二世帯住宅の価格相場は?坪数やタイプ別の費用目安・ポイントを解説

2022年8月11日

二世帯住宅を検討している人にとって、期待や不安とともに一番気になるのは価格のことではないでしょうか。

今回は二世帯住宅の建築価格について、タイプ・坪数別の建築費用の目安と、建築可能な二世帯住宅のタイプを予算別に解説します。また二世帯住宅にするメリットやデメリット、後悔しないために知っておきたいポイントもご紹介しますので、二世帯住宅を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

 

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二世帯住宅のタイプは大きく分けて3つ

二世帯住宅は、共有部分の有無や共有の範囲によって3つのタイプがあり、 建築価格の目安も変わります。まずは3つのタイプの特徴とメリット・デメリットについて押さえておきましょう。

 

完全分離タイプ

玄関・リビング・キッチン・浴室など、すべての設備を世帯別に設けるタイプです。各世帯が玄関付きの上下階を使用する左右分離型のほか、高齢世帯の安全に配慮して1階を親世帯、2階を子世帯が使う上下分離型があります。

 

完全分離タイプのメリット・デメリット

完全分離タイプの最大のメリットは、プライバシーが確保できることです。世帯ごとに生活時間帯が異なる場合でも対応しやすく、光熱費などの支出も世帯ごとに管理できます。

すべての設備が2世帯分必要になるため、建築費用が3タイプのうちで最も高くなるのがデメリットです。

 

部分共有タイプ

玄関だけ、またはキッチンやリビングなど、一部を2世帯で共有するタイプです。共有の範囲は家族によって異なり、1階を親世帯、2階を子世帯が使うケースが多いといわれています。

 

部分共有タイプのメリット・デメリット

部分共有タイプは完全分離型ほどではありませんが、プライバシーを確保しながら 2世帯で家事や子育てを協力しやすいのがメリットです。共有部分を玄関だけにしたり、水回りも共有にしたりと、2世帯のライフスタイルに合わせてカスタマイズできます。

一方デメリットとして挙げられるのが、共用部分の住宅設備にかかる支出を各世帯で管理しにくいことです。また生活時間帯が異なるとお互いに気を遣うこともあるため、支出や家事の分担についてコミュニケーションが必要です。

 

完全同居タイプ

玄関・リビング・キッチン・浴室などすべての住宅設備を2世帯で一緒に使うタイプです。1階を親世帯、2階を子世帯が使うケースが多いです。

 

完全同居タイプのメリット・デメリット

ほとんどすべての設備を共有するため、建築費用が安く抑えられます。設備を共有するため節約にもなり、家事や子育てを助け合える点がメリットです。

デメリットはプライバシーの確保が難しい点です。また、各世帯の生活リズムの違いや支出の負担割合についての話し合いや共通理解が必要になります。

 

二世帯住宅の価格相場はどれくらい?

二世帯住宅は共有部分が多くなるほど、建築に必要な面積を抑えられます。。建築費用は共有部分の有無や範囲によって異なるため、3つのタイプ別に建築費用の目安をご紹介します。

なお、二世帯住宅の坪単価や相場は地域によっても異なります。具体的に知りたい場合は建築会社に現地調査を依頼し、見積もりを出してもらいましょう。

 

完全分離タイプ(50~60坪)

完全分離タイプの二世帯住宅は、設備も2世帯分設置するため建築費用が最も高くなります。また面積が狭いと住空間も狭くなるため、ある程度余裕のある建築面積が必要です。

完全分離タイプの二世帯住宅の場合、坪単価は85万~150万円。東京都心部や愛知、大阪、福岡などの都市部で高くなる傾向があります。

建築価格の目安は50坪で4,250万~7,500万円、60坪で5,100万~9,000万円となります。

 

部分共有タイプ(40~50坪)

