二世帯住宅の間取りは完全分離がいい?メリット・デメリットを解説

2024年11月10日

二世帯住宅を建てようか検討しているものの、「二世帯住宅のメリットやデメリットは?」「どんな間取りがいい?」「そもそも二世帯住宅で大丈夫か…」などと悩んでいませんか。

この記事では、二世帯住宅の種類や税金の優遇措置など、二世帯住宅の建築を失敗しないためのポイントについて解説します。

 

完全分離以外にもある!二世帯住宅の間取りの種類とメリット・デメリット

二世帯住宅には、「完全分離型二世帯住宅」「部分共用型二世帯住宅」「完全同居型二世帯住宅」といった種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを整理してみましょう。

 

完全分離型二世帯住宅

完全分離型二世帯住宅は、生活空間をすべて分離した間取り。次のようなメリット・デメリットがあります。

    【メリット】
  • ・プライバシーが保てる
  • ・生活リズムが違っても迷惑になりにくい
  • ・生活費や光熱費を分けられる
  • ・将来的に賃貸にまわしやすい

 

    【デメリット】
  • ・二世帯分つくるため建築費が高くなりがち
  • ・世帯間の交流が少なく変化に気づきにくいことがある

マンションのとなりや上下のように家が分かれているためプライバシーが保ちやすく、お互いの生活リズムを気にせず暮らしやすいといった特徴があります。

完全分離の二世帯住宅に関して、くわしくはこちらの記事をご覧ください。

完全分離の二世帯住宅|後悔しない対策や間取り実例2選もご紹介

 

部分共用型二世帯住宅

部分共用型二世帯住宅は生活空間を部分的に共有した間取りで、次のようなメリット・デメリットが挙げられます。

    • 【メリット】
    • ・プライバシーを保ちつつ交流ができる
    • ・完全分離型に比べて建築費が抑えられる
    • ・完全分離型より狭い敷地でも建築できる

 

      • 【デメリット】
      • ・共用部分で顔を合わせるときに気を遣う
      • ・共用部分の使い方や使うタイミングにストレスを感じる可能性がある

完全分離型二世帯住宅と完全同居型二世帯住宅の“いいとこ取り”ができるともいわれています。

 

完全同居型二世帯住宅

完全同居型二世帯住宅は、寝室以外の生活空間をすべて共有した間取り。次のようなメリット・デメリットがあります。

      • 【メリット】
      • ・世帯間のコミュニケーションが多く変化に気づきやすい
      • ・家事や子育てを協力できる
      • ・光熱費の基本使用料が1世帯分で生活費を抑えやすい
      • ・共用部分が多く、部屋の広さを確保しやすい

 

      • 【デメリット】
      • ・プライバシーを確保しにくい
      • ・生活リズムが異なるとストレスを感じやすい
      • ・生活費や光熱費の負担について考える必要がある

快適な生活のためには、キッチンやリビングなど共用部分を中心にストレスなく暮らせる間取りを考え、生活ルールを決めることが大切です。

親世代+3人家族など、5人暮らしにおすすめの間取りについてはこちらをご覧ください。

5人家族におすすめの間取り実例5選!快適な広さや間取り、注意点も解説

 

二世帯住宅はデメリットだらけ?やめた方がいい?後悔しないために相談しておくこと

「二世帯住宅はデメリットだらけ」という人もいますが、多くの人は二世帯住宅にメリットを感じています。二世帯住宅での生活を後悔しないために、二世帯住宅を検討し始めた時点で次の点について事前に話し合うようにしましょう。

 

子育てや介護などライフスタイルについて

たとえ親でも、世帯や家族構成が変われば生活リズムや習慣などは異なります。家事や子育てを協力してもらえると思ったのに、相手の負担になってしまうことも考えられます。

家事や子育てをどの程度分担できるか、将来的に親の介護を担えるか、生活リズムや生活スタイルの違いがストレスにならないかなど、ライフスタイルについて話し合っておきましょう。

 

お金について

二世帯住宅の建築費やリフォーム費用をどちらがどの程度負担するのか、入居後の食費や光熱費はどうするのかなど、金銭面についても話し合いやルール決めが必要です。

生活費をきっちり分けたいならメーター類をすべて分けた完全分離型が便利。負担割合について同意が得られるなら一部共用型もしくは完全同居型などでも問題ないでしょう。

 

将来について

終の棲家にするのか、将来的に老人ホームへ転居するのかなど、親世代の希望を確認しましょう。長く住むなら平屋やバリアフリー対応を検討する必要があります。

また、親世代の居住スペースを将来的に自分たちで使うのか賃貸に出すのかを考えて間取りを検討することも大切です。

平屋の二世帯住宅について、くわしくはこちらの記事をご覧ください。

平屋の二世帯住宅、コの字とロの字の違いは?中庭がある平屋のメリット・デメリットも解説

こちらの記事では二世帯住宅の体験談をご紹介しています。相談時の参考としてご覧ください。

二世帯住宅での暮らしって?経験談やおすすめの間取りを建築家にインタビュー

 

