ける部材です。熱気が上部に集まる特性を利用し、屋根裏にこもる熱気を自然排出します。換気棟によって空気を入れ替え続けることで、湿度を下げて結露を発生しにくくし、野地板が腐食するのを防ぎます。

 

断熱材一体型の金属屋根を用いる

野地板の腐食を防ぐには、結露を生じさせないことが重要です。断熱材一体型の金属屋根を用いれば、野地板の表面温度と外気の温度差が広がるのを防ぎ、結露が生じにくくなります。

 

インシュレーションボードと組み合わせる

インシュレーションボードは合成樹脂や接着剤を混ぜて乾燥させた建材です。断熱性や吸放湿性に優れており、野地板と組み合わせて使用すれば結露の発生を防ぎやすくなります。

 

屋根通気工法を用いる

屋根通気工法とは、屋根材と下地材の間に小さな隙間を作り、空気の通り道を確保する工法のことです。室内の湿気を外に排出し、通気性がよくなると野地板の腐食を防ぎやすくなります。

 

リフォーム業者選びで失敗しないためには?

リフォームやメンテナンスの際には、信頼できる業者選びが重要です。慎重に業者選びをしないと、手抜き工事を行ったり多額の金額を要求したりする悪徳業者に当たってしまう可能性があります。ここで紹介する、リフォーム業者選びのポイントを押さえておきましょう。

 

屋根修理の内容に合わせて業者を選ぶ

屋根修理ができる業者は主に「工務店」「リフォーム業者」「塗装業者」が挙げられます。それぞれの業者に特徴があるため、屋根修理やリフォームの内容に合わせて、業者を選ぶとよいでしょう。

例えば、雨漏りをしている場合は迅速に対応する必要があるため、比較的素早く対応してくれる地域密着型の工務店が適しています。

屋根の塗装が剥げて見た目が悪くなっている場合は塗装業者、屋根以外にも大規模なリフォームを行う場合はリフォーム業者、といったように業者を選択するとよいでしょう。

 

業者の口コミをチェックする

インターネットを利用すれば、ほとんどの業者の口コミが調べられます。よい口コミと悪い口コミの両方にしっかりと目を通し、業者を比較しましょう。

 

複数業者から相見積もりを取って比較する

複数業者から相見積もりを取り、金額や業者の対応を比較しましょう。相見積もりによっておおよその相場感もつかめてきます。

相見積もりの際は「契約内容が明確か」「こちらの要望を汲み取ってくれるか」「実績があるか」などを考慮し、最低でも3社から相見積もりを取るとよいでしょう。
大規模なリフォームでは古い屋根材を撤去し、新しい屋根材に張り替える「葺き替え(ふきかえ)」を行うケースがあります。その際にメンテナンスしたいのが「野地板(のじいた)」です。

 

まとめ:リフォームは慎重に計画を立てて行おう

野地板は屋根の構造において欠かせない下地材です。野地板が腐食すると雨漏りしやすくなり、地震や強風で剥がれてしまう恐れもあります。耐用年数はおおよそ30年ですが、湿度の高い地域では早く寿命が短くなる可能性があるため、リフォームや葺き替え工事タイミングで野地板のメンテナンスも行いましょう。