部分共有タイプの二世帯住宅は、どの部分にどのような設備を共有するかで建築費用に大きな差が生じます。

部分共有型の坪単価は80万~130万円。ほかの二世帯住宅タイプと同様、都心部や都市部で高くなる傾向があります。

建築価格の目安は40坪で3,200万~5,200万円、50坪で4,000万~6,500万円となります。

 

完全同居タイプ(30~40坪)

完全同居タイプの二世帯住宅は、一般的な住宅と面積や設備が変わらないため、価格もそこまで差が生まれません。

完全同居タイプの二世帯住宅の場合、坪単価は65万~100万円です。

建築価格の目安は30坪で1,950万~3,000万円、40坪で2,600万~4,000万円です。

 

予算別・二世帯住宅のおすすめタイプ

ある程度予算が決まっている場合、予算の範囲内でどのような二世帯住宅が建てられるか気になりますよね。二世帯住宅のタイプと間取り例を、予算別にご紹介します。

 

予算2,000万円台の二世帯住宅とは?

予算が2,000万円台の場合は、30~40坪程度の完全共有タイプの二世帯住宅を建てることが可能です。価格相場が低い地域であれば、共有スペースの多い部分共有タイプも視野に入れることができます。部分共有タイプの二世帯住宅にする場合は、独立スペースを厳選し、設備のコストを抑えた仕様にするとよいでしょう。

 

予算3,000万円台の二世帯住宅とは?

予算が3,000万円台であれば、40~50坪で、部分共有型タイプの二世帯住宅を計画できます。玄関は共有でも水回りの設備は別々にするなど、共有スペースを少なめにしてプライバシーや生活時間帯の違いに配慮した間取りをつくることができます。

1階を親世帯、2階を子世帯として各階にLDK(リビング・ダイニング・キッチン)と水回りの設備をつけた場合、2~3部屋の居室を設けられるでしょう。

 

予算4,000万円台の二世帯住宅とは?

予算が4,000万円台であれば、50~60坪で完全分離タイプの二世帯住宅を視野に入れられます。各世帯とも、上下2階のメゾネットタイプも可能です。ある程度予算に余裕があれば、親世帯と子世帯で内装や設備のデザインを好みに応じて選択することもできるでしょう。

また、予算があってもあえて完全同居タイプや部分同居タイプを選び、広い居住空間やグレードの高い設備を共有するのもよいでしょう。

 

二世帯住宅にするメリット

二世帯住宅にすると、建築費用や日々の生活費、税制面でもメリットがあります。

 

2世帯で協力してローンが組める

二世帯住宅にすると、住宅ローンを組む際に2世帯で協力することができます。

二世帯住宅の住宅ローンの組み方には親子世帯の収入を合算するタイプ、親世帯が返済能力を失った時点で子世帯に残債ローンを受け渡すタイプ、それぞれが同時期に別契約でローンを組むタイプなどがあります。

 

土地ありの場合は住宅購入価格だけで済む

親世帯が所有する土地に二世帯住宅を建てる場合は、 土地の購入や取得にかかる費用が不要で、住宅購入価格だけで建てられます。または、実家のリフォーム費用のみで済ませることも可能です。

いずれも、土地なしの場合より費用をかけずに二世帯住宅に住めるようになります。

 

光熱費などのランニングコストも補完しあえる

完全同居タイプや共有スペース多めの部分共有タイプであれば、 リビングやキッチンの光熱費などを世帯ごとに支払うよりも安く抑えて補完し合うことができます。

 

相続税が減税される可能性がある

二世帯住宅にすると親世帯が亡くなった後、「小規模宅地等の特例」制度によって、相続する土地の評価額が最大80%減額される可能性があります。

この制度は原則として故人と同居していた親族が対象で、二世帯住宅の子世帯も一定の条件を満たせば対象となります。ただし、登記の際に「区分登記」を選択するとこの特例が使えないこともあるので、注意が必要です。

 

減税制度や補助金を活用できる

二世帯住宅では住宅取得時にかかる不動産取得税、保有するときにかかる固定資産税の軽減措置が適用されます。二世帯住宅が長期優良住宅として認定されれば、さらに優遇される可能性もあります。