知っておきたい二世帯住宅の相場・税金の話

二世帯住宅を建てるにあたって気になるお金のこと。二世帯住宅の相場やコストダウンのコツなどについて解説します。

 

種類別、二世帯住宅の相場

二世帯住宅の建築にかかる費用は、次の金額が目安です。

      • ・完全分離型の坪単価:85万~150万円
      • ・部分共用型の坪単価:80万~130万円
      • ・完全同居型の坪単価:65万~100万円

ただし、建坪数や二世帯住宅のタイプ、二世帯住宅を建てる地域や選ぶ建築会社によってかかる費用は変わってきます。

二世帯住宅を建てる際の相場について、くわしくはこちらをご覧ください。

二世帯住宅の価格相場は?坪数やタイプ別の費用目安・ポイントを解説

 

完全同居型二世帯住宅なら建築コストを抑えやすい

共用部分が多いほど二世帯住宅の建築コストは抑えられます。できるだけ費用をかけずに二世帯住宅を建てたいなら、完全同居型二世帯住宅がよいでしょう。

「生活スタイルの違いやプライバシーを考えると完全同居型が難しい」というときは、部分共用型で何を共用できるのかを家族で話し合いつつ、建築会社に相談して間取りを考えることをおすすめします。

 

完全分離型二世帯住宅なら税制上の優遇を受けやすい

ほかのタイプに比べて建築費用がかさみがちな完全分離型二世帯住宅ですが、新築する際に次のような税制上の優遇を受けやすいという特徴があります。

      • ・不動産取得税
      • :1世帯あたり1,200万円(長期優良住宅なら1,300万円)控除(50~240平方メートルの床面積の場合)
      • ・固定資産税
      • :3年度(長期優良住宅なら5年度)分の固定資産税が、1世帯あたり1/2に減税(二世帯住宅の場合は240平方メートルまで適用)
      • ・住宅ローン控除
      • :区分登記、共有登記それぞれで利用可能
      • ・相続税
      • :相続する土地建物(330平方メートルまで)の評価額が最大80%まで減額(区分所有登記を除く)

優遇措置が受けられるのかなどは、二世帯住宅の大きさや自治体の判断などによるところもあります。二世帯住宅を建てる前に、自治体や建築会社に相談することをおすすめします。

 

中古住宅リフォームで二世帯住宅コストを抑えることもできる

新築時の税制優遇は受けられないものの、中古住宅を二世帯住宅にリフォームすることで、住宅の取得費用や建築コストを抑えることも可能です。

「初期費用を抑えたい」「コストを抑えつつ広めの二世帯住宅を手に入れたい」という場合は、中古住宅のリフォームを検討してみてもよいでしょう。

二世帯住宅の費用やコストダウンのコツについては、こちらの記事もご覧ください。

二世帯住宅の完全分離型は予算3,000万円で可能?費用を抑える方法もご紹介

 

二世帯住宅向け賃貸や近居で家族の相性を確認する方法もある

「完全分離型ならお嫁さんも気兼ねなく暮らせそうだけれど、介護のときに不便で後悔しそう」「シミュレーションしてから二世帯住宅の間取りを考えたい」などと悩むときは、マンションの隣同士や二世帯住宅向け賃貸住宅に一度住んでみるとよいでしょう。

近居で家族の相性や生活スタイルを確認しつつ、二世帯住宅のタイプや間取りを考えてみることで後悔のない選択につながるはずです。

せっかく建てるならおしゃれで快適な二世帯住宅にしたいと思う人には、こちらの記事もおすすめです。

おしゃれな二世帯住宅を建てるには?間取りのつくり方をご紹介!

おしゃれな二世帯住宅は建てられる|建てるコツや間取り例を解説

 

まとめ:二世帯住宅のメリット・デメリットを知り安心できる居住空間を手に入れよう

「二世帯住宅はデメリットだらけ」「二世帯住宅はやめた方がいい」など、ネガティブな情報を耳にしたことがある人は多いもの。しかし、二世帯住宅だからこそ得られる快適さや便利さがあるのも事実です。

二世帯住宅の建築を後悔しないために、今の生活スタイルにあっているかはもちろん、将来的にどう暮らしていくのか考えながら二世帯住宅の種類や間取りを選択しましょう。さらに、そこに住む家族全員で話し合い、ルールを決めて安心できる住まいを手に入れてください。