深基礎とは?建築における重要な基礎工法を解説!
家づくりにおいて大切な「基礎」。普段生活している際には見えない部分ですが、地面(地盤)と建物を支える重要な部分となっています。
今回は、基礎の中でも「深基礎」について解説!深基礎の種類や特徴、施工手順などをご紹介します。
深基礎とは
深基礎(ふかぎそ)とは、建物の重みや地盤の強度、また敷地の高低差をカバーするなどといった目的から地下に深く基礎を設ける工法のことです。一般的な基礎と比べて、地盤の強度が不安定な場所や大きな建物を支えるために使用されます。深基礎は、パイルや杭といった長い柱状の材料を地中に打ち込みます。通常の基礎よりも地中深くに杭などを打ち込むことで、地盤がより強固になっていく仕組みです。
深基礎が重要な理由
深基礎は、建物の安定性や耐震性を確保するために重要です。地震など外部からの強い力を受けた場合でも、その影響を最小限に留め建物の傾きや沈下を防ぐことができます。
加えて、深基礎は建物の重みを地盤に分散させられる点もポイント。地盤沈下や建物の変形を最小限に抑えられます。
深基礎にはどんな種類がある?
深基礎にはいくつかの種類があり、代表的なものとして、以下の工法が挙げられます。確認していきましょう。
- パイル工法:鉄筋コンクリートの柱(パイル)を地中に打ち込み、地盤によって支えられる工法です。地中に打ち込むパイルの種類や長さは、地盤の状態や建物の重みに応じて選ばれます。
- 杭工法:柱状の杭を地中に打ち込むことで地盤に支えられる工法です。パイル工法と同様、地盤の状態や建物の重みに応じて杭の種類や長さが選ばれます。
- 土留め工法:地盤の崩壊を防ぐために土壁やコンクリートの壁をつくり、地盤を支える工法です。主に斜面の安定化や地盤の補強に使用されます。
深基礎の種類は上記3つが主になり、それぞれ地盤の状態や土地の高低差など、複数の条件によって決められます。
深基礎の施工手順と注意点
深基礎の施工手順や、深基礎施工の際の注意点について解説します。
深基礎の施工手順
深基礎の施工手順は、主に3つの流れとなります。
①地盤調査をする
地盤の強度や地質を調査し、適切な深基礎の種類と打ち込む杭やパルプの長さを決定します。
②杭打ちをする
パイル工法や杭工法の場合は、パイルや杭を地中深くに打ち込みます。打ち込む長さは①の地盤調査結果によって異なり、適切な打ち込み角度や深さを守ることが大切です。
③土留め工法の場合は土壁やコンクリートの壁をつくる
土留め工法では、土壁やコンクリートの壁をつくります。地盤の崩壊を防ぐために、適切な厚さや強度を持つ壁にする必要があります。
深基礎の施工における注意点とは
深基礎の施工で最も重要なのは、地盤調査です。地盤調査を適切に行わないと、選ぶ工法や杭の長さなどが合わない可能性もあります。
また深基礎は、周辺環境や近隣住民の方への配慮も欠かさないようにしましょう。深基礎の施工を行うことで騒音や振動などが発生することも。周辺環境への配慮や、近隣住民の方への事前説明と協力が必要です。
深基礎を導入するメリットとデメリットは?
深基礎を導入するにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。確認していきましょう。
深基礎を導入するメリット
深基礎を導入する一番のメリットは、建物の耐震性・耐久性を上げられる点です。地盤調査に基づいて地盤の強弱に合わせた施工をするため、地震や風雨による地盤沈下といった外からの影響を受けにくくなります。
深基礎を導入するデメリット
深基礎の施工には高い技術と設備が必要となるため、施工にかかるコストが高くなることも。特に地盤が弱い場所や大きな建物の場合、高い技術を要するほか基礎の面積も大きくなるため、一般的な基礎より高い施工費がかかることもあります。
加えて深基礎の場合、通常の基礎工事より多くの時間を要してしまうことも多々あります。工期の延長によるスケジュール遅延などが起こることもあるため、家づくりは余裕を持ったスケジュール感で動くのがよいでしょう。
深基礎は実際にどういったケースで使われるの?
では、実際に深基礎が必要になるケースにはどのようなものが挙げられるのでしょうか。深基礎が実際に適用されている例と併せてご紹介します。
深基礎が適用されるケースとは
深基礎は主に以下2点の場合において適用されます。
- 地盤の強度が不安定な場所
地盤の強度が低い場所では、一般的な基礎だけでは建物を支えることができません。地盤調査を経て深基礎が必要だと判断された場合は、深基礎での施工となります。
- 大きな建物や高層建築物
大規模なショッピングセンターなど大きな建物やタワーマンションなどの高層建築物は、自重や風圧による負荷が大きいため、深基礎が必要となります。深基礎により、建物の安定性と耐震性を確保することができます。
実際に深基礎が利用された事例は?
深基礎が適用された建物として代表的なものは、高さ634メートルにのぼる東京スカイツリーでしょう。地盤が不安定な東京湾の埋立地に建設されたため、深基礎が使用されました。
そのほか高層ビルの東京都庁舎にも深基礎が用いられています。
まとめ
今回は、深基礎に関する工法やメリット・デメリット、使用例などをご紹介しました。深基礎は建築における重要な基礎工法であり、建物を長く使うのに重要なものとなります。
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