また工事内容や時期によっては、三世代同居支援のための木造住宅整備事業の補助金を活用できる場合も。気になる方は、役場や施工会社に問い合わせてみましょう。

 

二世帯住宅にするデメリット

メリットの多い二世帯住宅ですが、やはりデメリットも。二世帯住宅を検討する際は後悔のないよう、デメリットや解消のポイントも事前に押さえておきましょう。

 

光熱費など共有費を世帯ごとに管理しにくい

完全同居タイプや部分共有タイプの二世帯住宅では、共有部分の光熱費を世帯ごとに管理しにくいというデメリットがあります。 世帯間で密なコミュニケーションや相談ができる場合は問題になりませんが、負担の仕方や割合に不満があると、お互いにストレスを抱えてしまうケースもあります。

 

売却が難しい

完全分離型や共有スペースの多い部分共有型の二世帯住宅は、一般的な住宅と比べて部屋数が多い分、中古市場では売却価格が高くなる傾向にあります。また、二世帯住宅を探している人以外のニーズと合わないなどの理由で、成約までに時間がかかる場合もあります。

 

相続時に兄弟間でトラブルになる可能性がある

二世帯住宅で同居していた子世帯とは別に、同居していない子がいる場合は、相続時に兄弟間でトラブルが発生するケースもあります。特に二世帯住宅がおもな相続財産となる場合はトラブルになりやすいため、注意が必要です。

 

二世帯住宅を建てるときのポイント

建築費用の負担は「登記」や「相続」を考えて決める

土地や住宅の登記を2世帯で行う場合、基本的には負担の割合が重視されます。建築費用を2世帯で折半しているのに、将来を見越して子世帯名義にしてしまうと、親世帯からの贈与とみなされ、贈与税を支払う必要が生じてしまいます。

また建築費用を負担した子世帯とそうでない兄弟姉妹の間では、相続に関する認識のズレがトラブルに発展するケースもあります。同居する世帯間はもちろん、相続の関係者とも話し合いや合意形成を持ちながら計画することが大切です。

 

ランニングコストの負担を決めておく

完全同居タイプや部分共有タイプでは、光熱費などの負担割合や決め方が曖昧だと、お互いの不満につながりやすいので注意が必要です。

負担の仕方は事前によく話し合い、また建築時と状況が変わったときにも話し合えるようにしておきましょう。

 

減税制度や補助金は早めにチェック

減税措置や補助金など、お得な制度は申請が必要で、申請期間や方法も定められています。税制上の優遇や補助金を受けたい場合は期間内に手続きできるよう、早めに役場や施工会社に相談するようにしましょう。

 

長期的な視野をもって間取りを計画

二世帯住宅の間取りは、子どもが増える、親世帯の介護が必要になる、子世帯だけになるなど、ライフステージの変化を想定して計画しておくことが大切です。

それぞれの世帯の将来設計や起こりうる変化についても率直に話し合い、二世帯住宅のタイプや間取りを計画しましょう。

 

二世帯住宅のノウハウや施工実績のある建築会社を選ぶ

二世帯住宅の建築会社選びでは、二世帯住宅の実績が豊富な施工会社や担当者を見極めることも重要です。情報を集め、建築ノウハウや税制のほか、子育てや親の高齢化など、見通しを持った提案や相談ができる会社や担当者を選びましょう。

 

まとめ:価格相場やポイントを押さえて、後悔しない二世帯住宅を建てよう!

2世帯・3世帯が同居するメリットは多くありますが、建築費用や共有スペースにかかる費用の負担の仕方、相続時のトラブルなどに不安を感じている人もたくさんいるでしょう。

今回は、二世帯住宅の建築にかかる価格相場や建てるときのポイントなど、気になる点を解説しました。事前に押さえておくべきポイントをよく話し合い、親世帯も子世帯も安心・快適に暮らせる二世帯住宅を実現してくださいね。