住宅取得資金贈与を頭金にしないとどうなる?限度額・注意点とは

2023年9月30日

親から受け取った住宅取得資金贈与は、建築の頭金にしないとどうなるのでしょうか?頭金にしなくても問題ないのか、頭金にしないときのリスクとともにご説明します。

 

住宅取得資金贈与を頭金にしないと非課税にならない

住宅取得資金贈与は、住宅購入資金として親から援助を受けることです。

この住宅取得資金贈与のお金は、住宅の頭金など家の購入費用に使わないと非課税にならない可能性があります。

親などの直系尊属から住宅取得のための資金の贈与を受けた場合に非課税となるには、あくまでも家のために使うことが条件です。

住宅建築以外の家具や家電の購入といったお金に使ったり、貯金したりすることは控除対象になりません。

 

住宅取得資金贈与の非課税限度額は?

住宅取得資金贈与の非課税限度額は、大きく2つの基準があります。
それは新築住宅の場合が500万円、省エネ等住宅の場合は最高で1,000万円までです。

 

新築住宅は非課税枠が500万円まで

新築住宅の場合は500万円までの住宅取得資金の贈与が、非課税になります。

ちなみに、すでに非課税制度の適用を受けており過去に贈与税が非課税になった金額分は、引かれます。

すでに非課税となった金額を引いた残額が非課税限度額になるため、注意しましょう。

 

省エネ等住宅は非課税枠が1,000万円まで

省エネ等住宅は、省エネ等基準に当てはまる住宅用家屋であることが条件です。

省エネ等住宅に当てはまる3つの条件は次の通りです。

  • ・断熱等性能等級4以上か一次エネルギー消費量等級4以上
  • ・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物
  • ・高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上

「耐震性能」「省エネルギー性能」「バリアフリー性能」のいずれか一つの基準を満たすと証明された、エコな家が対象になります。

 

住宅取得資金贈与の非課税条件

住宅取得資金贈与の非課税対象になるには、複数の条件を満たしている必要があります。

新築、省エネ住宅どちらの場合にも共通している、非課税条件のポイントをまとめました。

 

贈与する親・祖父母などの直系尊属のみ

住宅取得資金贈与の非課税の特例対象は、直系尊属のみです。直系尊属とは、両親、祖父母、養父母など直系の親族のことです。おじやおば、配偶者の両親などは含まれません。

つまり、家を購入する所有者自身の親や祖父母、曽祖父母から受け取った贈与金が対象です。

 

贈与を受けた翌年3月15日までに全額使用する

住宅資金としてお金を受け取った翌年の3月15日までに、住宅家屋の新築をすることが非課税の条件です。

新築の費用の頭金として全額使用する必要があり、家を建て終わったあとに、贈与されたお金を使う場合は非課税対象外になるため注意しましょう。

また、住宅取得資金の贈与を受けた翌年3月15日までにはすでに新しい家に住む契約、環境が整っている(引き渡し、または棟上げが完了している)ことも非課税枠の要件になります。

 

贈与を受けた翌年3月15日までに入居する・入居予定である

新築の家では、贈与を受けてから翌年の3月15日までに居住している、または居住見込みである必要があります。

3月15日までに入居予定だったものの困難な理由があれば、最長で12月31日まで期限を遅らせられます。

12月31日を過ぎてしまうと、どのような事情であれ非課税の対象になりません。改めて修正申告が必要になります。

 

贈与を受けた年の所得合計額が2,000万円以下

贈与を受けた年の所得税の合計所得金額が、2,000万円以下であることが条件です。

贈与を受ける人が2,000万円以上の所得があると、たとえ頭金として親や祖父母から受け取ったお金を使っても、非課税外になってしまいます。

事前にお金を受け取る予定の年の収入を調べておきましょう。

 

住宅取得資金贈与の非課税外の注意点

住宅取得資金贈与の非課税の特例を受ける際に、期間や収入以外にも気をつけたいポイントがあります。

せっかく受け取っても、非課税外になってしまわないように、次の3点を意識して必要な手続きをしましょう。

 

贈与税がなくても確定申告する

たとえ贈与を受けた金額が500万円以内、1,000万円以内といった、全額が特別控除になる場合でも、必ず翌年の確定申告が必要です。

非課税の範囲内でも、翌年の2月から3月の確定申告をしないと、贈与を受けたことを申告していない状態になってしまいます。

いくら非課税でも贈与を受けた事実はあるため、必ず0円として確定申告しましょう。申告しないままでいると、たとえ非課税でもペナルティとして延滞税や無申告加算税が発生する可能性があるのです。

 

金額の負担割合と持分割合が違うと贈与になる

住宅取得資金として援助してもらう金額と、贈与した親や祖父母の負担割合、新築の所有者が支払う金額の負担の割合を決めて、登記する必要があります。

実際の負担割合と金額が違うと、贈与扱いになってしまうため必ず贈与額の割合を計算して、持分割合を設定しましょう。

この負担割合は、たとえば3,000万円の新築なら子どもが2,500万円、親が500万円を贈与する場合、子どもの負担割合は約83%で、親は残りの約17%です。

しかし、新築を登記するときに子が75%、親が25%と記録すると、追加で親から子への贈与があったとみなされてしまいます。

すると贈与税が発生する可能性があるため、負担割合と持分割合を合わせましょう。

 

贈与を住宅ローンの返済資金に使わない

親や祖父母から受け取った住宅取得資金は、ローンの返済に使うと非課税の対象にはなりません。

あくまでも、新しい住宅を取得するための費用にする目的で、頭金として建築前に支払うお金として使いましょう。

住宅ローンにすると、翌年3月15日までに引き渡しが間に合わなければ非課税枠が利用できないなど、期間もシビアです。だからこそ贈与を受ける際は、住宅引き渡しのタイミングがもっとも期間にゆとりがあります。

 

まとめ:住宅取得資金贈与は頭金として全額使おう

住宅取得資金の贈与を受ける際には、頭金として全額使うことが条件です。後にローンの返済や、住宅に使用する家具家電の購入費などに使うのは、住宅取得とは関係がないとみなされてしまうのです。

また、非課税額は通常500万円ですが、条件を満たすエコ住宅と認められれば1,000万円と金額にも大きな違いがあります。

これから家を建てる際には非課税額を考えたうえで、どのような家にするのか、非課税になるように受け取る時期はいつにするのか、しっかりと話し合ってから贈与を受けましょう。